ITパスポート 令和5年度 問16:system_strategyに関する問題
コールセンターにおける電話応対業務において,AIを活用し,より有効なFAQシステムを実現する事例として,最も適切なものはどれか。
- aオペレーター業務研修の一環で,既存のFAQを用いた質疑応答の事例をWebの画面で学習する。
- bガイダンスに従って入力されたダイヤル番号に従って,FAQの該当項目を担当するオペレーターに振り分ける。
- c受信した電話番号から顧客の情報,過去の問合せ内容及び回答の記録を,顧客情報データベースから呼び出してオペレーターの画面に表示する。
- d電話応対時に,質問の音声から感情と内容を読み取って解析し,FAQから最適な回答候補を選び出す確度を高める。正答
AI解説(初心者・標準・上級)
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答えは d です。
この問題は「AIをうまく使って、お客さんへの回答(FAQ)をもっと良くする例はどれ?」と聞いています。AIの得意技は“言葉や声の中身を読み取って、賢く考える”こと。
- d お客さんの声から“感情”と“話の内容”を読み取って、ぴったりの回答候補を選ぶ→まさにAIが頭を使っている○
- a 研修で人が学ぶ→人ががんばるだけ
- b 押したダイヤル番号で振り分け→番号で機械的に分けるだけ
- c 電話番号からお客さん情報を画面に出す→ただのデータベース検索
👉 覚え方:「声や言葉の“意味・気持ち”を読み取る=AIっぽい」。
だから答えは d。
なぜこれが正解か
正解は d。AIの本領は音声認識・自然言語処理による“意味”の理解にある。dは通話音声から感情と内容を解析し、FAQから最適な回答候補を選ぶ確度を高める=AIの推論・解析を活用してFAQシステムを高度化する事例で、設問の趣旨に最も合致する。
各選択肢の解説
- a 既存FAQを使ったオペレーター研修=人の学習で、AIの活用とは言えない。
- b ダイヤル番号による振り分け=IVR(自動音声応答)の機械的な分岐でAIではない。
- c 電話番号から顧客情報・履歴を表示=CTIとデータベース検索の機能で、AIによる解析を伴わない。
覚え方・ひっかけ注意
「AI活用=データを基に解析・予測・分類して賢く判断する」がポイント。単なる自動振り分け(b)やデータ呼び出し(c)は便利だがAIではない。「感情・内容を読み取る」「最適な候補を選ぶ確度を高める」など解析・推論の語があればAI事例と判断する。
理論的背景
コールセンターへのAI活用でFAQシステムを高度化する本問の正解(d)は、「音声から感情と内容を読み取り最適な回答候補を選ぶ確度を高める」という処理で、複数のAI技術の連携を前提とする。技術スタックは①ASR(Automatic Speech Recognition:自動音声認識)で通話音声をリアルタイムテキスト化、②感情分析(Sentiment Analysis)で声のトーン・抑揚・発話パターンから怒り・困惑・満足等の感情状態を推定、③自然言語処理(NLP)でテキストから発話の意図・カテゴリを分類(インテント検出)、④情報検索・ランキングでFAQデータベースから関連度の高い回答候補を抽出・順位付けする。近年はこれにRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)を組み合わせ、LLMがFAQ・マニュアルを参照しながら会話に応じた回答文を動的生成する構成が実用化されている。これらすべての処理にAIが介在しており、「確度を高める」という表現が機械学習による最適化を示すキーポイントだ。
実務での使われ方
コールセンターへのAI導入は業界で最も活発に進む分野の一つだ。代表的なシステムとして、リアルタイムでオペレーター画面に回答候補を提示する「エージェントアシスト」(人間のオペレーターをAIがサポートする形式)がある。2023年以降はChatGPT等のLLM APIを活用し、既存FAQ・社内マニュアル・規程文書を知識ベースとして一次対応を自動化するボイスボット・チャットボットの実用化が加速している。感情分析はオペレーターのメンタルヘルス管理(強い怒りの音声を検知して上席に自動エスカレーション)、クレームの早期検知、顧客満足度のリアルタイム監視にも活用される。本問で選択肢として示されているIVR(選択肢b)・CTI(選択肢c)・オペレーター研修(選択肢a)は、AIが登場する前から使われてきた業務効率化ツールであり、AIによる解析・推論を本質としない点で区別される。
試験での位置づけ
ITパスポートのストラテジ・テクノロジ系でAI活用事例の識別は最頻出テーマで、近年の出題傾向として「AI活用 vs 従来の自動化技術」を区別させる問題が増えている。本問はその典型で、IVR(音声ガイダンスによるルール的振り分け)・CTI(電話とPCを連携させて顧客情報を表示する技術)・人手による研修という「AI以前からある技術・手法」と、音声から感情・意味を解析して最適回答を選ぶ「AI技術」を区別する力が問われる。関連語として、IVR・CTI・CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)・コンタクトセンター・オムニチャネルの各概念とAIとの関係を整理しておくと、類題への対応が確実になる。
選択肢の発展補足
選択肢a(既存FAQを使ったオペレーター研修):これは人が人に教える教育手法であり、AIは登場しない。FAQのコンテンツを使って知識定着を図るプロセスだが、「AIを活用してFAQシステムを有効にする」という設問の趣旨と全く合致しない。研修の場でeラーニングシステムやAIによる理解度評価を使う可能性はあるが、選択肢の記述にその要素は含まれていない。選択肢b(ダイヤル番号で担当者に振り分ける):これはIVR(Interactive Voice Response:自動音声応答)の機能で、「1を押した方は○○へ、2を押した方は△△へ」という分岐振り分けだ。ルールベースの機械的な処理でAIの解析・学習は介在しない。1980年代から使われている古典的な自動化技術であり、AIとは明確に区別される。選択肢c(電話番号から顧客情報・問合せ履歴を表示):これはCTI(Computer Telephony Integration)とCRMの連携機能で、着信した電話番号をキーにデータベースから顧客情報を検索・表示する。データベース参照という確定的な処理であり、AIによる推論・予測は関与しない。顧客対応の効率化に貢献する重要な技術だが、「AIを活用して有効なFAQシステムを実現する」という設問の要件を満たさない。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和5年度 問16/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。