ITパスポート 令和7年度 問29:business_strategyに関する問題
企業経営の中核となる考え方を,ミッション,ビジョン,バリューの三つに分けて示す場合,ビジョンとして示すものとして,最も適切なものはどれか。
- a企業の存在意義や使命
- b企業の存在意義や使命をふまえた,ある時点でのありたい姿正答
- c戦略を実現するために重要となる業績管理指標
- d戦略を実現するために重要となる成功要因
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答えは b です。
会社の考え方は、よく3つに分けられます。
・ミッション=「なぜこの会社があるのか(使命)」
・ビジョン=「将来こうなりたい!という姿(目標の絵)」
・バリュー=「そのために大事にする価値観」
問題が聞いているのはビジョン。bの「使命をふまえた、ありたい姿」がまさに将来の目標の絵なので正解です。
👉 覚え方:ビジョン=「ありたい姿(未来のゴール)」。
ほかの選択肢:a 存在意義・使命=ミッション/c 業績を測る指標/d 成功のためのカギ(重要成功要因)。aがミッションなので引っかからないように。
なぜこれが正解か
正解は b。企業理念をミッション・ビジョン・バリューに分ける場合、それぞれ次を表す。
- ミッション:企業の存在意義・使命(なぜ存在するか)
- ビジョン:使命をふまえた、ある時点でのありたい姿(将来こうなりたい)
- バリュー:その実現のために共有する価値観・行動指針
bが「使命をふまえた、ある時点でのありたい姿」=ビジョンの定義に一致する。
各選択肢の解説
- a 企業の存在意義や使命=ミッションの説明。
- c 戦略実現に重要な業績管理指標=KPI/KGIの説明。
- d 戦略実現に重要となる成功要因=CSF(重要成功要因)の説明。
覚え方・ひっかけ注意
「ミッション=今そこにある使命」「ビジョン=未来のありたい姿」「バリュー=大切にする価値観」。aのミッションとbのビジョンが紛らわしいので、ビジョン=“ありたい姿”という未来形のキーワードで判定する。
ミッション・ビジョン・バリューの理論的位置づけ
企業経営の中核思想を整理する「MVV(Mission・Vision・Values)フレームワーク」は、1990年代以降に欧米の経営学とコンサルティングの実践から確立された。三概念の定義を正確に区別することが本問の核心である。
- ミッション(Mission):企業の「存在意義・使命」。「なぜ我々はこの事業を行うのか」という根本的な問いへの答え。時代を超えて変わらない普遍的なものとされる。例:「世界中の人と情報をつなげる」(SNS企業)。
- ビジョン(Vision):ミッションを踏まえた「特定の時点におけるありたい姿・目標像」。時間軸を持つ具体的な方向性。例:「2030年までにカーボンニュートラルを達成したエネルギー企業になる」。
- バリュー(Values):ミッション・ビジョンを実現するために組織全体が共有すべき「行動規範・価値観」。日々の意思決定の基準。例:「顧客第一・誠実さ・挑戦」。
ビジョンの「時点」という特徴
本問でビジョンを選ぶ決め手は「ある時点でのありたい姿」という時間軸の存在である。ミッションが不変の存在意義を示すのに対し、ビジョンは「〇年後に〇〇な企業になっている」という具体的な到達目標を示す。このため経営計画・中長期計画の策定において、ビジョンは最初に設定されるべき旗印となる。チームや組織がビジョンを共有することで、日々の意思決定の基準と動機付けが生まれる。
誤答選択肢の整理
- 選択肢a(企業の存在意義や使命):これはミッションの定義。
- 選択肢c(重要となる業績管理指標):KPI(Key Performance Indicator)の定義に近い。MVVとは別次元の管理指標体系。
- 選択肢d(戦略を実現するために重要となる成功要因):CSF(Critical Success Factor:重要成功要因)の定義。KPIと並んで使われる概念で、MVVではなく戦略実行管理の概念。
BSCとの関係
MVVは「Balanced Scorecard(BSC)」の上位概念として位置づけられることが多い。BSCはビジョン・戦略を「財務」「顧客」「内部プロセス」「学習・成長」の四視点に落とし込み、KPI管理で実行を支援するフレームワーク(ノートン&キャプラン、1992年)。ビジョンをKPI・CSFに展開するプロセスがBSCの核心であり、ビジョンなしにKPI設定はできないという関係性がある。
試験での位置づけと出題傾向
ストラテジ系「経営戦略・企業理念」の基礎問題。ミッション・ビジョン・バリューの三語の定義を正確に区別する問題は、三語の日本語訳を知っているだけでは解けず、それぞれの「役割の違い」を理解しているかが問われる。ビジョンは「使命(ミッション)を踏まえた特定時点での目標像」という二段構えの定義が出題文に現れることが多い。
選択肢の発展補足
日本企業での実例として、「パーパス経営(Purpose-driven Management)」という考え方が近年注目されている。パーパスは「社会における企業の存在理由」であり、ミッションよりさらに社会的価値を重視した概念として区別される場合がある。特に若い世代(Z世代)への採用・定着において、パーパスへの共感が重要な動機づけ要素になることが研究で示されており、人事戦略・ブランド戦略と連動する。基本情報技術者以上では経営戦略とITガバナンスの関係を問う設問でMVVが前提知識として登場する場合がある。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和7年度 問29/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。