危険物乙四 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 問60:特殊引火物(二硫化炭素)
二硫化炭素の性状および取扱いに関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア二硫化炭素は特殊引火物に分類され、発火点は約90℃で第4類の中で最も低い。
- イ二硫化炭素の液比重は約1.26〜1.3で水より重く、水に沈む。
- ウ二硫化炭素を水中に保存するのは、液体の二硫化炭素が水より重く水面下に沈み、蒸気の発生を水層で抑えるためである。
- エ二硫化炭素は水に溶けやすいため、水中保存によって液が溶けて濃度が下がる。正答
- オ二硫化炭素の引火点は−30℃で、常温でも引火する蒸気を発生する。
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誤りはエです。二硫化炭素は水に溶けにくい(非水溶性)です。溶けて濃度が下がるという記述は誤りです。
- ア(正): 発火点約90℃は第4類で最低。確定値。
- イ(正): 液比重1.26〜1.3で水より重く水に沈む。
- ウ(正): 水より重く沈むため水層が蓋になり蒸気の発生を抑える。
- エ(誤): 二硫化炭素は水に溶けにくい(非水溶性)。溶けて薄まるは誤り。
- オ(正): 引火点−30℃で常温で引火する蒸気を発生する。
「二硫化炭素=特殊引火物・発火点90℃(最低)・液比重>1・非水溶性・水中保存」を押さえます。
二硫化炭素(CS₂)の性状:
二硫化炭素は特殊引火物の中でも特に特異な性質を持ちます。
- ア(正): 発火点約90℃は第4類の中で最も低い(他の多くの危険物は200℃以上)。蒸気が熱いエンジン表面・電球等に接触しただけで自然発火する危険がある。確定値。
- イ(正): 液比重約1.26〜1.3で水より重く水の中に沈む。第4類の多くは水より軽い(液比重<1)が、二硫化炭素は例外的に液比重>1。確定値。
- ウ(正): 水中保存の理由: (1)液が水より重く自然に水の下に沈む、(2)液面が水層で覆われ蒸気(引火点−30℃で常温で発生)の気中への拡散を遮断する。蒸気が出て火災になるのを抑えるための措置。正しい。
- エ(誤): 二硫化炭素は水に溶けにくい(非水溶性)。水中保存しても液が水に溶けて濃度が下がるということは起きない。非水溶性だから水中に固まって沈むという特性が水中保存を成立させている(水溶性なら溶けてしまい水中保存の意味がない)。誤りの記述。
- オ(正): 引火点−30℃(確定値)。常温(20℃)は引火点より高く、常温で引火する蒸気を発生する。
引っかけパターン: 二硫化炭素を水溶性とする(エ)、液比重<1とする誤り、発火点を高く設定する誤り。「二硫化炭素=非水溶性・液比重>1・水中保存・発火点90℃」を核心に。
【理論的背景】
二硫化炭素(CS₂・分子量76)は特殊引火物の中で最も特異な性質を持つ物質です。最大の特徴は、(1)発火点約90℃が第4類最低(わずかな熱源で自然発火)、(2)液比重1.26〜1.3(水より重い)(他の多くの第4類は水より軽い)、(3)非水溶性(だから水中保存が成立する)の三点です。この三点が絡み合って「水中保存」という特異な貯蔵方法につながります。
【発火点90℃の意味と危険性】
発火点約90℃は、第4類で最も低い値です(ジエチルエーテルの発火点約160℃よりさらに低い)。これは、白熱電球(100W以上の電球表面)や熱いエンジン面(100℃前後)などに二硫化炭素蒸気が接触しただけで自然発火する可能性があることを意味します。電気系統の火花・蒸気配管など様々な熱源が点火源になり得ます。「引火点なく発火点のみ」で自然発火の危険がある物質として、扱いに極めて注意が必要です。
【液比重>1と非水溶性の組み合わせ】
- 液比重1.26〜1.3(水の約1.3倍の密度)なので、水と混ぜると沈む。
- 非水溶性なので水と混ざらず、相分離して水層の下に固まる。
- 水溶性の液体(エタノール・アセトン)なら水中に投入すると溶けてしまい、液層が残らない。非水溶性・液比重>1という組み合わせがあって初めて「水中保存(水底に液が沈む)」が意味をなす。
【水中保存の詳細】
水中保存(水没貯蔵)の目的は蒸気の発生抑制です。
1. 液比重>1のため、液は自然に水の底に沈む(蓋をしなくても液が水面下に入る)。
2. 水層が蒸気の発散を抑える(液面が空気に直接触れない)。
3. 引火点−30℃のため常温で多量の蒸気が発生するが、水中保存でその蒸気量を抑制できる。
実際の保存では、容器内に水を入れ二硫化炭素が水の下に沈む形で管理します。水が蒸発すると液が露出して危険になるため、水の補充管理が必要です。
【試験での位置づけ】
二硫化炭素の性状は性質科目で最頻出(頻出度A)です。核心は、(1)発火点約90℃(第4類最低)、(2)液比重1.26〜1.3(水より重い)、(3)非水溶性、(4)水中保存(液が水より重く水底に沈む→水層が蒸気の発生を遮断)、(5)引火点−30℃(常温で引火)、(6)燃焼範囲約1.3〜50 vol%(広い)です。引っかけは水溶性とする(本問のエ)、液比重<1とする、発火点を高く設定する誤りです。「非水溶性・液比重>1→水底に沈む→水中保存で蒸気抑制」の論理を整理します。
【各選択肢の発展補足】
- ア(正): 発火点約90℃は第4類最低(確定値)。
- イ(正): 液比重1.26〜1.3(水より重い・水底に沈む)。確定値。
- ウ(正): 水より重く水底に沈む→水層が蒸気発生を遮断→水中保存の理由。
- エ(誤): 非水溶性(水に溶けにくい)。溶けて薄まるという現象は起きない。
- オ(正): 引火点−30℃(常温で引火する蒸気を発生する)。確定値。
【根拠】確立した教科書値・設計書§1-2。
【補足】二硫化炭素(CS₂):特殊引火物・発火点90℃(第4類最低)・引火点−30℃・液比重1.26〜1.3(水より重い)・非水溶性・水中保存(蒸気発生抑制)・燃焼範囲1.3〜50 vol%。【監修確定 2026-06-03】
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 二硫化炭素 発火点約90℃(第4類最低)・引火点−30℃・液比重1.26〜1.3・非水溶性・燃焼範囲1.3〜50(§1-2)すべて一致。水中保存=蒸気発生抑制(非水溶性+液比重>1)の論理正。正答エ一意。OK -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した教科書値・設計書§1-2。二硫化炭素(CS₂)は水に**溶けにくい(非水溶性)**。液比重1.26〜1.3で水より重く水中に沈む。水中保存は蒸気発生抑制のため(水層が蓋の役割)。発火点約90℃(第4類最低)。引火点−30℃(常温で引火)。【監修確定 2026-06-03】 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。