危険物乙四 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 問84:重油(第三石油類・非水溶性)
重油タンクの火災における消火上の危険に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア重油は粘性が高く蒸気が発生しにくいため、常温(20℃)では引火することは通常ない。
- イ重油火災に棒状の水を多量に放射すると、水が急激に水蒸気化して燃える重油を飛散させるボイルオーバーが起きるおそれがある。
- ウ重油火災には、液面を覆う泡消火剤(窒息消火)を遠方から放射することが有効な消火方法の一つである。
- エ重油は第三石油類の非水溶性液体であり、消火に使う泡消火剤は耐アルコール泡(水溶性液体用泡)でなければならない。正答
- オ重油タンク内の温度が引火点(60℃以上)を超えた状態で取扱う場合は、引火の危険が高まるため換気・火気管理が重要になる。
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誤っているのはエです。重油は非水溶性なので、耐アルコール泡は不要です。通常の泡消火剤が使えます。耐アルコール泡はメタノール・アセトン等の水溶性液体の火災に使うものです。
- ア(正): 常温では引火しない(引火点60℃以上)。
- イ(正): 棒状注水→ボイルオーバーの危険あり。
- ウ(正): 泡消火剤(窒息消火)が有効。
- エ(誤): 非水溶性なので通常の泡消火剤でよい(耐アルコール泡は不要)。
- オ(正): 引火点超えで引火危険→換気・火気管理が重要。
「重油=非水溶性→通常泡でよい」を押さえます。
重油火災の消火と危険:
重油(第三石油類・非水溶性)の消火は、窒息消火が基本です。
- ア(正): 重油の引火点は60℃以上(種別で異なるが常温20℃より大幅に高い)。粘性が高く常温では蒸気発生が少ないため、常温での引火危険は通常ない。正しい。
- イ(正): ボイルオーバー: タンク火災で棒状注水すると高温の油層に水が接触し急激に水蒸気化→燃える油が爆発的に飛散。非常に危険。正しい。類似現象のスロップオーバー(泡消火剤中の水分が高温油に触れて油を飛散させる現象)も注意。
- ウ(正): 重油は非水溶性なので通常の泡消火剤で液面を覆い窒息消火する。タンク火災では遠方からフォームモニターで放射する。正しい。
- エ(誤): 重油は非水溶性。耐アルコール泡(水溶性液体用泡消火剤)は、メタノール・エタノール・アセトン・グリセリン等の水溶性液体の火災に使うもので、非水溶性の重油には必要ない(通常の泡消火剤が使える)。「耐アルコール泡でなければならない」は誤り。
- オ(正): 重油を引火点以上に加熱する作業(タンクローリー輸送・加熱ボイラー等)では引火危険が高まる。換気確保・火気管理・帯電防止が重要。正しい。
引っかけパターント: 非水溶性の重油に耐アルコール泡が必要とする(エ)。非水溶性か水溶性かで消火剤の選択が変わることを押さえる。
【理論的背景】
重油は第三石油類・非水溶性で、消火剤の選択では「非水溶性→通常の泡消火剤」という原則が適用されます。水溶性液体の火災(メタノール・アセトン等)では通常の泡が溶けて消泡するため耐アルコール泡が必要ですが、非水溶性の重油には通常の泡が有効です。この「水溶性か非水溶性か→泡の種類の選択」が乙4試験の頻出論点です。
【重油の泡消火の原理】
通常の泡消火剤(水成膜泡・タンパク質泡等)は水分を多く含む泡で、非水溶性の油面に広がり酸素を遮断します(窒息消火)。水溶性液体の場合は泡が溶けて消えてしまいますが、非水溶性の場合は油面に泡膜を形成できます。
重油タンク火災での消火手順:
1. 遠方からフォームモニター(泡放水銃)で通常の泡を放射
2. 液面全体を泡膜で覆い酸素を遮断
3. 棒状注水は絶対に使わない(ボイルオーバー誘発)
4. 再点火防止のため泡膜を維持
【ボイルオーバーとスロップオーバーの違い】
| 現象 | 発生条件 | 原因 | 影響 |
|---|---|---|---|
| ボイルオーバー | タンク内にヒートウェーブ(熱波)が水層に到達 | タンク底の水分が急激に水蒸気化 | 燃える油の大規模飛散・爆発的な火災拡大 |
| スロップオーバー | 高温の油面に泡消火剤(水分含む)を放射 | 泡中の水分が油面で急激に水蒸気化 | 油が飛び散るが規模はボイルオーバーより小さい |
スロップオーバーは泡消火剤の放射方法に依存するため、泡は穏やかに(軟らかく)放射することが実務上重要です。
【各消火剤の適性(非水溶性 vs 水溶性)の整理】
| 危険物の種類 | 泡の種類 |
|---|---|
| 非水溶性(ガソリン・灯油・重油・クレオソート油等) | 通常の泡消火剤でよい |
| 水溶性(メタノール・エタノール・アセトン・グリセリン等) | 耐アルコール泡(水溶性液体用泡)が必要 |
【試験での位置づけ】
重油の消火論点は(1)非水溶性→通常の泡でよい(耐アルコール泡は不要)、(2)ボイルオーバー(棒状注水→水蒸気化→燃える油の飛散)、(3)引火点60℃以上(常温では直接引火なし)、(4)スロップオーバー(泡中の水分が高温油で蒸気化→油の飛散)です。引っかけは耐アルコール泡が必要とする(本問エ)、常温で引火するとする、棒状注水が安全とする誤りです。
【各選択肢の発展補足】
- ア(正): 引火点60℃以上(常温より高い)・粘性高い→常温での引火なし。
- イ(正): ボイルオーバー(棒状注水→急激な水蒸気化→燃える油の飛散)。重油火災で棒状注水は特に危険。
- ウ(正): 泡(窒息消火)を遠方放射が有効。スロップオーバー防止のため穏やかに放射。
- エ(誤): 非水溶性→通常の泡消火剤でよい。耐アルコール泡は水溶性液体用であり重油には不要。
- オ(正): 引火点超えで引火危険→換気・火気管理が必要。
【根拠】確立した教科書値・設計書§1-2・§2-3(S5)。
【補足】重油(第三石油類・非水溶性):通常泡でよい(耐アルコール泡不要)・引火点60℃以上(常温引火なし)・ボイルオーバー(棒状注水で誘発)・スロップオーバー(泡の水分で誘発)。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 重油=非水溶性ゆえ通常泡でよい(耐アルコール泡は水溶性液体用で不要)は正しい。ボイルオーバー(タンク内ヒートウェーブが底部水層に到達し急激水蒸気化)/スロップオーバー(高温油面に泡の水分が触れ油が飛散)の区別も妥当。正答エ一意(「耐アルコール泡でなければならない」のみ誤。ア・イ・ウ・オは正記述)。物性是正なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した教科書値・設計書§1-2・§2-3(S5)。重油は**第三石油類・非水溶性(2,000L)**。非水溶性なので消火には**通常の泡消火剤**が使用可(耐アルコール泡は水溶性液体用であり不要)。引火点60℃以上で常温引火なし。ボイルオーバーは棒状注水で誘発。泡による窒息消火が基本。引火点超え時の換気・火気管理は必須。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。