危険物乙四 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 問85:動植物油類
動植物油類の乾性油に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア動植物油類のうち、ヨウ素価が100以下のものを乾性油といい、自然発火のおそれがある。
- イ乾性油は布・紙・多孔質材料等に染み込んだ状態で放置されると、空気中の酸素と酸化反応を起こし、その酸化熱が蓄積して自然発火するおそれがある。正答
- ウ乾性油は水溶性であるため、消火には耐アルコール泡が必要である。
- エ乾性油は引火点が低く(常温以下)、常温でも直接引火し得る。
- オ乾性油の自然発火は、高温(200℃以上)の環境でのみ発生し、常温では起こらない。
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正しいのはイです。乾性油は布や紙に染み込んだ状態で放置すると、常温でも酸化熱が蓄積して自然発火するおそれがあります。
- ア(誤): 乾性油はヨウ素価130以上(100以下は不乾性油)。
- イ(正): 布に染み込んだ乾性油が常温で酸化→酸化熱蓄積→自然発火。正しい。
- ウ(誤): 動植物油類は一般に非水溶性→通常泡でよい(耐アルコール泡は不要)。
- エ(誤): 動植物油類の引火点は高い(250℃未満)→常温では直接引火しない。
- オ(誤): 自然発火は常温でも起こりうる(特に通風不良・断熱状態)。
「乾性油=ヨウ素価130以上・布に染み込んで常温で自然発火のおそれ」を押さえます。
乾性油の自然発火メカニズム:
動植物油類のうち、ヨウ素価によって乾性・半乾性・不乾性に分類されます。
| 分類 | ヨウ素価 | 自然発火 | 例 |
|---|---|---|---|
| 乾性油 | 130以上 | 自然発火のおそれあり | アマニ油・桐油・エゴマ油 |
| 半乾性油 | 100〜130未満 | 注意(乾性より低リスク) | ゴマ油・なたね油・大豆油 |
| 不乾性油 | 100未満 | 自然発火しにくい | ヤシ油・オリーブ油・落花生油 |
- ア(誤): 乾性油はヨウ素価130以上。100以下は不乾性油(自然発火しにくい)。逆の値を当てはめた誤り。
- イ(正): 乾性油の自然発火メカニズム: 不飽和脂肪酸が多い(ヨウ素価高い)→空気中の酸素と酸化反応(酸化重合)→反応熱(酸化熱)が発生→布・多孔質物に染み込んだ状態で通風不良(断熱状態)→熱が逃げず蓄積→発火温度に達する→自然発火。正しい。
- ウ(誤): 動植物油類は一般に非水溶性(水に溶けない)→消火には通常の泡消火剤が使える(耐アルコール泡は不要)。
- エ(誤): 動植物油類の引火点は250℃未満(定義)。実際のアマニ油等の引火点は220〜230℃程度と高く常温では蒸気がほとんど発生しない。常温での直接引火は通常ない(ただし自然発火は別問題)。
- オ(誤): 乾性油の自然発火は常温でも起こりうる。特に布や紙に染み込んで放置した状態(通風不良・断熱効果あり)では、常温の酸化熱が蓄積して発火温度に達することがある(実際の事故事例あり)。
【理論的背景】
動植物油類(第4類・指定数量10,000L)はヨウ素価(不飽和度を示す指標)によって乾性・半乾性・不乾性に分類されます。ヨウ素価が高いほど不飽和脂肪酸(C=C二重結合)が多く、空気中の酸素と反応しやすい(酸化重合しやすい)という性質があります。この酸化熱が蓄積すると自然発火に至ります。乙4試験では「乾性油の定義(ヨウ素価130以上)と自然発火の条件」が核心論点です。
【ヨウ素価の意味と測定】
ヨウ素価(IV)は「油脂100gにヨウ素が何g反応するか」を示す数値で、不飽和脂肪酸(C=C二重結合)の量を表します。
- ヨウ素価130以上: 乾性油(二重結合が多く酸化しやすい)
- ヨウ素価100〜130未満: 半乾性油
- ヨウ素価100未満: 不乾性油(二重結合が少なく酸化しにくい)
【自然発火の条件と防止】
乾性油が自然発火するための条件:
1. 多量の表面積: 布・紙・多孔質材に染み込むと表面積が大きくなり酸化速度が増大する
2. 通風不良(断熱状態): 酸化熱が外部に逃げられず蓄積する(通風良好なら熱が散逸して温度上昇なし)
3. 酸素の供給: 少量の酸素でも継続的に供給されることで酸化反応が継続する
防止策:
- 乾性油を染み込ませた布・紙等は密閉容器で保管するか(酸素遮断)、広げて通風する(熱散逸)
- 積み上げての放置はしない(断熱効果で熱蓄積)
- 作業後の廃棄布は速やかに水に浸けて密封廃棄する
【引火点と自然発火の混同防止】
乾性油(アマニ油等)の引火点は約220〜230℃と高く、常温では可燃性蒸気はほとんど発生しないため「引火の危険は低い」です。しかし自然発火は酸化熱の蓄積によるもので、蒸気の引火とは全く別のメカニズムです。「引火点が高い→安全」という短絡的な判断が乾性油の自然発火事故の原因になります。引火(外部火源による蒸気への着火)と自然発火(酸化熱蓄積による内部発火)を明確に区別することが重要です。
【試験での位置づけ】
乾性油の出題核心は(1)ヨウ素価130以上が乾性油(100以下が不乾性油・逆の値を当てはめた誤りに注意)、(2)布等に染み込んで常温でも酸化熱が蓄積して自然発火のおそれ(高温・200℃以上でのみという誤り)、(3)動植物油類は一般に非水溶性→通常泡でよい(耐アルコール泡は不要)、(4)引火点が高く常温での直接引火はない(自然発火とは別)です。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 乾性油はヨウ素価130以上(100以下は不乾性油)。数値の逆。
- イ(正): 布等に染み込んだ乾性油→常温で酸化熱蓄積→自然発火。自然発火は通風不良・断熱状態で起きやすい。
- ウ(誤): 動植物油類は一般に非水溶性→通常泡でよい(耐アルコール泡は不要)。
- エ(誤): 動植物油類の引火点は高い(定義上250℃未満・実際は200℃超が多い)。常温では直接引火しない。自然発火とは別問題。
- オ(誤): 自然発火は常温でも起こりうる。高温(200℃以上)のみでは誤り(酸化熱蓄積は常温でも起こる)。
【根拠】確立した教科書値・設計書§1-2・§2-3(S8)。監修確定(2026-06-03): ヨウ素価130以上=乾性油は設計書§2-3(S8)で確定済み。
【補足】乾性油:ヨウ素価130以上(半乾性100〜130・不乾性100未満)。布に染み込んで常温で酸化熱蓄積→自然発火のおそれ。動植物油類は非水溶性(通常泡でよい)。引火点は高く常温では直接引火しない(自然発火とは別)。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 乾性油=ヨウ素価130以上(設計書§2-3 S8確定)。乾性油が布等に染込み通風不良で酸化熱蓄積→常温でも自然発火、の記述は確立事実と整合。アマニ油引火点約222℃も妥当。正答イ一意(ア=100以下を乾性油とするのは誤/ウ=動植物油類は一般に非水溶性/エ=引火点高く常温直接引火せず/オ=常温でも自然発火する、いずれも誤でイのみ正)。物性是正なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した教科書値・設計書§1-2・§2-3(S8)。乾性油=ヨウ素価**130以上**(設計書確定値)。ヨウ素価が高い=不飽和脂肪酸が多い=酸化しやすい→酸化熱が蓄積→自然発火。自然発火は**常温でも**起こりうる(特に布等に染み込んだ状態で通風不良の場合)。動植物油類の引火点は**250℃未満**(第四石油類区分の境界)で常温より高く、直接引火は通常ない。動植物油類は**非水溶性**が多い→通常泡でよい場合が多い(個別物質で確認要)。ヨウ素価130以上が乾性油(アマニ油・桐油等)。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。