第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識21医薬品に共通する特性と基本的な知識(特別な配慮が必要な対象者)

登録販売者 第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識 問21:医薬品に共通する特性と基本的な知識(特別な配慮が必要な対象者)

小児・高齢者・妊婦・授乳婦への医薬品使用と受診勧奨の判断に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 添付文書に「小児に使用させる場合には保護者の指導監督のもとに使用させること」と記載されている場合、保護者が用法・用量を守って管理することが前提となるが、登録販売者は購入時に対象年齢・症状が適切かを確認し、必要な情報提供を行う役割を担う。
  • 妊婦が一般用医薬品を使用する場合、胎児への影響についての安全性が十分に確認されていないものが多いため、妊婦または妊娠していると思われる女性への販売に際しては、医師・薬剤師への相談を勧めることが原則である。
  • 授乳婦が医薬品を使用する場合、薬物が母乳に移行して乳児に影響する可能性があるため、「授乳中は服用しないこと、または授乳を避けること」と記載された医薬品については、その旨を購入者に適切に伝える必要がある。
  • 高齢者(おおむね65歳以上)は生理機能が低下していることが多く、医薬品の用量は成人の通常用量より少量から開始することが望ましい場合があるが、添付文書に高齢者向け用量が記載されていない場合は成人量を適用する。
  • 小児への医薬品の使用において、15歳未満で体重に差がある場合でも、年齢区分による用量(例:7〜14歳は1回2錠等)を厳守すれば安全であり、体重による用量調整を行うことは誤った対応である。正答
正答:小児への医薬品の使用において、15歳未満で体重に差がある場合でも、年齢区分による用量(例:7〜14歳は1回2錠等)を厳守すれば安全であり、体重による用量調整を行うことは誤った対応である。

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初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

正答はオです。「年齢区分の用量を厳守すれば体重調整は誤り」は誤りです。

小児では同じ年齢でも体重・体格が大きく異なります。体重に基づく用量計算(mg/kg法)は小児薬用量の基本であり、体重差が大きい場合は年齢区分用量のみに頼らず医師・薬剤師への相談を促すことが重要です。

選択肢ア(保護者が用法・用量を守る前提で、登録販売者も対象年齢・症状の適切さを確認・情報提供する)は正しい記述です。イの妊婦への医師・薬剤師相談推奨、ウの授乳中の服用・授乳の選択、エの高齢者への少量開始もいずれも正しい内容で、誤りはオのみです。

標準試験対策の基準レベル

各選択肢の詳細解説:

  • ア(正): 添付文書に「保護者の指導監督のもとに使用」とある場合、保護者が用法・用量を守って管理することが前提です。加えて登録販売者は購入時に「年齢・体重・症状が適切か」を確認し、必要な情報提供を行う役割があります。選択肢アはこの両面を述べており正しい記述です。
  • イ(正): 妊婦への一般用医薬品使用は原則として「医師への相談を先行」させるべきです。市販薬の多くは妊婦への安全性データが不十分で、特に妊娠初期(器官形成期)は催奇形性リスクが最も高い時期です。
  • ウ(正): 授乳中の医薬品使用では「母乳移行性」が問題になります。添付文書に「授乳中は服用しないこと(または授乳を避けること)」と記載がある場合、その内容を購入者(授乳婦)に必ず伝えます。選択の判断(服用か授乳継続か)は最終的に医師・患者本人が行います。
  • エ(正): 高齢者は腎機能・肝機能の低下・血漿タンパク結合の変化・脂肪/筋肉比の変化等により、医薬品の血中濃度が上昇しやすく副作用が出やすい傾向があります。添付文書に「高齢者への用量」記載がない場合でも、少量から開始・様子を見ながら調整する姿勢が重要です。
  • オ(誤・正答): 小児の用量設定には「体重法(mg/kg)」「体表面積法(mg/m²)」が用いられます。同じ「7〜14歳」でも30kgの子と50kgの子では適切な用量が異なります。体重差が著しい場合は医師・薬剤師への相談を勧めることが適切な対応です。

受診勧奨の線引き(特別な配慮が必要な対象者):

| 対象 | OTC対応可 | 受診勧奨すべき場合 |

|---|---|---|

| 小児 | 症状が軽微・対象年齢内 | 高熱・3日以上改善なし・乳児(1歳未満)の多くの症状 |

| 高齢者 | 軽症・多剤服用なし | 多剤服用中・腎機能低下疑い・重篤な基礎疾患 |

| 妊婦 | 原則として医師相談先行 | ほぼすべての状況で受診勧奨が望ましい |

| 授乳婦 | 母乳移行のない薬に限る | 母乳移行が疑われる・状態が重篤 |

上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【小児薬用量の計算方法と体重・体表面積法の使い分け】

小児薬用量の推算方法(参考):

1. 体重法(Weight-based dosing):

- 小児用量(mg/回)= 成人用量 × 体重(kg)/ 体重設定値(例: 50〜70kg)

- 最もシンプルで実用的

2. 体表面積法(BSA-based dosing):

- 体表面積(m²)= √(身長cm × 体重kg / 3600)(Du Boisの式等)

- 代謝・腎機能・分布容積が体表面積に比例することから、特に抗がん剤等で用いる

- OTC薬では一般的に使わないが、概念として重要

3. Von Harnack法(年齢法): 一般用医薬品の添付文書に多い「年齢区分用量」はこの概念に近い

- 成人量を1とした場合の比率(例: 7〜14歳は成人量の2/3等)

- 体格差が均一でないため、体重法より粗い推算

年齢区分用量の問題点:

  • 同じ「7〜14歳」でも、体重25kgの低体重児と体重65kgの肥満児では生理的に全く異なる
  • 極端な体格差がある場合は「年齢区分用量では過量または過小」になりうる
  • 登録販売者の実務: 体格が著しく小さい(または大きい)子供への市販薬販売では、医師・薬剤師への相談を積極的に勧める

【妊娠段階別の医薬品リスクと受診勧奨の判断】

妊娠週数と医薬品リスクの変化:

| 時期 | 週数 | 医薬品リスク | 対応方針 |

|---|---|---|---|

| 着床前期 | 〜妊娠3週 | 全か無の法則(細胞死か正常発達) | 知らずに服用した場合は医師に相談 |

| 器官形成期 | 4〜8週 | 催奇形性リスク最大(心臓・四肢・神経管) | 原則として全薬剤を避ける・医師に相談 |

| 胎児期 | 9週〜出産 | 機能的奇形・発育障害・分娩前毒性 | 必要性と危険性のバランスで医師判断 |

| 分娩直前 | 36〜40週 | NSAIDs→動脈管早期閉鎖・新生児腎障害等 | 特定成分は禁忌 |

「妊娠していると思われる女性」への対応:

  • 妊娠の可能性がある年齢の女性が市販の鎮痛薬・感冒薬等を購入する際、「妊娠の可能性はありますか?」と確認することが推奨されます
  • 妊娠中または妊娠の可能性がある場合は医師への受診を勧めます
  • アスピリン・イブプロフェン(NSAIDs)は妊娠後期は特に禁忌、アセトアミノフェンは比較的安全とされますが医師確認が望ましい

【高齢者の生理機能変化と医薬品動態への影響】

加齢による主な生理的変化と医薬品への影響:

| 変化 | 医薬品動態への影響 | 注意すべき薬 |

|---|---|---|

| 腎機能低下(GFRの減少) | 腎排泄型薬の蓄積→中毒 | NSAIDs・ジゴキシン・一部の抗ヒスタミン薬 |

| 肝機能低下(肝血流減少・酵素活性低下) | 肝代謝型薬の血中濃度上昇 | 多くの薬(CYP基質) |

| 血漿アルブミン低下 | 遊離型(活性型)薬の増加 | 強タンパク結合薬(NSAIDs等) |

| 体脂肪増加・筋肉量減少 | 脂溶性薬の蓄積増加、水溶性薬の分布容積減少 | 睡眠薬・精神科薬 |

| 胃酸分泌減少 | 一部薬の吸収低下または変化 | 弱塩基性薬(抗ヒスタミン薬等) |

高齢者の多剤服用(ポリファーマシー)問題:

  • 日本では75歳以上の約40%が6種類以上の薬を服用(推計)
  • OTC薬はこの「6種類」にカウントされないことが多く、相互作用リスクが高まる
  • 登録販売者の役割: 「他に飲んでいる薬はありますか?」の確認と必要に応じた薬剤師・医師への相談促進

【授乳中の医薬品使用:「服用しないか授乳を避けるか」の判断補助】

母乳への移行を規定する薬物動態的因子:

1. 分子量: 小さいほど母乳移行しやすい(<500Daは高移行リスク)

2. タンパク結合率: 低いほど(遊離型が多いほど)移行しやすい

3. 脂溶性: 高いほど母乳(脂肪を多く含む)に移行しやすい

4. M/P比(母乳/血漿比): 1未満は移行少・1以上は移行多

「服用しないこと vs 授乳を避けること」の使い分け:

  • 「授乳中は服用しないこと」: 薬の必要性が低い・代替手段あり → 薬を飲まないことを優先
  • 「服用中は授乳を避けること」: 薬の必要性が高い(感染症治療等)→ 薬を優先し授乳を一時停止

この判断は最終的に医師が行うべきですが、登録販売者として「添付文書の記載を確認し購入者に適切に伝える」ことが義務的な対応です。授乳婦が「薬を飲んでも大丈夫ですか?」と聞いてきたら、「医師・薬剤師にご確認ください」と明確に伝えることが、安全・責任ある対応です。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 【二重正答を修正】当初は選択肢ア(保護者が自由に判断・登録販売者の確認は不要)も誤りで、「誤っているものを1つ選ぶ」設問でアとオの二重正答状態だった。選択肢アを「保護者が用法用量を守る前提+登録販売者も対象適否を確認・情報提供する」という正しい記述に修正し、誤りをオ(年齢区分用量厳守で体重調整は誤り、が誤り)のみに一意化(解説beginner/standardも整合修正)。妊婦・授乳婦・高齢者・小児用量の記述は手引き整合。段差性維持。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第1章 第3節「適切な医薬品選択と受診勧奨」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

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