第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識7医薬品に共通する特性と基本的な知識

登録販売者 第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識 問7:医薬品に共通する特性と基本的な知識

プラセボ効果および医薬品の依存性・不適正使用に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • プラセボ効果とは、有効成分を含まない偽薬(プラセボ)を服用することにより、患者の心理的因子が作用して症状が改善する現象をいう。
  • プラセボ効果は科学的・心理学的に認められた現象であるが、薬理作用(有効成分による直接的な生理学的変化)ではない。
  • 一般用医薬品にはプラセボ効果が生じることはなく、プラセボ効果は処方薬(医療用医薬品)でのみ問題となる。正答
  • OTC医薬品の中には常用量を守らず長期または大量に服用することで、依存性が生じるおそれがある成分が含まれることがある。
  • 不適正な使用には、本来の目的(治療・症状緩和)以外の目的(気分高揚・酩酊等)のために医薬品を使用することも含まれる。
正答:一般用医薬品にはプラセボ効果が生じることはなく、プラセボ効果は処方薬(医療用医薬品)でのみ問題となる。

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正答はウ(誤っているもの)です。

プラセボ効果は一般用医薬品でも生じる可能性があります。「OTC薬ではプラセボ効果が生じない」という記述は誤りです。プラセボ効果は処方薬・OTC薬を問わず、患者の信念・期待・服用という行為そのものが生理的反応を引き起こすことで起こる心理的現象です。

ア・イはプラセボ効果の定義と性質を正確に述べています。エは正しく、OTC薬でもコデイン(鎮咳)・エフェドリン/プソイドエフェドリン(鼻炎薬)・ブロモバレリル尿素(鎮静)などが乱用・依存性の問題として認識され、「濫用等のおそれのある医薬品」(6成分)に指定されています。オは正しく、本来用途以外の目的で医薬品を使用することが不適正使用の典型例です。

標準試験対策の基準レベル

各選択肢の解説:

  • ア(正): プラセボ効果(偽薬効果)は、薬理的に無効な物質や処置を「効果がある」と信じることで生理的・心理的変化が生じる現象です。二重盲検試験(DBT)でのプラセボ群の症状改善率が実薬群と比較して評価されるため、臨床研究で必ず考慮される要素です。
  • イ(正): プラセボ効果は心理的・神経生理学的な機序(エンドルフィン放出・自律神経反応等)で生じ、薬理的有効成分による直接作用ではありません。「薬を飲む行為」そのものが患者の期待・安心感を喚起し、実際の生理学的変化(痛みの緩和・血圧変化等)を引き起こすことが研究で示されています。
  • ウ(誤・正答): プラセボ効果は一般用医薬品でも生じます。OTC薬であっても、患者が「効くはずだ」という信念を持って服用すれば、有効成分の薬理作用に加えてプラセボ効果が上乗せされる可能性があります。「処方薬でのみ問題となる」は誤りです。
  • エ(正): OTC薬の依存性問題は現実的な課題です。「濫用等のおそれのある医薬品」として法的に指定されているのは6成分(エフェドリン・コデイン・ジヒドロコデイン・ブロモバレリル尿素・プソイドエフェドリン・メチルエフェドリン)です。これらを含む鎮咳去痰薬・鼻炎薬・かぜ薬等は販売時の数量制限・購入状況確認の対象です。なお、ジフェンヒドラミン(睡眠改善薬)も依存・乱用の懸念がある成分ですが、上記6成分の法的指定には含まれない点に注意します。
  • オ(正): 医薬品の不適正使用には、用法・用量を守らない使用だけでなく、医薬品を本来の治療目的外(酩酊感・多幸感・覚醒目的等)で使用する薬物乱用も含まれます。これは個人の健康被害にとどまらず、社会的問題にもなります。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【プラセボ効果の神経科学的メカニズムと医療現場での意味】

プラセボ効果は単なる「気のせい」ではなく、測定可能な生理学的変化を伴います。

神経科学的機序(教育的補足・手引き本文の記載範囲外の可能性あり):

  • 鎮痛プラセボ効果では、脳のオピオイド受容体が活性化しエンドルフィン(内因性オピオイド)が放出されることが脳画像研究で確認されています
  • ドーパミン系の活性化(期待感・報酬回路)が症状緩和に関与する
  • 条件付け(パブロフ型学習)により、薬物服用という行為そのものが条件刺激となって生理反応を引き出す

医療的意義:

  • 実薬の効果を評価する際は、プラセボ効果を差し引いた「実薬固有の効果」を測定する必要がある(ランダム化比較試験・RCTの存在理由)
  • プラセボ効果が高い病態(慢性疼痛・うつ・過敏性腸症候群等)では、医師・薬剤師の「説明の仕方・信頼関係」が治療効果に影響する
  • 登録販売者の丁寧な説明・共感的な関わりが、OTC薬の効果の実感に貢献する可能性がある

【OTC薬の乱用・依存問題:日本の現状】

日本ではOTC薬の乱用(市販薬乱用)が特に若年層で社会問題化しています。

「濫用等のおそれのある医薬品」として指定される6成分(令和5年〔2023年〕4月1日からの現行指定。各成分の水和物・塩類を含有する製剤が対象):

1. エフェドリン

2. コデイン

3. ジヒドロコデイン

4. ブロモバレリル尿素

5. プソイドエフェドリン

6. メチルエフェドリン

※令和5年4月の改正前は、コデイン・ジヒドロコデイン・メチルエフェドリンは「鎮咳去痰薬に限る」という限定があったが、現行では薬効群の限定が外れ対象が拡大した。ジフェンヒドラミン(睡眠改善薬)はこの6成分の法的指定には含まれない(依存・乱用の懸念がある成分ではあるが「濫用等のおそれのある医薬品」の指定対象外。混同に注意)。

これらに対して登録販売者は:

  • 適正な使用のために必要と認められる数量(原則1人1包装単位)を超えて販売する際は、購入者の氏名・年齢、他店での購入状況、使用目的等を確認する義務がある
  • 乱用の疑いがある場合は販売を断ることができる
  • 販売記録を保持することが推奨される

【不適正使用のカテゴリー】

不適正使用には以下が含まれます:

1. 用量逸脱型: 添付文書の用量を超えて服用。特に「早く効かせたい」「飲みすぎても大丈夫だろう」という誤解から生じる。

2. 対象逸脱型: 適用対象外(禁忌年齢・禁忌疾患)の人が使用。例:15歳未満へのアスピリン使用。

3. 目的逸脱型(乱用): 治療目的以外(多幸感・眠気防止・覚醒等)での使用。コデインによる多幸感目的の過剰服用が代表例。

4. 期間逸脱型: 定められた使用期間を超えた長期使用。胃腸薬を慢性症状に自己判断で長期服用し、重大な疾患の発見が遅れる例。

5. 方法逸脱型: 定められた投与経路以外での使用(内服薬を外用等)。

【登録販売者の役割:乱用防止・受診勧奨】

OTC薬の乱用防止において登録販売者が担う役割:

  • 購入者の様子・購入量・購入頻度から乱用の疑いを早期に察知する
  • 若年層(特に高校生・大学生)への複数箱販売時の慎重な対応
  • 「薬は正しく使って初めて効果がある・過剰は危険」という正しい知識の提供
  • 乱用疑いのある購入者への医療機関・相談窓口の紹介

【試験での位置づけ】

プラセボ効果は頻出度Cと評価しましたが、不適正使用・乱用防止は第5章(適正使用)ともリンクする重要論点です。「プラセボ効果はOTCにも生じる」「乱用等のおそれのある医薬品の販売規制」は第5章との連動問題として出る可能性があるため、双方の章の知識を組み合わせて整理しておくことを推奨します。

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第1章第1節

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 重大修正実施。①「濫用等のおそれのある医薬品」のリストを現行指定(令和5年4月1日〜)の6成分=エフェドリン/コデイン/ジヒドロコデイン/ブロモバレリル尿素/プソイドエフェドリン/メチルエフェドリンに修正。旧記述は誤って「ジフェンヒドラミン」を法的指定に含め「プソイドエフェドリン」が抜けていた→standard エ解説・advancedリスト・beginnerの例示を全て修正し、ジフェンヒドラミンは指定外である旨の注記を追加。令和5年改正で薬効群限定(鎮咳去痰薬限定)が外れた点も追記。②設問の正答ウ(OTC薬でプラセボ効果は生じない=誤り)はこの修正と独立で一意に確定。③プラセボ効果の神経科学的記述は教育的補足として正答判定と分離済み。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第1章 第1節「医薬品概論」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

プラセボ効果と不適正使用・依存性頻出度C

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