労働衛生(有害業務以外)20食中毒・感染症

衛生管理者 労働衛生(有害業務以外) 問20:食中毒・感染症

細菌性食中毒に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • カンピロバクターによる食中毒は毒素型食中毒に分類され、主な原因食品は卵・乳製品である。潜伏期間は2〜5時間と短く、激しい嘔吐を主症状とする。
  • サルモネラ菌は感染型食中毒の原因菌であり、乾燥環境での生存能力が高い。主な原因食品は鶏卵・食肉(鶏・豚・牛)であり、75℃1分以上の加熱で死滅する。正答
  • 腸炎ビブリオは好塩性の細菌であるが、主な原因食品は淡水魚(川魚・養殖魚)であり、海産物との関連は少ない。
  • 黄色ブドウ球菌食中毒は毒素型に分類されるが、その毒素(エンテロトキシン)は熱に不安定であり、75℃以上の加熱で完全に分解されるため、十分な加熱調理が最も効果的な予防策である。
  • 腸管出血性大腸菌(O157等)は大量の菌(10⁸個以上)を摂取しなければ感染が成立せず、少量菌での食中毒は起こらない。
正答:サルモネラ菌は感染型食中毒の原因菌であり、乾燥環境での生存能力が高い。主な原因食品は鶏卵・食肉(鶏・豚・牛)であり、75℃1分以上の加熱で死滅する。

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正しいのはイです。サルモネラは感染型食中毒の代表的な原因菌で、菌が腸管内で増殖して発症します。乾燥に強く、卵・鶏肉・豚肉・牛肉が主な原因食品です。75℃以上1分以上の加熱で死滅するため、十分な加熱調理が有効な予防策です。

各誤りの要点: ア→カンピロバクターは感染型(毒素型でない)・主な原因食品は鶏肉・潜伏期間1〜7日(長い)。ウ→腸炎ビブリオの原因食品は「海産魚介類」(淡水魚ではない)。エ→黄色ブドウ球菌の毒素(エンテロトキシン)は耐熱性が高く100℃30分でも分解されない(「熱に不安定・75℃で分解」は誤り)。オ→O157は少量(100個以下)でも感染が成立する(大量摂取が必要、は誤り)。

標準試験対策の基準レベル

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): カンピロバクターは感染型食中毒です。主な原因食品は鶏肉(特に生・半生の鶏刺し・鳥わさ・BBQ)であり、卵・乳製品が主原因という記述は誤りです。潜伏期間も1〜7日と長く、「2〜5時間」は毒素型食中毒(黄色ブドウ球菌等)の特徴です。少量菌(100個程度)での感染成立もカンピロバクターの重要な特徴です。
  • イ(正): サルモネラは感染型食中毒の代表例です。乾燥に強い(乾燥卵・粉ミルク内でも長期生存)特性と、卵(卵殻・卵内)・食肉(鶏・豚・牛)が主な原因食品であることは正確な記述です。75℃以上1分以上の加熱で死滅するため、卵を完全に加熱(生卵・半熟のリスク)・食肉の中心温度管理が予防の基本です。
  • ウ(誤): 腸炎ビブリオの原因食品は海産魚介類(海水魚・貝・エビ等)です。好塩性(海水程度の塩分濃度で増殖)という特性から、海産物に広く存在します。「淡水魚が主な原因・海産物との関連少ない」は全くの誤りです。
  • エ(誤): 黄色ブドウ球菌のエンテロトキシンは耐熱性が非常に高く、100℃・30分の加熱でも分解されません。「熱に不安定・75℃で分解」は逆の誤りです。このため加熱調理後も毒素が食品中に残存し食中毒を引き起こします。予防の核心は「菌の増殖を防ぐ(食品の低温管理・手指衛生)」ことです。
  • オ(誤): 腸管出血性大腸菌(O157等)の感染量は10〜100個以下と極めて少量です。「10⁸個以上が必要」は全くの誤りです。交差汚染や不十分な手洗いでも感染が成立するほど感染力が強いことが、O157食中毒の危険性の核心です。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

サルモネラ属菌は世界的に最も重要な食中毒原因菌の一つで、グラム陰性桿菌・通性嫌気性・鞭毛を持ち運動性があります。ヒトに病原性を示す血清型は2,500種以上に及び、S. Typhimurium・S. Enteritidisが特に頻繁に食中毒原因として検出されます。

感染型食中毒の発症機序(サルモネラを例に):

1. 汚染食品(卵・食肉・乳製品)の摂取

2. 小腸での菌の増殖(10⁵〜10⁶個以上が発症に必要)

3. 腸管粘膜への侵入・局所炎症

4. 発熱・腹痛・下痢・嘔吐(潜伏期間8〜48時間)

5. 重症例では菌血症(血液中への菌侵入)・腸チフス様症状

サルモネラの特徴的な生物学的特性:

  • 乾燥耐性: 乾燥食品(乾燥卵・乾燥牛乳・スパイス)中で数週間〜数か月生存可能
  • 低温耐性: 冷蔵庫(4℃)でも増殖速度は遅いが生存可能(完全死滅しない)
  • 熱感受性: 75℃以上1分以上で死滅(病院給食・学校給食の中心温度管理の根拠)
  • 塩分耐性: 3〜5%食塩濃度でも一定の増殖が可能

【実務・条文構造】

細菌性食中毒の感染型・毒素型分類の全体像(試験頻出):

| 細菌 | 分類 | 主な原因食品 | 潜伏期間 | 特徴的性質 |

|---|---|---|---|---|

| サルモネラ | 感染型 | 卵・鶏肉・食肉 | 8〜48時間 | 乾燥耐性・75℃1分で死滅 |

| カンピロバクター | 感染型 | 鶏肉 | 1〜7日 | 少量感染(100個程度)・75℃1分で死滅 |

| 腸炎ビブリオ | 感染型 | 海産魚介類 | 12〜24時間 | 好塩性・真水洗浄で予防 |

| O157(EHEC) | 感染型 | 牛肉・野菜 | 3〜8日 | 少量感染(10〜100個)・75℃1分で死滅 |

| 黄色ブドウ球菌 | 毒素型 | おにぎり・弁当 | 1〜5時間 | 毒素は耐熱性(100℃30分でも残存) |

| ボツリヌス菌 | 毒素型 | 缶詰・真空パック | 12〜36時間 | 嫌気性・毒素は80℃20分で不活化 |

食中毒予防の三原則(厚生労働省):

1. つけない: 食品・調理器具への菌汚染を防ぐ(手洗い・器具の消毒・交差汚染防止)

2. 増やさない: 低温管理(4℃以下での保存)・迅速な調理・提供

3. やっつける: 十分な加熱(75℃以上1分以上・ノロウイルスは85〜90℃90秒以上)

黄色ブドウ球菌の食中毒対策で特に重要なのは「菌を増やさない(食品の低温保管・手指衛生・調理器具の清潔維持)」です。加熱では毒素を除去できないため、毒素が産生される前に菌の増殖を防ぐことが唯一の予防策です。

【試験での位置づけ】

食中毒問題の最頻出パターンは「感染型と毒素型の分類(特にカンピロバクター・サルモネラは感染型)」「腸炎ビブリオの原因食品(海産魚介類=海水魚・淡水魚は誤り)」「黄色ブドウ球菌の毒素耐熱性(100℃30分でも残存)」「O157の少量感染性(10〜100個以下)」の4点です。エのような「黄色ブドウ球菌の毒素が熱に弱い」という誤りと、オのような「O157は大量摂取が必要」という誤りは最も頻繁に出題される引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: カンピロバクターは国内の食中毒発生件数でほぼ毎年1位を占めます(2023年厚生労働省食中毒統計)。BBQ・鶏刺しによる集団発生が多く、特に夏季に多発します。少量(100個程度)での感染成立・1〜7日という長い潜伏期間(感染源の特定が困難)・抗生剤治療が必要な重症例もあるという点が重要な特徴です。
  • イ: サルモネラによる食中毒は卵が主要な感染源ですが、「卵の殻の表面のみ」ではなく卵内部にもS. Enteritidisが存在する場合があります。完全な加熱(卵黄が固まるまで加熱・半熟禁止が原則の給食提供等)が有効な予防策です。
  • ウ: 腸炎ビブリオの「好塩性」という特性は、海水(約3.5%食塩)中で自然に存在する理由を説明します。淡水・真水での生存能力が低いため、魚介類を調理前に真水でよく洗うことで菌量を大幅に減少させることができます(ただし完全除菌ではない)。
  • エ: エンテロトキシンの耐熱性は食品衛生上の重大問題です。「加熱後の食品は安全」という常識が黄色ブドウ球菌食中毒では成立しないことを意識することが重要です。調理者の化膿傷・鼻咽頭の黄色ブドウ球菌が食品を汚染し増殖することが多いため、傷のある調理者による直接食品接触の禁止が重要な衛生管理措置です。
  • オ: O157の少量感染性(10〜100個)は、通常の食中毒菌(10⁵〜10⁶個が必要)と比べて圧倒的に少ない菌量での感染成立を意味します。これがO157感染症の「集団発生の起こりやすさ」と「交差汚染への警戒」が特に重要な理由です。牛の腸管内に存在するO157が枝肉処理中に食肉に付着し、調理時の不十分な加熱で生存した菌が感染源となります。

【根拠】医学的事実(確立した食中毒学・細菌学)。厚生労働省「食中毒統計」・サルモネラ感染型分類・乾燥耐性・加熱死滅温度は食品衛生学の確立した知識。

【補足】サルモネラは感染型・乾燥に強い・75℃1分で死滅。腸炎ビブリオは海産魚介類が原因(淡水魚は誤り)。黄色ブドウ球菌の毒素は耐熱性高い(100℃30分でも残存)。O157は少量感染(10〜100個以下)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 医学的事実(確立した食中毒学・細菌学)。サルモネラの感染型分類・乾燥耐性・主な原因食品・加熱死滅は食品衛生学の確立した知識。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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