労働衛生(有害業務以外)27メンタルヘルス・健康保持増進

衛生管理者 労働衛生(有害業務以外) 問27:メンタルヘルス・健康保持増進

ストレスチェック制度に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • ストレスチェック制度は、労働安全衛生法第66条の10の規定により、常時50人以上の労働者を使用するすべての事業場に実施が義務付けられており、50人未満の事業場では実施が禁止されている。
  • ストレスチェックの実施者として認められているのは医師・保健師のみであり、一定の研修を受けた看護師・精神保健福祉士は実施者になれない。
  • ストレスチェックの結果は、労働者の同意なく事業者が閲覧することは禁止されており、高ストレス者として選定された労働者の情報を事業者が取得するためには、当該労働者の同意が必要である。正答
  • ストレスチェックは事業場で年2回以上(6か月以内ごとに1回)実施することが義務付けられており、年1回の実施では法令上の義務を果たしたことにならない。
  • ストレスチェックの受検は労働者の義務であり、受検を拒否した労働者に対して事業者は就業規則に基づく懲戒処分を行うことができる。
正答:ストレスチェックの結果は、労働者の同意なく事業者が閲覧することは禁止されており、高ストレス者として選定された労働者の情報を事業者が取得するためには、当該労働者の同意が必要である。

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正しいのはウです。ストレスチェックの結果は労働者本人に通知されるのが原則で、事業者が労働者の同意なく結果を閲覧することは禁止されています。高ストレス者の情報を事業者が得るためには、当該労働者の同意が必要です(安衛法第66条の10第2項)。これはストレスチェック制度が「従業員のプライバシー保護」と「不利益取り扱い防止」を重視して設計された制度であるためです。

ア→50人未満は「努力義務」(禁止でない)。イ→研修修了の看護師・精神保健福祉士も実施者になれる。エ→年1回が義務(6か月ごとではない)。オ→受検は義務ではなく、拒否しても懲戒処分はできない。

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各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 50人以上の事業場に実施が義務付けられている点は正しいですが、「50人未満では実施が禁止されている」は誤りです。50人未満の事業場は実施が努力義務(できるだけ実施することが努力目標)とされており、実施すること自体は推奨されています(禁止ではない)。
  • イ(誤): 安衛則第52条の10により、ストレスチェックの実施者は医師・保健師に加えて、厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士も認められています。「医師・保健師のみ」は誤りです。
  • ウ(正): 安衛法第66条の10第2項により、実施者からの事業者への結果通知は労働者の同意がある場合に限られます。同意なく結果を取得した場合は法令違反です。この規定はストレスチェック結果を理由とした不利益取り扱い(解雇・降格・配置転換等)を防止するための重要な個人情報保護規定です。
  • エ(誤): ストレスチェックの実施頻度は1年以内ごとに1回(年1回)が義務です(安衛法第66条の10・安衛則第52条の9)。「6か月以内ごとに1回(年2回以上)」は誤りです。6か月ごとの実施が義務なのは有害業務の特殊健康診断等であり、ストレスチェックは年1回で法令義務を果たします。
  • オ(誤): ストレスチェックの受検は労働者の義務ではなく任意(努力義務に近い)です。安衛法ではストレスチェックを受けることが「義務」とは明記しておらず、受検拒否を理由とした懲戒処分は許容されないと解釈されています。不利益取り扱いの禁止(安衛法第66条の10第3項)の観点からも、拒否を理由とした懲戒は不適切です。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

ストレスチェック制度は2015年(平成27年)12月から50人以上の事業場に義務化された、労働者のメンタルヘルス対策の柱の一つです。制度設計の根本思想は「1次予防(発症前の予防)と早期発見」であり、制度が労働者のプライバシー保護と自発的参加を前提としています。

制度設計のポイント:

1. 個人情報保護: 結果は本人に直接通知→事業者は同意なく結果を取得できない

2. 不利益取り扱いの禁止: 受検拒否・高ストレス判定・面接指導申出を理由とした不利益取り扱い禁止

3. 自発的な参加: 受検強制は禁止されていないが、強制受検は制度趣旨に反する

ストレスチェックの目的の2つの側面:

1. 個人の一次予防: 労働者が自らのストレス状態を知ることでセルフケアに活かす

2. 集団分析による職場環境改善: 集団分析結果をもとに職場のストレス要因を特定して改善する

【実務・条文構造】

ストレスチェック制度の全体フロー(安衛法第66条の10・安衛則第52条の9〜第52条の21):

| ステップ | 内容 | 条文根拠 |

|---|---|---|

| ①実施計画の作成 | 衛生委員会での審議・調査審議 | 安衛則第52条の9 |

| ②実施(年1回) | 実施者(医師・保健師等)が実施 | 安衛法第66条の10第1項 |

| ③結果の通知 | 実施者→労働者本人に直接通知(事業者には原則非通知) | 安衛法第66条の10第2項 |

| ④面接指導の申出 | 高ストレス者が労働者自身が申し出る(義務なし・任意) | 安衛法第66条の10第3項 |

| ⑤医師による面接指導 | 申出を受けた事業者が医師に面接指導を実施させる | 安衛法第66条の10第4項 |

| ⑥就業上の措置 | 医師の意見を聴いて就業制限・時間外労働制限等 | 安衛法第66条の10第6項 |

| ⑦集団分析 | 部署ごとの集団分析を実施し職場環境改善に活用(努力義務) | 安衛則第52条の14 |

不利益取り扱いの禁止(安衛法第66条の10第3項):

  • ストレスチェックを受けなかったこと
  • 高ストレス者として判定されたこと
  • 面接指導を申し出たこと

以上を理由とした解雇・降格・配置転換・賃金低下等は禁止されています。

実施者要件の詳細(安衛則第52条の10):

  • 医師
  • 保健師
  • 厚生労働大臣が定める研修(実施者養成研修)を修了した看護師
  • 厚生労働大臣が定める研修を修了した精神保健福祉士

【試験での位置づけ】

ストレスチェックの問題では「実施義務の対象(50人以上・義務)と50人未満(努力義務・禁止ではない)」「実施者の要件(研修修了の看護師・精神保健福祉士も含む)」「結果の事業者通知には労働者の同意が必要(ウ)」「実施頻度は年1回(6か月ごとではない)」「受検は強制できない」が最頻出です。エのような「年2回(6か月ごと)が義務」という誤りは特殊健康診断の頻度との混同から生じる典型的な引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 50人未満の事業場への努力義務化について、行政は補助金・産業保健総合支援センターの支援・助成金等でストレスチェックの実施を後押ししています。実際に50人未満でもストレスチェックを実施している事業場は一定割合存在しており、制度の普及が進んでいます。
  • イ: 研修修了の看護師・精神保健福祉士が実施者に加わった背景は、産業医・保健師だけでは全国の50人以上事業場のストレスチェック実施に必要な実施者数を確保できないためです。特に外部EAP機関が精神保健福祉士を活用してストレスチェックを受託するケースが増えています。
  • ウ: 労働者の同意なく事業者が結果を取得した場合、個人情報保護法違反・労働安全衛生法違反となる可能性があります。また事業者が不正に結果を取得して不利益取り扱いに利用した場合は、違法行為として損害賠償責任が生じます。
  • エ: ストレスチェックの年1回実施という頻度は、定期健康診断(年1回)と同じ頻度です。有害業務従事者の特殊健康診断(6か月以内ごとに1回)と混同しないよう注意が必要です。
  • オ: 受検拒否が多い場合は、実施方法(オンライン実施・匿名性の向上)・周知方法・管理監督者の声かけ等を見直すことが推奨されます。強制的に受検させることは制度趣旨に反し、また強制によって得られた結果は「自発的な気づき」に基づくセルフケアには繋がりにくいと考えられています。

【根拠法令】労働安全衛生法(安衛法)第66条の10・労働安全衛生規則(安衛則)第52条の9〜第52条の21。

【補足】ストレスチェック結果の事業者通知には「労働者の同意」が必要(同意なしは禁止)。実施頻度は「年1回」(年2回・6か月ごとは誤り)。50人未満は努力義務(禁止ではない)。研修修了の看護師・精神保健福祉士も実施者になれる。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第66条の10第2項(ストレスチェック結果の事業者への通知には労働者の同意が必要)・安衛則第52条の12。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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