労働衛生(有害業務以外)61換気・事務室環境

衛生管理者 労働衛生(有害業務以外) 問61:換気・事務室環境

事務所衛生基準規則(事務所則)に定める気積および換気に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 事務所則では、労働者1人あたりの気積(室の容積)を最低4m³以上確保することが義務付けられており、設備・家具等の占有体積を差し引いた実効気積で計算する。
  • 事務所則では、労働者1人あたりの気積は20m³以上となるよう義務付けられており、これを下回る場合は換気設備の設置が義務付けられる。
  • 事務所則では、窓その他の開口部(直接外気に向かって開放できる部分)の面積が、床面積の1/20以上となるよう義務付けられており、これを下回る場合は換気設備の設置が義務付けられる。正答
  • 事務所則では、労働者1人あたりの気積は4m³以上とされているが、この計算には設備・家具の体積を差し引く必要はなく、室の全容積をそのまま使用する。
  • 気積(室の容積)の基準は労働安全衛生規則(安衛則)第604条に規定されており、事務所則には気積の規定は一切存在しない。
正答:事務所則では、窓その他の開口部(直接外気に向かって開放できる部分)の面積が、床面積の1/20以上となるよう義務付けられており、これを下回る場合は換気設備の設置が義務付けられる。

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正しいのはウです。事務所則第3条第1項では、窓その他の開口部(直接外気に向かって開放できる部分)の面積が床面積の1/20以上なければ、換気設備の設置が義務付けられています。これは「自然換気が十分に行えない部屋には機械換気設備が必要」という規定です。

ア・エ→気積基準は事務所則第2条で「1人あたり10m³以上」(4m³ではない)。イ→気積の基準値は10m³であり「20m³」は誤り。オ→気積は事務所則第2条に規定があり「事務所則に気積規定が一切存在しない」は誤り(安衛則第604条は照度の規定であって気積ではなく、屋内作業場の気積10m³は安衛則第600条)。

標準試験対策の基準レベル

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 気積基準は事務所則第2条で「1人あたり10m³以上」と定められており、「4m³以上」は誤りです。なお「設備の占める容積および床面から4mを超える高さにある空間を除く」という計算ルールは正しいものの、基準値そのものが10m³である点が誤りです。
  • イ(誤): 事務所則第2条の気積基準は「1人あたり10m³以上」です。「20m³以上」は誤った数値です。
  • ウ(正): 事務所則第3条第1項により、窓その他の開口部(直接外気に向かって開放できる部分)の面積が床面積の1/20以上ない場合は換気設備の設置が必要です。事務所の自然換気能力を確保するための基準であり、満たせない密閉的な建物・地下室等では機械換気設備が義務となります。
  • エ(誤): 気積基準は「4m³」ではなく「10m³以上」であり、かつ「設備・家具の体積を差し引かず室の全容積をそのまま使う」という計算方法も誤りです(設備の占める容積および床面から4mを超える高さの空間は除外する)。
  • オ(誤): 気積は事務所則第2条に規定があるため「事務所則に気積規定が一切存在しない」は誤りです。また安衛則第604条は照度の規定であり気積の規定ではありません(屋内作業場の気積10m³は安衛則第600条)。

押さえるべき核心: 事務所則の換気義務は「開口部面積が床面積の1/20以上ない場合の換気設備設置義務」(第3条第1項)。気積は事務所則第2条で1人あたり10m³以上。

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【理論的背景】

建築物の室内空気質を確保するためには、「自然換気」と「機械換気」の2つのアプローチがあります。自然換気は窓・開口部を通じた外気の流入・流出によって室内空気を新鮮に保つ方法であり、エネルギーを使わない環境に優しい換気手段ですが、外気条件・風向き・気圧差に依存するため安定性に欠けます。機械換気(空調・換気扇)は安定した換気を実現できますが、設備コストと電力消費が必要です。

事務所則の換気規定は「自然換気が可能な開口部(床面積の1/20以上)があれば自然換気で可、なければ機械換気設備を設置する」という合理的な設計になっています。1/20という比率は、建築学的な自然換気の有効性の観点から設定された実績値です。

【実務・条文構造】

事務所則の換気関連規定の体系:

| 条文 | 内容 | 基準値 |

|---|---|---|

| 第2条 | 気積(室の容積)の確保義務 | 1人あたり10m³以上(設備の占める容積・床面から4m超の高さの空間を除く) |

| 第3条第1項 | 窓その他開口部の面積が床面積の1/20未満の場合の換気設備設置義務 | 開口部面積 ≥ 床面積×1/20でない場合は設備義務 |

| 第3条第2項 | 自然換気時の室内CO・CO₂含有率 | CO: 50ppm以下 / CO₂: 5,000ppm以下 |

| 第5条第1項 | 空調・機械換気設備設置時の供給空気の基準(CO₂・CO・粉じん・ホルムアルデヒド・気流) | CO₂: 1,000ppm以下 / CO: 10ppm以下 / 粉じん: 0.15mg/m³以下など |

必要換気量の計算(衛生学的観点):

室内のCO₂濃度を1,000ppm以下に維持するために必要な換気量は以下の式で求められます。

必要換気量(m³/h)= 在室者数 × 1人あたりのCO₂発生量(約0.020m³/h) ÷ (管理濃度 − 外気CO₂濃度)

例: 在室者10人・外気CO₂=400ppm・管理濃度=1,000ppm(0.001m³/m³)の場合:

必要換気量 = 10 × 0.020 ÷ (0.001 − 0.0004) ≒ 333m³/h

1人あたり約33m³/h(毎時1人分の換気量)が、CO₂基準を満たすための目安換気量です。

気積の概念(事務所則第2条):

事務所則第2条は「労働者1人について10m³以上」の気積を義務付けています(設備の占める容積および床面から4mを超える高さにある空間を除く)。これは「滞在空間の広さ」を確保するための基準で、屋内作業場一般を対象とする安衛則第600条(同じく10m³/人)と整合しています。換気(第3条)・空気調和設備(第5条)と併せ、空気質を多面的に確保する体系です。

【試験での位置づけ】

事務所則の環境基準では「気積10m³/人以上(第2条)」「窓などの開口部が床面積の1/20以上なければ換気設備が必要(第3条第1項)」「自然換気時のCO₂ 5,000ppm以下・CO 50ppm以下(第3条第2項)」「空気調和設備使用時のCO₂ 1,000ppm以下・CO 10ppm以下(第5条)」の区別が最重要です。特に「気積は10m³(4m³・20m³ではない)」「CO₂基準は条文で1,000ppmと5,000ppmが使い分けられる(第5条=1,000/第3条第2項=5,000)」を取り違える選択肢が頻出します。安衛則第604条は照度の規定であり気積(安衛則第600条)と混同しないことも重要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア・エ: 「4m³/人」は事務所則・安衛則いずれの気積基準でもありません。正しい気積基準は「10m³/人以上」(事務所則第2条・安衛則第600条)です。また気積は「設備の占める容積および床面から4mを超える高さの空間を除いて」算定する点も押さえます(エの「全容積をそのまま使う」は誤り)。
  • イ: 気積基準は10m³/人であり、20m³/人は誤りです。なお1人あたり必要換気量(CO₂を1,000ppm以下に保つための毎時の換気量・約33m³/h)と、空間の広さである気積(10m³)は別概念なので混同しないことが重要です。
  • ウ: 「開口部面積が床面積の1/20以上」という基準は、特に地下事務室・内側の会議室・窓のない作業室などで換気設備の必要性を判断するための重要な基準です。現代のビルでは空調設備が常設されているため実務上この基準を意識する機会は少ないですが、設備故障時・省エネ目的での空調停止時の対応として知っておく必要があります。
  • オ: 気積は事務所則第2条に規定があるため「事務所則に気積規定が一切存在しない」は誤りです。安衛則第604条は照度(150ルクス等)の規定であり、気積の規定は安衛則第600条です。条文番号の取り違えに注意します。

【根拠法令】事務所衛生基準規則(事務所則)第2条(気積:10m³/人以上)・第3条第1項(換気:開口部1/20以上)。

【補足】気積は事務所則第2条で1人あたり10m³以上(4m³・20m³ではない)。開口部面積が床面積の1/20以上なければ換気設備の設置義務(第3条第1項)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 事務所衛生基準規則(事務所則)第3条第1項(換気)。窓その他の開口部(直接外気に向かって開放できる部分)の面積が床面積の1/20以上ない場合は換気設備を設けなければならない。なお気積は事務所則第2条で1人あたり10m³以上(設備の占める容積および床面から4mを超える高さの空間を除く)と規定されている。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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