衛生管理者 労働衛生(有害業務以外) 問66:清潔設備・休養設備
事務所衛生基準規則(事務所則)に定める休養室・休養設備に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア常時50人以上または常時女性30人以上の労働者が使用する事務室の事業者は、労働者が臥床(横になって休養)できる休養室または休養所を男女別に設けなければならない。正答
- イ常時10人以上の労働者が使用するすべての事業場において、男女別に休養室の設置が義務付けられており、10人未満の事業場では努力義務となっている。
- ウ事業者は、有害作業(高温・寒冷・多湿・騒音・振動・有害物質の取扱い等)に従事する労働者を対象に、有害業務専用の休養室を設けることが安衛則に義務付けられているが、一般的な事務作業では義務はない。
- エ休養室は、横になって休養できる施設であれば、男性・女性が共用する一つの設備で差し支えなく、性別を考慮した設計は努力義務である。
- オ女性が30人以上利用する場合の休養室には、臥床設備のほかに、授乳設備・化粧・更衣のための設備を設けることが事務所則に義務付けられている。
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正しいのはアです。事務所則第21条(および安衛則第618条)により、常時使用する労働者が50人以上、または常時女性が30人以上の事業場では、臥床(横になって休養)できる休養室または休養所を男女別に設けることが義務付けられています。
イ→閾値が「10人以上」は誤り。ウ→休養室設置義務は一般的な事務作業の事業場にも適用される。エ→男女別設置が義務(共用は不可)。オ→授乳設備等の義務は事務所則の休養室規定に含まれていない(女性活躍推進関連の別規定等の問題)。
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 安衛則第618条・事務所則第21条により、常時50人以上または常時女性30人以上の労働者を使用する場合は、臥床できる休養室または休養所を男女別に設けることが義務付けられています。この「50人以上または女性30人以上」という閾値は衛生管理の要件の中でも重要な数字です。
- イ(誤): 設置義務の閾値は「常時10人以上」ではなく「常時50人以上または常時女性30人以上」です。10人以上という数値は誤りです。
- ウ(誤): 休養室の設置義務は有害業務専従者に限定されるものではなく、一般的な事務作業を含む事業場でも適用されます(常時50人以上または常時女性30人以上という要件を満たす場合)。
- エ(誤): 休養室は男女別に設けることが義務付けられています。男女共用の一つの設備では規定を満たせません。特に女性労働者が横になって休養する場合のプライバシー確保・安全確保の観点から男女別が義務化されています。
- オ(誤): 事務所則の休養室設置規定は「臥床できること」が主要件であり、授乳設備・化粧室・更衣設備の具体的な義務付けは事務所則の休養室規定の範囲外です。授乳・母性保護に関する設備は労基法・育児休業法等の別の規定による義務が適用される場合があります。
【理論的背景】
職場における休養設備は、労働者が急病・体調不良・過重な作業疲労の際に臥床(横になって)休養できる場を確保するためのものです。特に女性労働者については、月経障害・悪阻(妊娠時の嘔吐)・体調不良時に安静に休養できる環境が重要であり、男女別の設置が義務化されています。
休養室が必要となる主な状況:
1. 急病(急性腹痛・頭痛・心臓発作の前兆等)での一時的な安静
2. 熱中症・低血糖等の緊急時の冷却・休養
3. 月経痛・悪阻(妊娠初期の嘔吐)等の女性特有の体調不良
4. 精神的疲労・パニック発作等のメンタルヘルス不調時の安静
5. 過重労働・長時間立位作業後の疲労回復
【実務・条文構造】
休養設備に関する法令規定:
| 根拠法令 | 適用対象 | 義務内容 |
|---|---|---|
| 安衛則第618条 | 常時50人以上または常時女性30人以上を使用する事業場 | 臥床できる休養室または休養所を男女別に設置 |
| 事務所則第21条 | 常時50人以上または常時女性30人以上を使用する事業者 | 同様の臥床できる休養室・男女別設置 |
休養室の設備・管理の実務指針:
- 臥床設備: 寝台またはこれに代わる設備(簡易ベッド・リクライニングチェア等)
- プライバシーの確保: カーテン・衝立等による視線のさえぎり
- 衛生管理: シーツ・枕カバー等の定期的な洗濯・消毒
- 体温計・血圧計等の救急用具の近接配備(応急処置との連携)
休養室と産業保健スタッフとの連携:
- 体調不良で休養室を使用した場合の産業看護師・保健師への報告ルート
- 繰り返し利用する労働者への産業医面談誘導
- 精神的疲労での利用パターンのモニタリング(メンタルヘルス不調の早期発見)
母性保護に関する設備義務(別規定):
- 授乳室・搾乳室の設置: 事業主の努力義務(次世代育成支援対策推進法等)
- 更衣設備: 別途法令規定あり
【試験での位置づけ】
休養室の問題では「設置義務の閾値(常時50人以上または常時女性30人以上)」「男女別設置が義務(共用不可)」「臥床できる設備であること」の3点が最頻出です。イのように「10人以上」という誤った閾値、エのように「共用可」という誤りが典型的な引っかけパターンです。この「50人・30人」という数字は、衛生管理者の選任義務(50人以上で義務)と合わせて整理して記憶することが効果的です。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 「常時女性30人以上」という要件が「50人以上」に加えて設けられている理由は、月経障害・妊娠に伴う体調不良など女性特有の健康課題に対応するためです。女性が多い職場(看護・介護・事務職等)では、50人未満でも女性30人以上に達する場合があり、そのような事業場でも休養室設置が義務化されています。
- イ: 「10人以上」という数値は他の安衛法関連規定(例:安全衛生推進者の選任義務は10人以上50人未満の事業場)に登場する数値です。異なる規定の閾値を混同しないよう、「休養室=50人または女性30人」「安全衛生推進者=10〜49人の事業場」という対応関係を整理することが重要です。
- エ: 男女別休養室の義務化は、女性労働者が体調不良時に安心して横になれる環境を確保するためです。男女共用の場合、横になって休養するという行為のプライバシーが確保されず、特に女性が利用しにくい状況が生じます。設備の確保が難しい小規模事業場では、衝立等で区画を設けた簡易的な対応も現実的な解決策です。
- オ: 授乳・搾乳を行うための設備(授乳室)は、母性保護・育児支援の観点から設けることが望ましいとされますが、事務所則の休養室規定の範囲外です。近年の女性活躍推進の流れの中で、授乳室・搾乳室の整備を進める企業が増えていますが、現行法規での義務規定は限定的です。
【根拠法令】安衛則第618条・事務所衛生基準規則(事務所則)第21条(休養設備に関する規定)。
【補足】休養室設置義務: 常時50人以上または常時女性30人以上の事業場→男女別に臥床できる休養室または休養所を設置。男女共用は不可。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 事務所衛生基準規則(事務所則)第21条(休養室等)・労働安全衛生規則(安衛則)第618条(休養室等)。常時50人以上または常時女性30人以上の労働者を使用する事業者は、臥床できる休養室または休養所を男女別に設けなければならない。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。