労働衛生(有害業務以外)69救急処置

衛生管理者 労働衛生(有害業務以外) 問69:救急処置

出血・止血法に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 動脈からの出血は血液が暗赤色で、ゆっくりと持続的に流れ出る特徴がある。静脈からの出血は鮮紅色で、拍動性に勢いよく噴き出すのが特徴である。
  • 直接圧迫法とは、出血部位を清潔なガーゼ・タオル等で覆い、その上から直接手や手掌で強く押さえて止血する方法であり、最も基本的・一般的な止血法として推奨されている。正答
  • 間接圧迫法(間接止血法)とは、出血部位の末梢側(手先・足先側)の動脈を圧迫して血流を遮断することで止血する方法である。
  • 止血帯法(ターニケット法)は、四肢の大量出血時に最初から使用する第一選択の止血法であり、直接圧迫法より常に優先して使用することが推奨されている。
  • 骨折を伴う出血(開放骨折等)では、出血部位を直接圧迫すると骨片が神経・血管に損傷を与えるリスクがあるため、出血部位の周囲から圧迫する方法(周辺圧迫法)が基本となる。
正答:直接圧迫法とは、出血部位を清潔なガーゼ・タオル等で覆い、その上から直接手や手掌で強く押さえて止血する方法であり、最も基本的・一般的な止血法として推奨されている。

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正しいのはイです。直接圧迫法は出血部位を清潔なガーゼ・布等で覆い、その上から強く押さえて止血する最も基本的・一般的な方法です。出血の多くはこれで止血できます。動脈・静脈・毛細血管出血のいずれに対しても最初に試みるべき方法です。

各誤りの要点: ア→出血の色と特徴が逆(動脈=鮮紅色・拍動性、静脈=暗赤色・持続流)。ウ→間接圧迫法は出血部位の「中枢側(心臓側)」を圧迫する(末梢側は誤り)。エ→止血帯法は大量出血で直接圧迫が効かない場合の次の手段(第一選択ではない)。オ→開放骨折でも直接圧迫法が基本(骨片を動かさないよう注意して行う)。

標準試験対策の基準レベル

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 出血の特徴は動脈と静脈で逆です。動脈出血: 鮮紅色(酸素が豊富)・拍動性に勢いよく噴き出す(心臓のポンプ圧を反映)。静脈出血: 暗赤色(酸素が少ない)・ゆっくりと持続的に流れる。選択肢は動脈と静脈の特徴が逆になっています。
  • イ(正): 直接圧迫法は「出血部位に清潔なガーゼ・布等を当てて直接手で強く押さえる」最も基本的な止血法です。大部分の出血はこれで止血できます。圧迫中にガーゼが血液で湿った場合は取り除かずに上から追加のガーゼを重ねて圧迫を続けます(最初のガーゼを取り除くと血液凝固が妨げられる)。
  • ウ(誤): 間接圧迫法は、出血部位の「中枢側(心臓に近い側)」の動脈を圧迫して血流を遮断する方法です。「末梢側(手先・足先側)」を圧迫しても出血部位への血液流入は遮断できません。例えば上腕からの大量出血では、腋窩(わきの下)または上腕の近位部の動脈を圧迫します。
  • エ(誤): 止血帯法は直接圧迫法・間接圧迫法で止血が困難な場合の追加手段(第二・第三選択)です。止血帯を過剰に使用したり長時間使用したりすると末梢組織の壊死・神経麻痺のリスクがあるため、第一選択として常に使用することは推奨されていません。ただし戦場・大規模災害等での四肢切断・大量出血では早期の止血帯使用が生命維持に有効です。
  • オ(誤): 開放骨折を伴う出血でも、直接圧迫法が基本です。骨片を操作せず出血部位をガーゼで覆い直接圧迫します(骨片を無理に動かさない)。医療機関への搬送が最優先です。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

出血のコントロールは救急処置の最重要課題の一つです。成人の全血液量は体重の約8%(体重60kgで約4.8L)であり、循環血液量の20%(約1L)を超える失血が起きると出血性ショック(血圧低下・頻脈・意識混濁)のリスクが高まります。30%(約1.5L)以上の急速な失血は生命の危機に直結します。

出血の種類と特徴の整理(試験頻出):

| 種類 | 色 | 出血の様子 | 原因 |

|---|---|---|---|

| 動脈出血 | 鮮紅色 | 拍動性に噴き出す | 動脈の切断・損傷 |

| 静脈出血 | 暗赤色 | ゆっくり持続的に流れる | 静脈の切断・損傷 |

| 毛細血管出血 | 赤色 | にじみ出るように少量 | 擦り傷・小創傷 |

動脈出血が「鮮紅色」な理由は、動脈血が肺での酸素化(ヘモグロビンのオキシヘモグロビン化)を経た酸素豊富な血液であるためです(鮮やかな赤色)。静脈血は組織で酸素を放出した後(デオキシヘモグロビン)の血液で暗赤色になります。

【実務・条文構造】

止血法の種類と使用優先度:

| 止血法 | 方法 | 使用タイミング |

|---|---|---|

| 直接圧迫法(第一選択) | 出血部位を清潔な布・ガーゼで直接圧迫 | 全ての出血で最初に試みる |

| 間接圧迫法 | 出血部位の中枢側(心臓側)の動脈を圧迫 | 直接圧迫が困難な場合・補助的に |

| 止血帯法(ターニケット法) | 四肢の根本に止血帯を巻いて血流遮断 | 直接・間接圧迫で止まらない大量出血時 |

直接圧迫法の実施手順:

1. 清潔なガーゼ・ハンカチ・タオル等を出血部位に当てる

2. 手掌全体で強く押さえる(最低10〜20分間継続)

3. 血液が染み出した場合は追加のガーゼを重ねる(最初のガーゼは取らない)

4. 可能であれば患部を心臓より高い位置に挙上する

5. 止血後も医療機関受診を勧める

止血帯法の適応と注意事項:

  • 適応: 四肢の切断・骨折を伴う大量出血で直接圧迫が無効な場合
  • 位置: 出血部位の中枢側(心臓に近い側)の四肢根本
  • 時間制限: 30分〜1時間以上の連続使用は末梢組織の壊死・神経障害リスク
  • 管理: 止血帯を当てた時刻を記録し、医療機関に伝える

【試験での位置づけ】

止血法の問題では「動脈出血=鮮紅色・拍動性・静脈出血=暗赤色・持続流という色と様子の違い」「直接圧迫法が第一選択」「間接圧迫法は中枢側(心臓側)を圧迫」「止血帯法は第一選択ではない」が頻出事項です。アのような動脈・静脈の出血特徴の逆転と、ウのような「末梢側を圧迫する」という方向の誤りは最も多く出題される引っかけパターンです。「中枢側(心臓に近い側)を圧迫」という間接圧迫法の方向性を論理的に理解(心臓からの血流を遮断する=中枢側を押さえる)することが重要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 動脈出血の「噴き出す」という特徴は心拍のリズムに同期した拍動(血圧の変動と同期)で生じます。動脈損傷の場合、心拍ごとに血液が勢いよく吹き出し、数分以内に生命危機に至る可能性があるため、直ちに直接圧迫による止血が必要です。
  • イ: 直接圧迫中に「血が止まらない」と感じて圧迫を緩めると、形成中の血栓が剥がれてより多く出血することがあります。圧迫は「必ず10〜20分間は続ける(見てはいけない)」という指導が重要です。傷口を見たくなる衝動を抑えて圧迫を継続することが止血の成否を分けます。
  • ウ: 間接圧迫法の代表例として「手指・手の出血に対する橈骨動脈・尺骨動脈(手首内側)の圧迫」「足・下腿の出血に対する膝窩動脈(膝裏)または大腿動脈(鼠径部)の圧迫」が挙げられます。いずれも「出血部位より心臓に近い側(近位側)の動脈」を圧迫します。
  • エ: 止血帯法は近年の大規模テロ・銃撃事件対応の観点からCitizen Aid(市民による応急止血)として「出血で死なせない(STOP THE BLEED)」プログラムで再評価されています。適切に使用した止血帯は生命を救うことが確認されており、四肢の大量出血には積極的な使用が推奨されるようになっています(ただし適切な使用法の訓練が前提)。
  • オ: 開放骨折(骨が皮膚から露出した状態)の止血では、露出した骨片を無理に皮膚の中に押し込んだり操作したりすることは、血管・神経損傷を悪化させるため禁忌です。ガーゼで覆い直接圧迫しつつ骨折部位を可能な限り動かさない固定を行い、救急搬送が最優先です。

【根拠】医学的事実(確立した救急医学・応急処置)。日本赤十字社・消防庁「応急処置の基礎知識」・JRC蘇生ガイドライン2020準拠。

【補足】動脈出血=鮮紅色・拍動性に噴き出す。静脈出血=暗赤色・持続流。直接圧迫法が第一選択。間接圧迫法は「中枢側(心臓側)」の動脈を圧迫(末梢側は誤り)。止血帯法は第一選択ではない。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 医学的事実(確立した救急医学・応急処置)。直接圧迫法は出血のすべての場合に最初に試みるべき基本的止血法(日本赤十字社・消防庁「応急処置の基礎知識」)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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