関係法令(有害業務)23第一種特定化学物質障害予防規則(特化則)・安衛法第56条(製造の許可)

衛生管理者 関係法令(有害業務) 問23:特定化学物質障害予防規則(特化則)・安衛法第56条(製造の許可)

特定化学物質の中でも、製造に厚生労働大臣の許可を要する物質(特化則の第1類物質等)に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 特定化学物質のうち第1類物質(ジクロロベンジジン・アルファ−ナフチルアミン等)の製造は、都道府県労働局長の許可を受けなければならない。
  • 第1類物質を製造するための設備は、密閉式の構造とすることが義務付けられているが、品質確認のために設備を開放する場合は、制御風速1.0m/s以上の局所排気装置を使用することで代替できる。
  • 第1類物質を試験研究のために製造・取り扱う場合は、第1類物質の製造許可を受けなくても、一定の条件(都道府県労働局長への届出等)を満たせば行うことができる。正答
  • 第1類物質の製造許可を受けた事業者であれば、許可の範囲内であれば当該物質を自由に他の事業者に譲渡することができる。
  • 特化則第1類物質に該当するか否かは、物質の分子式(化学名)によって厳密に規定されており、特化則別表に記載のある物質のみが対象であり、異性体・誘導体等は含まれない。
正答:第1類物質を試験研究のために製造・取り扱う場合は、第1類物質の製造許可を受けなくても、一定の条件(都道府県労働局長への届出等)を満たせば行うことができる。

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正しいのはウです。第1類物質を試験研究のために製造・取り扱う場合は、製造許可(安衛法第56条の本則)の対象外となる特例があります(安衛法第56条ただし書)。ただしこの場合も、都道府県労働局長への届出等の要件を満たす必要があります。「試験研究目的なら無条件に許可不要」ではなく、一定の手続きが必要です。

各誤りの要点: ア→第1類物質の製造許可の申請先は厚生労働大臣であり、都道府県労働局長ではありません(安衛法第56条第1項)。イ→「品質確認のための設備開放」という例外規定は安衛法上に明示されておらず、密閉式設備の要件は厳格です。エ→製造許可の範囲内であっても、第1類物質の他事業者への譲渡については別途規制があります。オ→特化則の定義では、化学名の物質そのものだけでなく、指定された物質の混合物・含有製品も規制対象となる場合があります(誘導体・関連物質を含む場合もある)。

標準試験対策の基準レベル

特化則第1類物質の主な規制(安衛法第56条・特化則):

| 規制事項 | 内容 |

|---|---|

| 製造許可の申請先 | 厚生労働大臣(都道府県労働局長ではない) |

| 設備の要件 | 密閉式・隔離された設備での製造が義務 |

| 試験研究目的の特例 | 都道府県労働局長への届出等の要件で、製造許可を要せず研究目的での取扱い可能 |

| 作業主任者の選任 | 特定化学物質作業主任者技能講習修了者から選任 |

| 記録保存 | 作業環境測定・健診記録ともに30年保存 |

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 第1類物質の製造許可は厚生労働大臣への申請が必要(安衛法第56条第1項)。都道府県労働局長への申請ではありません。
  • イ(誤): 密閉式設備の要件(安衛法第56条第3項・特化則第49条)は厳格であり、「品質確認のための開放→局所排気で代替可能」という例外規定は法令上明示されていません。設備を開放する場合は別途の安全措置が必要です。
  • ウ(正): 安衛法第56条ただし書の通り、試験研究目的での第1類物質の製造・取扱いは、一定の要件(所轄都道府県労働局長への届出・特別の安全措置の実施等)を満たすことで、製造許可を受けずに行うことができます。
  • エ(誤): 第1類物質の他者への譲渡については、特化則上の別途の規制(使用目的・使用先の確認等)があり、「許可の範囲内なら自由に譲渡できる」とは言えません。
  • オ(誤): 特化則の定義では混合物・含有製品も規制対象になる場合があり、厳密に化学名だけで判断するものではありません。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

特化則第1類物質(製造許可物質)は、発がん性が確認されているかまたは強く疑われ、製造工程での労働者への曝露が最も厳格に制限される物質群です。第1類物質には以下のものがあります(特化則別表第1):

  • ジクロロベンジジン及びその塩
  • アルファ-ナフチルアミン及びその塩
  • 塩素化ビフェニル(別名: PCB)
  • オルト-トリジン及びその塩
  • ジアニシジン及びその塩
  • ベリリウム及びその化合物
  • ベンゾトリクロリド

(その他・合計約8種類)

これらは主に染料・顔料の中間体・工業原料として使用されてきた物質ですが、動物・ヒトへの発がん性エビデンスが蓄積したことで最高レベルの規制対象となりました。現在では多くの物質が工業的に使用されることはほとんどなく、研究・分析目的での微量取扱いが主な用途です。

製造許可制度の目的:

「厚生労働大臣の許可」という最高レベルの規制により、第1類物質を製造できる事業者を実質的に限定し、製造工程・設備・管理体制を国レベルで審査・承認することで、製造時の労働者曝露を最小化することを目的としています。許可には製造設備・管理方法・緊急時対応等の審査が含まれます。

【実務・条文構造】

第1類物質の製造許可の手続き(安衛法第56条・特化則第49条〜第55条):

製造許可申請の対象:

  • 第1類物質を「業として」製造する場合
  • 申請先: 厚生労働大臣(書類は所轄の都道府県労働局を通じて提出する場合もあるが、決定権者は厚生労働大臣)

許可の要件審査事項(特化則第49条以下):

  • 設備の密閉性・隔離性
  • 局所排気装置の設置
  • 作業環境管理の方法
  • 作業主任者の選任計画
  • 健康管理の計画
  • 緊急時対応体制

試験研究目的の特例(安衛法第56条ただし書):

  • 「試験研究のため製造し、または使用しようとするとき」は、製造許可の要件から除外される
  • ただし「都道府県労働局長に届け出た後でなければならない」という手続き要件が必要
  • また特化則第49条ただし書に定める安全措置の実施が必要

混合物・含有製品への適用(特化則の解釈):

  • 第1類物質そのものだけでなく、「当該物質を含有する製品」も規制対象となる場合がある
  • 含有率の閾値(0.1%等)以上含む製品を業として製造する場合も許可が必要なケースがある

【試験での位置づけ】

第1類物質の製造許可問題の頻出は「許可申請先=厚生労働大臣(都道府県労働局長ではない)」「試験研究目的は許可不要(ただし届出等の要件あり)」「密閉式設備の義務」の3点です。アのような「許可申請先を都道府県労働局長とする」誤りは、日常的な許可・届出業務(労働基準監督署・都道府県労働局へ届出)との混同から来る典型的な引っかけです。第1類物質は「最高レベルの規制→厚生労働大臣への許可」という規制の重さと申請先の対応を正確に覚えてください。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 安衛法の許可・届出制度では「許可申請先」と「届出先」が業務の種類によって異なります。第1類物質の製造許可は国(厚生労働大臣)への申請であり、これは規制の厳格さの表れです。一方で、多くの安全管理措置の届出は所轄の労働基準監督署長・都道府県労働局長への届出で足りる場合が多く、許可と届出の申請先の使い分けは試験で繰り返し問われます。
  • イ: 第1類物質の製造設備を密閉式にする義務の背景は「発がん性物質の蒸気・粉じんを工程内で完全に封じ込める」ことにあります。局所排気装置は「発生した有害物質を捕集して屋外排出する」設備であり、「発生させない(密閉化)」という第1類物質の設備要件とは本質的に異なる手段です。試験でも「密閉化=より厳格な措置」「局所排気装置=次の選択肢」という位置づけを理解することが重要です。
  • ウ: 試験研究目的の特例は「科学的研究の自由の保護」と「重大な発がん性物質の規制」のバランスを取るための制度です。全面的に禁止すれば新たな安全性評価研究や解毒薬・治療薬研究も妨げられるため、届出・安全措置を条件に研究目的での取扱いを認めています。
  • エ: 第1類物質の譲渡については、受け取る側(購入者)がどのような目的・施設で使用するかの確認が重要です。発がん性確認物質を無制限に流通させることは、製造規制を設けた趣旨と矛盾するため、譲渡先の管理・記録等が求められます。
  • オ: 化学物質の規制において「誘導体・異性体」の扱いは実務上の難問です。例えばベンゾトリクロリド(第1類物質)の関連誘導体が規制対象かどうかは個別の判断が必要です。近年の化学物質管理の自律的管理体制では、規制物質リストに掲載されていない物質でもGHS分類・リスクアセスメントに基づいて自律的に管理することが求められており、「リストにない=規制なし」という理解は古い考え方です。

【根拠法令】労働安全衛生法 第56条第1項(第1類物質の製造許可:厚生労働大臣への申請)・第56条ただし書(試験研究目的の製造:都道府県労働局長への届出で製造許可不要)、特定化学物質障害予防規則 第49条(密閉式設備の要件)・別表第1(第1類物質の列挙)

【補足】第1類物質の製造許可申請先=厚生労働大臣(都道府県労働局長ではない)。試験研究目的の製造・取扱いは都道府県労働局長への届出等の要件で製造許可不要(ただし手続き必要)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第56条(第1類物質の製造許可:厚生労働大臣に申請)・第56条ただし書(試験研究目的の特例)、特化則第2条(第1類物質の定義)・特化則第49条〜。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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