行政法10義務付け訴訟・差止め訴訟・申請型/非申請型の区別

行政書士 行政法 問10:義務付け訴訟・差止め訴訟・申請型/非申請型の区別

行政事件訴訟法が定める義務付け訴訟及び差止め訴訟に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 申請型義務付け訴訟を提起する場合には、申請拒否処分の取消訴訟または不作為の違法確認訴訟を同時に提起しなければならない。正答
  • 非申請型義務付け訴訟(直接型)を提起するには、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあること及び補充性(他に適当な方法がないこと)という要件は不要であり、主張する利益の内容・性質のみで足りる。
  • 差止め訴訟を提起するには、処分がなされることにより重大な損害を生ずるおそれがあること及び補充性(他に適当な方法がないこと)という要件のいずれか一方を充たせば足りる。
  • 義務付け判決が認められた場合でも、行政庁はその判決に拘束されず、行政庁固有の裁量に基づいて別の処分をすることが許される。
  • 申請型義務付け訴訟は、申請に対して行政庁が何ら応答せず放置している場合(不作為の場合)のみ認められ、申請を拒否する処分がなされた場合には申請型義務付け訴訟ではなく取消訴訟によるべきとされている。
正答:申請型義務付け訴訟を提起する場合には、申請拒否処分の取消訴訟または不作為の違法確認訴訟を同時に提起しなければならない。

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義務付け訴訟には「申請型(37条の3)」と「非申請型(直接型・37条の2)」の2種類があります。申請型は、申請に対して不作為または拒否処分があった場合に提起でき、不作為違法確認訴訟または取消訴訟を同時に提起することが必要です(アが正しい)。イは非申請型の要件として「重大な損害のおそれ」と「補充性」が不要とする点で誤りです(両方必要)。ウは差止め訴訟で「一方を充たせば足りる」としている点が誤りです(両方必要)。オは申請型が「拒否処分の場合には使えない」としている点が誤りです(拒否処分の場合にも申請型義務付け訴訟を提起できる)。

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義務付け訴訟の2類型の要件を整理します。非申請型義務付け訴訟(37条の2): 申請権に基づかない場合に、行政庁に一定の処分をするよう求める訴訟。要件は①重大な損害を生ずるおそれ(3条6項2号)、②補充性(他に適当な方法がないこと)の両方が必要(イが「不要」としており誤り)。申請型義務付け訴訟(37条の3): 申請等に対して拒否処分・不作為がある場合に、処分をすべきことを求める訴訟。要件は①申請拒否処分の取消訴訟または不作為違法確認訴訟を同時提起すること(アが正しい)。拒否処分の場合も使えます(オが「不作為の場合のみ」としており誤り)。差止め訴訟(37条の4): ①重大な損害を生ずるおそれ、②補充性の両方が必要(ウが「一方で足りる」としており誤り)。義務付け判決の拘束力: 義務付け判決が確定した場合、行政庁はその判決の趣旨に従って処分・裁決をしなければなりません(33条による拘束力。エが「拘束されない」としており誤り)。

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【理論的背景】

義務付け訴訟・差止め訴訟は、2004年(平成16年)行訴法改正によって法定訴訟類型として新設されました(それ以前は無名抗告訴訟として議論されていた)。改正の趣旨は、行政庁が必要な処分をしない・してはならない処分をしようとしている場合に、国民が実効的な権利救済を受けられるよう手続を整備することです。義務付け訴訟は「積極的な処分を求める」(給付訴訟的性格)、差止め訴訟は「処分をしないよう求める」(不作為訴訟的性格)という点で、取消訴訟(行政行為の取消し)とは異なる機能を持ちます。

【実務・条文構造】

申請型義務付け訴訟(37条の3)の詳細な要件分析:

1. 本案要件: 申請・審査請求等に対して①拒否処分がされた場合、または②相当期間内に何らかの処分がされない(不作為)場合のいずれかに限定。

2. 訴訟要件: 上記①の場合は当該拒否処分の取消訴訟または無効等確認訴訟を、②の場合は不作為違法確認訴訟を、それぞれ同時に提起することが必要(アの根拠)。

3. 認容判決の内容: 裁判所は処分・裁決をすべきことを命じる判決(義務付け判決)を出す。

差止め訴訟(37条の4)との要件比較:

| 訴訟類型 | 重大な損害のおそれ | 補充性 | 原告適格 |

|---|---|---|---|

| 非申請型義務付け | 必要 | 必要 | 法律上の利益を有する者 |

| 差止め訴訟 | 必要 | 必要 | 法律上の利益を有する者 |

| 申請型義務付け | 不要(申請権に基づく) | 不要 | 申請者・審査請求人 |

この表から、申請型と非申請型・差止めで要件が異なることが分かります(非申請型・差止めは「重大な損害」+「補充性」が両方必要)。

【試験での位置づけ】

本論点は行政書士試験で近年頻出の改正論点です。典型的な引っかけは「申請型は不作為の場合のみ(×・拒否処分の場合も可)」「差止めは一方の要件で足りる(×・両方必要)」「義務付け判決に行政庁は拘束されない(×・拘束される)」の3パターンです。2004年改正の内容として各訴訟類型の要件を正確に区別することが重要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。37条の3は申請型義務付け訴訟について、拒否処分取消訴訟または不作為違法確認訴訟との同時提起を義務づけている。
  • イ: 誤り。非申請型(37条の2)は「重大な損害のおそれ」と「補充性」の両方が必要。「不要」は誤り。
  • ウ: 誤り。差止め訴訟(37条の4)も「重大な損害のおそれ」と「補充性」の両方が必要。「一方で足りる」は誤り。
  • エ: 誤り。義務付け判決は行訴法33条の拘束力を持ち、行政庁はその判決の趣旨に従って処分をしなければならない。「拘束されない」は誤り。
  • オ: 誤り。申請型は①拒否処分の場合と②不作為の場合のいずれにも認められる。「不作為の場合のみ」は誤り。

【根拠条文】

行政事件訴訟法 第3条第6項・第7項(義務付け訴訟・差止め訴訟の定義)、第37条の2(非申請型の要件)、第37条の3(申請型の要件・同時提起義務)、第37条の4(差止め訴訟の要件)、第33条(判決の拘束力)

【補足】

申請型は「取消or不作為違法確認訴訟の同時提起必要」「拒否処分にも使える」という2点が試験で問われる。2004年改正の新設訴訟類型の要件は表形式で整理して暗記すると効果的。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政事件訴訟法 第3条第6項・第7項(義務付け訴訟・差止め訴訟の定義)、第37条の2(非申請型義務付け訴訟の要件)、第37条の3(申請型義務付け訴訟の要件)、第37条の4(差止め訴訟の要件)、第33条(判決の拘束力) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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