行政書士 行政法 問53:行政不服審査法の審査請求人・参加人・代理人
行政不服審査法が定める審査請求手続の当事者・関係者に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア審査請求は、自然人のみが行うことができ、法人その他の団体は審査請求人となることができない。
- イ多数人が共同して審査請求をする場合には、必ず3人以下の代表者を選定しなければならず、代表者を選定しない場合は審査請求が不適法となる。
- ウ審査請求の手続において、利害関係人は、審理員の許可を得て、審査請求に参加することができる(参加人)。また審査庁は、必要があると認める場合には、利害関係人に参加を求めることができる。正答
- エ審査請求の代理人は、弁護士でなければ代理人になることができない。
- オ審査請求人が死亡した場合、相続人その他の一般承継人は、審査庁の許可を得なければ審査請求人の地位を承継することができない。
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ウが正しいです。行審法13条1項は、利害関係人が審理員の許可を得て審査請求に参加できること(参加人)を定め、13条2項は審査庁が利害関係人に対して参加を求めることができることを定めています。アは誤りで、法人のほか法人でない社団・財団で代表者・管理人の定めがあるものも審査請求人となることができます(10条)。イは誤りで、3人以下の総代を選定することができる(任意)とされており、選定しなくとも不適法にはなりません(11条1項)。エは誤りで、弁護士に限らず、審査請求人は代理人を選任することができます(12条1項)。オは誤りで、審査請求人が死亡した場合、相続人その他の一般承継人は当然に(許可を要せず)審査請求人の地位を承継します(15条1項)。許可が必要なのは、処分に係る権利を譲り受けた特定承継人の承継(15条6項)の場合です。
審査請求人適格(アが誤りの根拠): 行審法は処分に不服がある「者」が審査請求できると定めています(2条)。「者」には自然人・法人が含まれますが、法人でない社団・財団でも代表者または管理人の定めがあるものは審査請求人となることができます(10条)。NPO(法人格取得前の団体)や住民団体等も一定の要件で審査請求人適格を持ちえます。
共同審査請求の総代制(イが誤りの根拠・11条): 多数人が共同して審査請求する場合、3人以下の総代を互選によって選定することができる(任意)。選定しなくとも審査請求が不適法になるわけではありません。総代を選定した場合は総代が各自のために手続を行いますが(11条3項)、選定しない場合は各自が当事者として手続に関与します。
参加人(ウが正しい根拠・13条): 審査請求の参加には二種類あります。①利害関係人が審理員の許可を得て参加する「許可参加」(13条1項)、②審査庁(審理員を通じて)が利害関係人に参加を求める「参加要請」(13条2項)。いずれも審査請求の結果により権利利益に影響を受ける第三者の手続参加を保障するものです。
代理人(エが誤りの根拠・12条): 審査請求は代理人によってすることができ(12条1項)、代理人は弁護士に限りません。行訴法での訴訟代理人(弁護士代理原則)と異なり、行審法の代理人は弁護士以外でも務めることができます(代理権限の証明が必要)。
【審査請求人適格の理論的根拠】
行審法2条は「行政庁の処分に不服がある者は…審査請求をすることができる」と規定します。「不服がある者」の範囲は取消訴訟の原告適格(行訴法9条)と対比されますが、行審法の審査請求人適格は取消訴訟の原告適格より広いとされる場合があります。理由は:①行審法は「法律上保護された利益」という限定がなく「不服がある者」という文言が広い、②行審法の目的に「行政の適正な運営の確保」が含まれ、公益的見地からの申立てを許容する余地があるから。ただし、実際の運用では「正当な利益を有する者」として実質的に絞り込まれます。
法人でない社団・財団(10条)の典型例:自治会・町内会・マンション管理組合(法人格のない場合)・各種任意団体が、これらの団体に関わる処分(例:団体の活動拠点の許可取消し)に対して審査請求人となるケースです。代表者または管理人が定められていれば足り、設立登記等は不要です。
【参加人制度の実務と手続上の権限】
参加人(13条)には審査請求人と類似した手続権限が認められます(審理員による手続の告知を受ける権利・弁明書等の書類の閲覧等)。参加人の手続上の権限は13条4項で審査請求人に準じた権限が付与されます。参加人が存在することで多角的な視点からの審理が実現し、処分の相手方・申請者・第三者(隣接地所有者等)の利害が手続に反映されます。
典型的な参加人の例:建築確認処分に対する審査請求に、周辺住民が参加人として参加する場合。この場合、建築主(処分の相手方)が審査請求に対する応答として弁明を行い、周辺住民(参加人)が自己の利害を主張する構造になります。
【代理人・総代制の比較と弁護士代理との相違】
行審法上の代理人(12条)と行訴法上の訴訟代理人を比較します。
- 行審法: 代理人は弁護士に限らない(12条1項)→資格制限なし。代理権は書面で証明(12条2項)。
- 行訴法: 訴訟代理人は原則として弁護士でなければならない(民事訴訟法54条1項本文→行訴法7条で準用)。
この差は、審査請求が行政手続の延長として位置づけられ、より国民が自力で利用しやすい制度設計を志向していることに由来します。実務では、弁護士・行政書士・税理士(税務に関連する不服申立て)等が代理人として活躍します。
総代制(11条)は「多数人が共同して審査請求する場合」の手続効率化の仕組みです(「選定することができる」として任意)。選定された総代は「3人以内」(11条1項)の制限があります。総代は各自のために一切の行為をすることができますが、審査請求の取下げには総代全員の関与が必要です(11条4項)。
【地位承継の詳細(15条)】
審査請求人が死亡した場合(一般承継): 相続人その他法令により処分に係る権利を承継した者が、当然に(審査庁の許可を要せず)審査請求人の地位を承継します(15条1項)。法人の合併・分割による承継も同様に当然承継です(15条2項)。これらの一般承継人は、地位を承継した旨を書面で審査庁に届け出ます(15条3項)。
審査請求の目的となった処分に係る権利を譲り受けた者(特定承継): 権利の譲渡等により処分に係る権利を取得した者は、審査庁の許可を得て審査請求人の地位を承継することができます(15条6項)。一般承継(当然承継・許可不要)と特定承継(許可必要)の区別が重要です。
オが誤りの根拠: オは「審査請求人が死亡した場合、相続人その他の一般承継人は、審査庁の許可を得なければ地位を承継できない」としていますが、相続人等の一般承継は15条1項により当然に承継し、審査庁の許可は不要です。許可が必要なのは譲受人(特定承継・15条6項)の場合であり、オはこの区別を取り違えている点で誤りです。正答ウは、利害関係人が審理員の許可を得て参加でき(13条1項)、かつ審査庁が利害関係人に参加を求めることができる(13条2項)の2点を正確に示しており、正しい記述です。
【根拠条文】
行政不服審査法 第10条(法人でない社団等の審査請求)、第11条(多数人の共同審査請求・総代)、第12条(代理人)、第13条(参加人)、第15条(審査請求人の地位の承継)
【補足】
代理人は弁護士に限らない(行審法)vs 訴訟代理人は弁護士原則(行訴法)の対比が頻出。参加人は「審理員の許可」+「審査庁の参加要請」の二経路あり。地位承継は、相続人等の一般承継=当然承継(許可不要・15条1項)/譲受人の特定承継=審査庁の許可必要(15条6項)の区別が要点。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政不服審査法 第10条(法人でない社団・財団)、第11条(多数人の共同審査請求)、第13条(参加人)、第12条(代理人)、第15条(審査請求人の地位の承継) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。