行政法70行政事件訴訟法・第三者の訴訟参加・行政庁の訴訟参加

行政書士 行政法 問70:行政事件訴訟法・第三者の訴訟参加・行政庁の訴訟参加

行政事件訴訟法が定める訴訟参加に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 取消訴訟において、裁判所は、訴訟の結果によって権利を害される第三者があるときは、当事者もしくは第三者の申立てまたは職権で、その第三者を訴訟に参加させることができる。
  • 処分または裁決をした行政庁以外の行政庁は、取消訴訟に参加することができる。また、裁判所は当該行政庁の申立てがなくとも、必要があると認めるときは当該行政庁を訴訟に参加させることができる。
  • 取消訴訟に第三者が参加した場合、参加した第三者は参加前に当事者が行った訴訟行為の効力には拘束されないため、すでに確定した期日の取消しを申立てることができる。正答
  • 取消訴訟の判決は第三者に対してもその効力を有する(第三者効・行訴法32条1項)が、この第三者効は利害関係人が訴訟に参加した場合のみ及ぶのではなく、訴訟参加しなかった第三者にも原則として及ぶ。
  • 訴訟参加した第三者は、民事訴訟法上の補助参加と同様に、当事者の一方を補助するためにのみ訴訟行為を行うことができる。
正答:取消訴訟に第三者が参加した場合、参加した第三者は参加前に当事者が行った訴訟行為の効力には拘束されないため、すでに確定した期日の取消しを申立てることができる。

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ウが誤りです。行訴法22条2項は「参加の申立て又は参加の決定があったときは、参加前に行われた訴訟行為の効力を妨げない」と規定しており、参加した第三者は参加前の訴訟行為の効力に拘束されます(参加前の行為の効力は維持される)。つまり「参加前の訴訟行為の効力には拘束されない」は逆で、参加以前の訴訟の状態(すでに終わった期日・決定等)を覆すことはできません。アは正しく(22条1項・職権参加も可)、イは正しく(23条・行政庁の参加・職権でも可)、エは正しく(32条1項・第三者効は参加なしでも及ぶ)、オは誤りで、行訴法上の第三者参加は独立した参加者として独自の訴訟行為が認められる場合があります。

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取消訴訟における訴訟参加の種類:

第三者の訴訟参加(22条):

  • 根拠:「訴訟の結果によって権利を害される第三者」に参加を認める
  • 申立主体:当事者または第三者の申立て、または裁判所の職権
  • 参加した第三者の地位:独立当事者参加の性格(補助参加より独立性が高い)
  • 参加前の訴訟行為:22条2項により「参加前の訴訟行為の効力を妨げない」→参加前の状態は覆せない(ウが誤りの根拠)

行政庁の訴訟参加(23条):

  • 処分・裁決をした行政庁以外の行政庁も参加可能
  • 申立てまたは裁判所の職権で参加させることができる(イが正しい根拠)
  • 参加した行政庁は「訴訟の勝敗に関する行政庁内の利益関係者」として専門的知見を提供

第三者効(32条・エが正しい根拠)

取消判決の第三者効は、訴訟に参加したかどうかを問わず、すべての第三者に及びます(対世効)。これは行政処分の「一般的効力」(特定の者に限らず効力が及ぶこと)と整合するためです。しかし第三者が訴訟に参加していない場合、参加の機会がなかったにもかかわらず判決効が及ぶのは問題があります。そこで22条3項は、第三者が参加の機会がなかったことにより自己の権利を主張できなかった場合の救済(再審の訴え・行訴法34条)を認めています。

オの誤り(行訴法の参加と補助参加の違い): 民事訴訟法の補助参加は当事者の一方を補助する立場からしか行為できません。行訴法22条の第三者参加は、補助参加より独立性が高く、独自の攻撃防御方法(証拠申出・事実主張等)を行うことができます(ただし範囲は問題になりえます)。

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【第三者参加の制度趣旨(22条・32条との整合)】

取消訴訟の第三者参加制度の核心的な問題は「取消判決の第三者効(32条)」との関係です。取消判決が出ると、訴訟当事者以外の第三者にもその効力が及びます(32条1項)。この「第三者効」は処分の統一的効力維持のために不可欠ですが、訴訟に参加できなかった第三者に対して判決効を押し付けることには問題があります。

22条の第三者参加は、この問題への予防的対応です。第三者が取消訴訟に参加することで、①自己の主張・証拠を提出する機会を得る、②判決確定後に「参加の機会がなかった」として再審を申し立てる根拠を弱める(参加できたのに参加しなかったなら第三者効が及んでも不利益は自己責任)、という効果があります。

参加の条件「訴訟の結果によって権利を害される第三者」:例えば、建築確認処分取消訴訟(申請者Aと行政庁の訴訟)に、確認に係る建物に隣接するBが参加する場合(Aが勝訴して建築確認が取り消されればBの利益になる可能性・逆にAが敗訴すれば建物が建ってBの環境利益が害される)。このようにBが「権利を害されるおそれ」がある場合に参加を認めます。

【22条の参加と独立当事者参加の関係】

行訴法22条の参加は、民事訴訟法上の「補助参加」(47条)とも「独立当事者参加」(47条)とも微妙に異なる行政訴訟固有の参加形態です。

22条参加の特徴:

  • 参加した第三者は独立した攻防権(独自の主張・証拠提出等)を持つ→補助参加(当事者の一方を援助するのみ)より強い立場
  • 判決は参加した第三者にも効力を及ぼす→補助参加者は主体的には既判力の拘束を受けないことと対比
  • 参加前の訴訟行為は覆らない(22条2項・ウが誤りの根拠)

ウが誤りの詳細(22条2項の正確な意味):「参加前に行われた訴訟行為の効力を妨げない」とは、すでに確定した期日の指定・証拠調べ・和解勧告等を第三者参加を理由に無効にすることはできないことを意味します。第三者が参加しても、参加以前の訴訟手続の経過を「やり直し」させることはできません(参加したことで訴訟手続がリセットされない)。

【第三者効と再審の訴え(行訴法34条)】

第三者効(32条)が及ぶにもかかわらず、参加の機会がなかった第三者に対する救済として、行訴法34条は再審の訴えを認めます。再審の要件(34条1項):①確定判決の第三者効が及ぶこと、②自己の責めに帰することができない理由により訴訟に参加できなかったこと、③確定判決に反する主張が認められる可能性があること(本案勝訴の見込み)。

再審の訴えは「判決確定後30日以内」(34条2項)に提起しなければなりません。この期間制限は、第三者効による処分の安定性確保と第三者の救済機会の確保のバランスを図るものです。

【行政庁参加の実務的意義(23条)】

処分・裁決をした行政庁以外の行政庁の参加(23条)が問題となる典型例:

  • 国(被告)の処分取消訴訟に、関連する行政庁(地方公共団体の機関が参加して独自の立場から意見を述べる場合)が参加するケース
  • 複数の許可・認可が絡む処分について、主担当省庁以外の関係省庁が参加する場合

行政庁参加の効果:参加した行政庁は専門的知見を訴訟に提供し、裁判所が複雑な行政実態を正確に理解した上で判断できるように貢献します。また参加行政庁は訴訟の結果に拘束されます(23条3項・準用規定による)。

【根拠条文】

行政事件訴訟法 第22条第1項(第三者の訴訟参加・申立てまたは職権)、第22条第2項(参加前の訴訟行為の効力の維持)、第22条第3項(再審の訴えの手続き)、第23条(行政庁の訴訟参加)、第32条第1項(取消判決の第三者効)、第34条(再審の訴え)

【補足】

参加した第三者は参加前の訴訟行為の効力を覆せない(22条2項)。第三者効(32条)は参加・非参加を問わず全ての第三者に及ぶ(対世効)。参加機会がなかった第三者は再審の訴え(34条・30日以内)で救済。行政庁参加は申立てまたは職権(23条)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政事件訴訟法 第22条(第三者の訴訟参加)・第23条(行政庁の訴訟参加)・第32条(第三者効) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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