商法・会社法20株主名簿・名義書換・株主名簿の閉鎖

行政書士 商法・会社法 問20:株主名簿・名義書換・株主名簿の閉鎖

株主名簿に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 株式会社は株主名簿を作成し、株主の氏名または名称・住所・保有株式数・株式の取得日等を記載または記録しなければならない。
  • 株式の譲渡は、取得者の氏名または名称および住所を株主名簿に記載または記録(名義書換)しなければ、会社に対して対抗することができない。
  • 会社は、株主名簿の名義書換を、株主権の行使のために必要な一定の日(基準日)において株主名簿に記載された株主のみが権利を行使できるよう、基準日を設定することができる。
  • 株主名簿上の株主(名義株主)は、たとえ実質的な株式の所有者(実質株主)が別に存在する場合でも、会社に対して株主として扱われる権限を持ち、会社はその名義株主の議決権行使を拒絶することができない。
  • 会社は、権利行使のために必要な一定の日を基準日として定め、基準日から3か月以内の一定の日に行使する権利に係る者を株主として扱わなければならない。正答
正答:会社は、権利行使のために必要な一定の日を基準日として定め、基準日から3か月以内の一定の日に行使する権利に係る者を株主として扱わなければならない。

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株主名簿は会社が作成・維持する株主情報の記録です(会社法121条)。株式の譲渡は名義書換(株主名簿への記載)をしなければ会社に対して対抗できません(イ正しい)。基準日(会社法124条):会社は一定の日を基準日として定め、その日に株主名簿に記載されている株主が権利行使できると定めることができます(ウ正しい)。オが誤りで、基準日から3か月以内ではなく正確には「基準日から3か月以内」の日を権利行使日とすることができますが、「しなければならない」という義務規定ではありません(任意)。またエについて、名義株主(名簿上の株主)が実質株主と異なる場合でも、会社は名義株主を株主として扱うことができ(善意の会社を保護)、これは正しい記述です(エは正しい方向)。

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株主名簿制度の各論点を整理します。株主名簿の記載事項(121条):①株主の氏名または名称・住所、②株主の保有する株式の数(種類ごと)、③株式の取得日、④株券発行会社の場合は株券番号等(ア正しい)。名義書換と対抗要件(130条1項):株式の譲渡は、名義書換(取得者を株主名簿に記載)をしなければ「会社その他の第三者」に対抗することができません(イ正しい)。会社に対しての対抗のみならず、第三者一般にも対抗できない点に注意(不動産登記との比較)。名義株主の扱い(エ正しい):株主名簿上の株主(名義人)が実際の所有者と異なる場合でも、会社は名簿上の株主を株主として扱うことができます(形式的株主の原則)。会社が悪意でなければ、名義株主への対応が保護されます。基準日(124条):会社は①基準日を定め、②基準日に株主名簿に記載された株主が権利行使できると定めることができます(任意)。基準日から権利行使日まで3か月以内でなければなりません(124条2項)(オ:「しなければならない」と述べる点が誤り。基準日の設定自体は義務ではなく任意。また「3か月以内の日に行使する権利…として扱わなければならない」という義務規定も正確ではない)。基準日株主以外の者(基準日後に取得した者)についても、会社が定める場合は権利行使を認めることができます(124条4項)。

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【理論的背景】

株主名簿制度は、株式会社が多数の株主の権利関係を管理するための制度です。株式が市場で活発に売買される場合(特に上場会社)、日々株主が変動するにもかかわらず、会社が全株主を把握・対応することは現実的でないため、「名簿に記載された者を株主として扱う」という形式的な基準を設けることが合理的です。基準日制度は、株主総会・配当等の権利行使のための「権利確定日」を設けることで、株主総会に先立ってある時点での株主を確定し、議決権・配当の帰属を明確化する機能があります(例:3月決算会社は3月31日基準日・6月株主総会という運用が一般的)。名義株主と実質株主の分離(いわゆる名義借り・仮名取引)の問題では、会社は形式的に名義株主を株主として扱うことで足り(善意の会社を保護する形式的株主の原則)、実質的な所有関係は当事者間で解決すべき問題とされています。

【条文構造】

会社法121条が株主名簿の記載事項を規定(1号〜4号)。130条1項「株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない」(会社・第三者双方への対抗要件)。会社法124条1項「株式会社は、一定の日(以下この条において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる」(任意規定)。124条2項「基準日は、株主の権利を行使することができる日の3か月前の日以前の日でなければならない」(基準日から権利行使日まで3か月以内であることを義務付け)。この条文の意味は「基準日から3か月を超えて先の日を権利行使日として設定することはできない」という制限であり、基準日の設定自体は任意です。

【試験での位置づけ】

行政書士試験での株主名簿の問われ方は、①名義書換の対抗要件(会社・第三者に対して名義書換が必要)、②名義株主の保護(形式的株主の原則)、③基準日の意義・効果・3か月以内の制限の3点が典型です。本問オの「しなければならない」という義務的表現と「3か月以内」という数字の組み合わせが引っかけです。基準日は設定が任意であり、義務的に設定しなければならないという規定はありません。また株主名簿の閲覧請求権(125条等)や、機関投資家が多い上場会社での株主名簿の実務(証券保管振替機構との連携)も発展論点です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。会社法121条が株主名簿の作成義務と記載事項(氏名住所・株式数・取得日等)を規定。
  • イ: 正しい。130条1項(名義書換の対抗要件)。名義書換前は「会社」に対して対抗できない(会社は名簿上の旧株主を株主として扱える)。
  • ウ: 正しい。124条1項(基準日制度の任意設定)。基準日に名簿上に記載された株主が権利行使できると定めることができる(任意)。
  • エ: 正しい(概ね)。形式的株主の原則により、会社は名義株主を株主として扱うことができる(善意の会社を保護)。実質株主とのいわゆる名義借り問題は当事者間で処理。
  • オ: 誤り。基準日の設定は任意規定(「することができる」)であり、「しなければならない」という義務はない。また「基準日から3か月以内の日に権利行使できる者を…として扱わなければならない」という義務もなく、正確には基準日から権利行使日まで3か月以内という「制限」が課されるにすぎない(124条2項)。

【根拠条文】

会社法 第121条各号(株主名簿の記載事項)

会社法 第130条第1項(株式の譲渡の対抗要件・名義書換)

会社法 第124条第1項・第2項(基準日・任意設定・3か月以内制限)

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第121条(株主名簿の記載事項)、会社法第130条(株式の譲渡の対抗要件)、会社法第124条(基準日) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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