商法・会社法53商法・会社法/機関(株主総会)

行政書士 商法・会社法 問53:商法・会社法/機関(株主総会)

株主総会の決議省略(書面決議)および株主提案権に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 株式会社は、株主の全員が書面または電磁的記録により株主総会の目的である事項について同意の意思表示をした場合、その時点で当該事項についての株主総会の決議があったものとみなされる。ただし、この制度(書面決議)は、取締役会設置会社においては利用することができない。
  • 書面決議(みなし決議)によって決議があったものとみなされた場合、その効果は有効な株主総会の決議と同一であるが、書面決議が成立した場合には計算書類の承認を書面決議で行うことはできない。
  • 株主は、定款に別段の定めがない限り、株主総会の開催(8週間前・6か月前の保有要件なし)前であれば、株主総会の議題・議案の追加を会社に対して要求することができる(株主提案権)。
  • 取締役会設置会社における株主提案権は、総株主の議決権の100分の1以上または300個以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主に限り行使することができる。正答
  • 取締役会設置会社において、取締役会が株主から招集の請求を受けた場合(会社法297条)、取締役会は遅滞なく臨時株主総会の招集をしなければならないが、正当な理由があれば招集を拒絶することができる。
正答:取締役会設置会社における株主提案権は、総株主の議決権の100分の1以上または300個以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主に限り行使することができる。

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株主総会の書面決議・株主提案権が問われています。エが正しい。取締役会設置会社での株主提案権(会社法303条2項)は「総株主の議決権の100分の1以上または300個以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主」に行使権限があります。アは誤り:書面決議(319条)は取締役会設置会社でも利用できます。イは誤り:計算書類の承認についても書面決議の活用が否定される明文規定はありません(ただし監査等の手続との関係で実務上の制約はあります)。ウは誤り:6か月前からの継続保有要件が取締役会設置会社では必要です(303条2項)。オは誤り:一定要件を満たす株主からの招集請求があった場合、取締役会は遅滞なく招集しなければならず、「正当な理由があれば拒絶できる」という規定はありません(297条4項:請求後8週間以内に総会が招集されなければ株主が自ら招集できる)。

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書面決議(みなし決議・319条):株主の全員が書面または電磁的記録で同意した場合、決議があったものとみなされます(319条1項)。取締役会設置会社でも利用可能(アの「利用できない」は誤り)。ただし計算書類・監査報告に関係する決議は特別の手続が必要な場合がありますが、「計算書類の承認は書面決議ができない」という明文の禁止規定はありません(イ誤り)。株主提案権(303条〜305条):株主は総会の議題追加・議案追加・議案要領通知請求を行使できます。取締役会非設置会社(303条1項):単独株主権(保有要件・継続保有要件なし)として行使できます。取締役会設置会社(303条2項):「総株主の議決権の100分の1以上または300個以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主」が行使できます(少数株主権:エ正しい)。ウが誤りの理由は「6か月前から継続保有」要件を省略している点です。なお取締役会設置会社における株主提案権の議案数には2021年改正で上限(同一の株主総会で提案できる議案数は10個以内:305条4項)が設けられています。

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【理論的背景:書面決議制度の趣旨と株主提案権の意義】

書面決議(みなし決議:319条)は、実際に株主を一堂に集める必要をなくし、小規模な閉鎖会社(同族会社等)において全株主が合意済みの事項を迅速に決議する手段として機能します。「全員同意」という高いハードルがあるため、一人でも反対する株主がいれば利用できません。大規模な上場会社では現実的に利用困難ですが、100%子会社等では親会社が全株主であるため頻繁に活用されます。株主提案権(303条〜305条)は株主の積極的経営参加の権利として重要です。ただし乱用防止のため、取締役会設置会社では6か月継続保有要件・100分の1または300個の保有量要件が課されています。2021年の会社法改正(令和元年法律70号・2021年3月施行)では株主提案の議案数に10個の上限が設けられました(305条4項)。これはアクティビスト株主が多数の議案を一括提案して経営を混乱させるケースへの対応です。

【条文構造:319条の書面決議と297条の招集請求の正確な理解】

会社法319条1項「取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。」全員同意が必要なため、仮に議決権制限株式の株主には意思表示を求めない点も重要です(「議決権を行使することができるものに限る」)。会社法297条は株主による招集請求を規定します。297条1項「総株主の議決権の100分の3以上(定款で引下げ可)の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、臨時株主総会の招集を請求することができる。」297条4項「取締役が招集の請求があった日から8週間以内の日を招集日とする総会の招集の通知を発しないとき(中略)は、その請求をした株主は、裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができる。」取締役会に「正当な理由があれば拒絶できる」という規定はなく、要件を満たした請求には原則として招集義務があります(オ誤り)。

【試験での位置づけ:行政書士試験における書面決議・株主提案の頻出パターン】

行政書士試験での書面決議・株主提案の典型的な問われ方は①書面決議の要件(全員同意・取締役会設置会社でも利用可)、②株主提案権の保有要件(取締役会設置会社:100分の1以上または300個以上・6か月継続)、③株主提案の議案数制限(2021年改正・10個以内)、④招集請求の手続(297条・100分の3以上・6か月継続・8週間以内不招集→株主自ら招集)の4点です。ウのように「6か月の継続保有要件を省略」する誤り肢と、アのように「取締役会設置会社では書面決議不可」とする誤り肢が典型的な引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。書面決議(319条)は取締役会設置会社でも利用できる。要件は「株主全員の同意」であり、会社の規模・機関設計による制限はない。
  • イ: 誤り。計算書類の承認についても書面決議の利用を禁止する明文規定はない。ただし計算書類は監査役・会計監査人の監査報告を添付する手続との関係で、実務上は通常の招集手続を経ることが多い。
  • ウ: 誤り。取締役会設置会社の株主提案権(303条2項)は「6か月前から引き続き有する」という継続保有要件と「100分の1以上または300個以上」という保有量要件の双方が必要。取締役会非設置会社(303条1項)では単独株主権として保有要件なしに行使できる。
  • エ: 正しい。会社法303条2項の正確な内容。2021年改正で議案数上限(10個)が追加されたが、保有要件自体は変わっていない(305条4項)。
  • オ: 誤り。招集請求(297条)に対して「正当な理由があれば拒絶できる」という規定はない。要件を満たす請求には原則として応じなければならず、8週間以内に招集しない場合は株主が裁判所の許可を得て自ら招集できる(297条4項)。

【根拠条文】

会社法 第297条第1項・第4項(株主による招集請求・自己招集)

会社法 第303条第1項・第2項(株主提案権・議題追加・保有要件)

会社法 第305条第4項(株主提案の議案数上限・10個・2021年改正)

会社法 第319条第1項(書面決議・全員同意によるみなし決議)

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第319条(株主総会の書面決議・みなし決議)、会社法第303条(株主提案権・議題・議案追加)、会社法第297条(株主による招集の請求) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

関連論点

株主総会の書面決議(全員一致による省略頻出度B

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