商法・会社法54商法・会社法/機関(取締役)

行政書士 商法・会社法 問54:商法・会社法/機関(取締役)

株式会社における取締役の任期に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 取締役の任期は、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までであり、この2年という任期は定款または株主総会の決議によって短縮することはできない。
  • 公開会社でない株式会社(非公開会社)においては、定款によらず株主総会の普通決議のみによって、取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができる。
  • 監査等委員会設置会社以外の会社において設置される監査等委員でない取締役の任期は、原則2年であり、定款の定めによっても1年に短縮することはできない。
  • 取締役の任期中に辞任・解任・死亡等によって任期途中で終了した場合、後任の取締役の任期は新たに起算され常に2年(または定款に定める任期)の満了まで続く。
  • 指名委員会等設置会社の取締役の任期は、他の会社類型と異なり、定款の定めにかかわらず選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされる。正答
正答:指名委員会等設置会社の取締役の任期は、他の会社類型と異なり、定款の定めにかかわらず選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされる。

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取締役の任期が問われています。オが正しい。指名委員会等設置会社の取締役は、他の会社類型と異なり任期が1年(選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終の定時総会終結まで)と定められており、定款による変更もできません(332条3項)。アは誤りで、原則2年は定款または総会決議で短縮できます(332条1項)。イは誤りで、非公開会社の10年伸長は「定款によって」行う必要があり(332条2項)、定款変更には株主総会の特別決議が必要です。「定款によらず普通決議のみ」で伸長できるという記述は誤りです。ウは誤りで、1年への短縮は定款の定めにより可能です。エは誤りで、後任取締役の任期は前任者の残余任期に一致する場合があり(定款に別段の定めがある場合)、常に新たに2年起算されるわけではありません。よってオ(指名委員会等設置会社・1年・変更不可)が一義的に正しい。

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取締役の任期(332条)の体系的整理:①通常の株式会社(332条1項):選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終の定時総会終結まで(原則2年)。定款または総会決議で短縮可(アの「短縮不可」は誤り)。②非公開会社(332条2項)定款により最大10年まで伸長できます。伸長には定款変更(株主総会の特別決議)が必要であり、「定款によらず普通決議のみ」で伸長することはできません(イ誤りの根拠)。「2年→10年」は大幅な伸長ですが、閉鎖会社の安定経営を考慮した特則です。③指名委員会等設置会社(332条3項):「定款によっても1年を超えることができない」(1年上限・短縮可・定款による伸長不可)という強行規定です(オ正しい)。機動的なモニタリング型ガバナンス実現のため、年1回の株主総会による取締役の再任確認が必要とされています。④監査等委員会設置会社の監査等委員でない取締役(332条3項かっこ書):1年(同様に1年上限が適用)。一方、監査等委員である取締役(331条2項):2年(定款による短縮不可)。ウの「1年に短縮できない」という記述は監査等委員でない取締役には当てはまらず(短縮可)、誤りです。

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【理論的背景:取締役任期制度の設計と機関設計の類型の連動】

取締役の任期制度は「株主によるコントロール(取締役の改選機会)」と「経営の安定性(任期の長期化)」の間のトレードオフを反映しています。公開会社の2年任期は「2年ごとに株主が取締役を評価・再任または解任できる」ことを意味し、所有と経営の分離が進んだ大会社において適切な株主コントロールを確保します。指名委員会等設置会社の1年任期は「年次の評価とアカウンタビリティ(説明責任)」を重視したモニタリング・ボード型ガバナンスの要請から設けられています。米国の上場会社の多くが取締役の年次選任を採用していることに対応した設計です。非公開会社の10年伸長は、家族経営・同族会社等において毎年総会を開いて代表者(実質的にオーナー)を再任する手間を省く配慮です。なお、取締役の任期と報酬委員会・独立社外取締役の制度(コーポレートガバナンス・コード)は深く連動しており、上場企業では1年任期を採用するケースが増えています。

【条文構造:332条の各項の適用関係】

会社法332条1項(本則):「取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。」「定款または総会決議で短縮できる」という規定(アの「短縮できない」は誤り)。332条2項:「前項の規定は、公開会社でない株式会社(中略)において、定款によって同項の任期を10年以内の期間に伸長することを妨げない。」非公開会社のみが対象(公開会社は10年伸長不可)。332条3項:「指名委員会等設置会社又は監査等委員会設置会社の取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役を除く。)の任期は、選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。」カッコ書で「監査等委員でない取締役」が1年任期(指名委員会等設置会社の取締役全員も1年)。なお「定款によっても伸長できない(定款変更不可)」という強行性が333条2項には明文化はされていませんが、条文上「○年以内の期間に伸長することを妨げない」という規定がなく、通説・実務上1年が上限とされています。

【試験での位置づけ:行政書士試験における取締役任期の頻出パターン】

行政書士試験での取締役任期の典型的な問われ方は①原則2年の内容(定款・総会決議による短縮可)、②非公開会社の10年伸長(公開会社は不可)、③指名委員会等設置会社・監査等委員でない取締役の1年任期(伸長不可)、④監査役の4年任期(短縮不可・非公開のみ10年伸長可:336条との比較)の4点です。特に①の「短縮できない(誤り:短縮可)」と③の「指名委員会等設置会社は定款で2年にできる(誤り:1年上限)」が頻出の引っかけです。監査役の任期(4年・非公開10年伸長・短縮不可:336条)との比較対応が重要で、取締役は「短縮可」監査役は「短縮不可」という差異が試験で狙われます。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。332条1項但書により、定款または株主総会の決議によって2年より短い任期に短縮することができる。公開会社でも1年や半年への短縮が可能(実務上、上場会社の多くが定款で1年に短縮)。
  • イ: 誤り。332条2項により、公開会社でない株式会社(非公開会社)は「定款によって」最大10年まで伸長できる。定款変更には株主総会の特別決議(309条2項11号・466条)が必要であり、「定款によらず株主総会の普通決議のみ」で伸長することはできない。
  • ウ: 誤り。監査等委員でない通常の取締役(監査等委員会設置会社を含む)は、定款による短縮は可能。「1年に短縮できない」という制限はない。むしろ指名委員会等設置会社・監査等委員でない取締役は強制的に1年任期とされる。
  • エ: 誤り。後任取締役の任期は、定款等に別段の定めがない場合は前任者の残余期間ではなく新たに選任時から起算されるのが原則(332条1項の「選任後」を基点とする解釈)。ただし「前任者の残余期間のみ」とする定款の定めも許容されます。「常に2年」という記述が誤り(1年や10年の定款の定めがあれば異なる)。
  • オ: 正しい。332条3項により、指名委員会等設置会社の取締役は全員が「選任後1年以内の定時総会終結まで」の任期(1年)。定款による伸長も認められない(他の会社形態との大きな差異)。

【根拠条文】

会社法 第332条第1項(取締役任期・原則2年・短縮可)

会社法 第332条第2項(非公開会社・10年伸長可)

会社法 第332条第3項(指名委員会等設置会社・監査等委員でない取締役・1年任期)

会社法 第331条第2項(監査等委員である取締役・2年・短縮不可)

会社法 第336条(監査役の任期・4年・非公開10年・短縮不可)との対比

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第332条(取締役の任期)、会社法第332条第3項(指名委員会等設置会社の取締役任期1年)、会社法第332条第2項(非公開会社の10年伸長) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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