商法・会社法59商法・会社法/株式(株式分割・無償割当・併合)

行政書士 商法・会社法 問59:商法・会社法/株式(株式分割・無償割当・併合)

株式分割・株式無償割当・株式併合に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 株式分割とは、既存の株式を分割してその数を増加させる行為であり、株式分割によって既存株主の持株比率は変わらないが、1株当たりの価値は分割比率に応じて低下する。
  • 取締役会設置会社(公開会社)における株式分割は、取締役会の決議によって行うことができ、株主総会の決議は原則として不要である。
  • 株式無償割当とは、既存株主に対してその保有株式数に応じて無償で株式を割り当てる行為であり、株主は割当を拒否することができない。
  • 株式の併合(数枚の株式を1枚にまとめる行為)は、株主総会の特別決議が必要であり、併合に反対した株主は、会社に対して公正な価格での株式の買取りを請求することができる。
  • 株式分割と株式無償割当は実質的に同じ効果をもたらすが、株式分割は既存の株式の数を増加させるのに対し、株式無償割当は既存株主に対して新たな株式(または自己株式)を無償で交付するものであり、付与する株式の種類に差異がある。正答
正答:株式分割と株式無償割当は実質的に同じ効果をもたらすが、株式分割は既存の株式の数を増加させるのに対し、株式無償割当は既存株主に対して新たな株式(または自己株式)を無償で交付するものであり、付与する株式の種類に差異がある。

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株式分割・無償割当・併合が問われています。オが誤り。株式分割(183条)は既存株式の数を増加させる行為であり、株式無償割当(185条)は新株または自己株式を株主に無償で配分します。オの「付与する株式の種類に差異がある」という点は実際には差異がなく、両者の主な違いは①株式分割は発行済株式を単純に分割するのみ(持分の切り分け)、②株式無償割当は新たな株式または自己株式を付与するという違いにあります。実際の効果(持分比率不変・1株価値低下)は同様ですが、「種類の差異」とする記述が不正確で誤りです。ア正しい(持株比率変わらず・1株価値低下)。イ正しい(取締役会設置会社での分割は取締役会決議:183条2項)。ウ正しい(無償割当は株主に拒否権なし)。エ正しい(併合は特別決議:180条2項・反対株主の買取請求:182条の4)。

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株式分割(183条):183条1項「株式会社は、株式の分割をすることができる」。必要な手続:取締役会設置会社(公開会社)では取締役会決議(183条2項:イ正しい)。非取締役会設置会社では株主総会普通決議。効果:既存の株式を数の比率で分割増加(例:1株→2株)、発行済株式数は増加、1株当たり価値は低下、持株比率は変わらない(ア正しい)。株式無償割当(185条):185条「株式会社は、株主(種類株主総会の決議がある場合はその種類の株主)に対して新たに払込みをさせないで当該株式会社の株式の割当てをすることができる。」取締役会決議(または取締役会非設置会社では株主総会普通決議)で実施。割当ては株主の保有比率に応じて行われ(186条)、株主は拒否できません(ウ正しい)。株式無償割当は「新たな株式または自己株式」を交付するものであり、株式分割が「既存株式の分割」であるのに対し、法的構成が異なります。ただしオが誤りとされる理由:オの「付与する株式の種類に差異がある」という記述は不正確で、両者の違いは「種類」ではなく「法的構成(既存株式の分割 vs 新株・自己株式の交付)」にあります。株式の併合(180条):株主総会の特別決議が必要(180条2項:エ正しい)。反対株主の株式買取請求権(182条の4:エ正しい)も認められます。

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【理論的背景:株式分割・無償割当・併合の利用目的】

株式分割は主に「株価の流動性向上」のために行われます。株価が高くなりすぎると1株当たりの取引単位が大きくなり個人投資家が投資しにくくなるため、分割によって株価を下げて流動性を高めます(例:1株100万円の株を10分割→1株10万円)。株式無償割当は株式分割と類似した効果をもたらしますが、法的には「新たな株式の発行(または自己株式の処分)」として行われます。実務では新株予約権の無償割当(274条)が敵対的買収防衛策(ポイズンピル)として活用されることがあります。株式の併合は「端株整理(1単元未満株式の整理)」や「スクイーズアウト(少数株主の排除)」のために行われます。例えば発行済株式100万株を100株に1株の比率で併合すると、100株未満の株主は端数処理により金銭交付を受けて株主でなくなります。このため反対株主の買取請求権(182条の4)や差止請求(182条の3)が設けられています。

【条文構造:183条・185条・180条の比較】

株式分割(183条):183条1項(株式分割の決定)→183条2項(取締役会設置会社では取締役会決議・但し発行可能株式総数の調整が必要な場合は定款変更も必要)。株式無償割当(185条〜188条):185条(無償割当の定義)→186条(割当の内容・株主の種類・割当比率)→188条(登記)。株式の併合(180条〜182条の6):180条(株主総会決議要件)→180条2項(特別決議)→181条(事前開示)→182条の3(差止請求)→182条の4(反対株主の買取請求)→182条の6(事後開示)。株式の分割と無償割当の法的な違い:①分割は既存株式の持株数比例増加(発行済株式数の増加)であり、授権株式枠の範囲内で行われる。②無償割当は新株(または自己株式)の発行(または処分)であり、割当の内容(株式の種類・数)を定款等で定める。実務的効果(持分比率不変・1株価値の希薄化)は同様であることが多いが、法的構成が異なる。

【試験での位置づけ:行政書士試験における株式分割・無償割当・併合の頻出論点】

行政書士試験での株式分割・無償割当・併合の典型的な問われ方は①株式分割の手続(取締役会設置会社:取締役会決議・株主総会不要)、②株式の併合の手続(株主総会特別決議・反対株主の買取請求権)、③株式分割と株式無償割当の比較(法的構成の差異)の3点です。オのような「両者の主な差異は種類の違い」という誤り肢は、両制度の法的構成の差異を問う問題の典型です。また株式の併合に関して「特別決議が必要(重要な変更)」「反対株主の保護(買取請求・差止)がある」という点はセットで理解することが重要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。株式分割の本質的効果。分割比率に応じて発行済株式数が増加し、1株価値が低下するが、持株比率(全株式に占める割合)は変わらない。なお1株当たりの純資産額や株価(理論上)も分割比率に応じて低下する。
  • イ: 正しい。183条2項により取締役会設置会社では取締役会決議で株式分割が可能(株主総会不要)。なお分割後の発行済株式数が発行可能株式総数を超える場合は先に定款変更が必要。
  • ウ: 正しい。株式無償割当は株主の意思に関わらず自動的に行われる(株主に拒否権なし)。株主全員が保有比率に応じて割当てを受けるため、希薄化もなく公平性が担保される。
  • エ: 正しい。180条2項(特別決議要件)と182条の4(反対株主の買取請求権)の正確な内容。買取価格は当事者間の協議または裁判所の決定。
  • オ: 誤り。株式分割と株式無償割当の主な違いは「付与する株式の種類の差異」ではなく「法的構成の差異(既存株式の分割 vs 新株・自己株式の交付)」にある。どちらも同じ種類の株式(例:普通株式)を付与することが通常であり、「種類に差異がある」という記述が不正確。

【根拠条文】

会社法 第180条第1項・第2項(株式の併合・特別決議要件)

会社法 第182条の3(株式の併合に対する差止請求)

会社法 第182条の4(反対株主の株式買取請求権)

会社法 第183条第1項・第2項(株式分割・取締役会決議)

会社法 第185条・第186条(株式無償割当の定義・内容)

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第183条(株式分割)、会社法第185条(株式無償割当)、会社法第180条(株式の併合) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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