商法・会社法62商法・会社法/組織再編(株式交換・株式移転)

行政書士 商法・会社法 問62:商法・会社法/組織再編(株式交換・株式移転)

株式交換・株式移転に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 株式交換とは、既存の株式会社が新たに設立した会社に対して発行済株式の全部を取得させることにより、完全親子会社関係を形成する組織再編行為である。
  • 株式移転とは、一の株式会社が、他の既存の株式会社に対して発行済株式の全部を取得させることにより、完全子会社となる組織再編行為である。
  • 株式交換において、完全親会社となる会社は株式会社または合同会社に限られ、完全子会社となれるのは株式会社のみである。正答
  • 株式移転によって新設された完全親会社(株式移転設立完全親会社)は、株式移転計画の定める日に設立の効力が生じ、移転会社の株主には完全親会社の株式が交付されるが、この株式に代えて金銭その他の財産を対価とすることはできない。
  • 株式交換の当事会社のうち完全子会社となる会社(株式会社)は、原則として株主総会の特別決議による承認が必要であるが、特別支配会社(完全親会社となる会社が議決権の90%以上を保有している場合)については、完全子会社の株主総会決議を省略することができる(略式株式交換)。
正答:株式交換において、完全親会社となる会社は株式会社または合同会社に限られ、完全子会社となれるのは株式会社のみである。

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株式交換・株式移転が問われています。ウが正しい。会社法2条31号は株式交換の完全親会社となれる会社を「株式会社または合同会社」と定め、完全子会社は「株式会社」に限定しています。アは誤りで、株式交換は「既存の2つの会社間」で行われ、新設会社を設立するわけではありません(新設するのは株式移転)。イは誤りで、株式移転は「完全親会社を新設する」組織再編であり、「他の既存の会社」に取得させるのではありません。エは誤りで、株式移転でも対価柔軟化(2007年改正)により金銭等を対価とすることができます(774条の3等)。オは正しい方向ですが、略式株式交換の要件は「特別支配会社が完全子会社の議決権の90%以上を有する場合」です(784条1項の「特別支配会社」の定義が2条15号の2:議決権の10分の9以上)。

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株式交換(2条31号):「株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させること」。既存の会社間(完全親会社となる会社が既存の会社)で行われます(ア誤り:新設でなく既存の会社間)。完全親会社→株式会社または合同会社、完全子会社→株式会社(ウ正しい)。株式移転(2条32号):「一又は二以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させること」。新設会社(株式移転設立完全親会社)を設立して完全親会社とします(イ誤り:「他の既存の会社」ではなく新設会社)。完全親会社は「株式会社」のみ(株式移転では合同会社が完全親会社となれない点が株式交換と異なる)。対価の柔軟化(エ):株式移転でも対価として金銭その他の財産を付加的に交付することができます(774条の3:株式移転計画の内容)。「金銭その他の財産を対価にできない」は誤り。略式株式交換(オ):784条1項は「特別支配会社(議決権の10分の9以上保有:2条15号の2)が完全子会社となる会社と株式交換する場合、完全子会社の株主総会決議が不要(略式)」と規定(オ正しい方向・要件は90%以上)。

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【理論的背景:株式交換・株式移転の利用場面と対価柔軟化の意義】

株式交換は「既存の会社間で親子会社関係を形成する(グループ内再編)」場面で活用されます。例えば持株会社(ホールディングス)体制への移行時に「事業会社Aが持株会社Bの完全子会社となる」という再編が株式交換によって実現されます。株式移転は「1社または複数の会社が共同で新設の持株会社を設立する」場面で活用されます(例:A社とB社が共同で持株会社Cを設立してその完全子会社となる「共同株式移転」)。対価の柔軟化(2007年施行・会社法制定時の重要改正)により、存続会社・完全親会社の株式以外の対価(金銭・親会社株式・社債等)を交付できることになりました(三角合併・三角株式交換等)。これにより外国企業が日本企業を株式対価で買収する「クロスボーダー三角合併」が法的に可能となりました。

【条文構造:株式交換・株式移転の定義と手続の比較】

会社法2条31号(株式交換):「株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させること」。2条32号(株式移転):「一又は二以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させること」。重要な相違点:①株式交換の完全親会社→株式会社または合同会社(2社類型・既存会社)、②株式移転の完全親会社→新設の株式会社のみ(株式移転では合同会社は不可・ウの正答根拠)。手続面:株式交換は当事会社間の契約(768条・770条)→株主総会特別決議(783条・795条)、株式移転は移転会社の計画(772条〜)→株主総会特別決議(804条)。略式・簡易の例外については、株式交換で「略式(784条:特別支配会社の90%以上保有)」「簡易(796条:交付対価が存続会社純資産の20%以下等)」が認められます。株式移転には簡易・略式の例外がない(常に特別決議が必要)。

【試験での位置づけ:行政書士試験における株式交換・株式移転の頻出論点】

行政書士試験での株式交換・株式移転の典型的な問われ方は①定義の違い(既存会社間=交換 vs 新設=移転)、②完全親会社になれる会社の種類(交換:株式会社・合同会社 / 移転:株式会社のみ)、③対価の柔軟化(金銭等も可)、④略式(特別支配会社90%以上:株主総会決議省略)の4点です。アの「株式交換=新設会社への取得(誤り:既存会社間)」とイの「株式移転=既存会社への取得(誤り:新設)」の混同が頻出の引っかけです。ウが正しい理由(株式交換:合同会社もOK、株式移転:株式会社のみ)も重要な対比として押さえておく必要があります。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。株式交換は「既存の会社間」で発行済株式の全部を取得させる組織再編。「新たに設立した会社に取得させる」のは株式移転。2条31号の定義「他の株式会社又は合同会社」は既存会社。
  • イ: 誤り。株式移転は「新たに設立する株式会社に取得させる」(2条32号)。「他の既存の株式会社に取得させる」のは株式交換。
  • ウ: 正しい。2条31号(株式交換):完全親会社→株式会社または合同会社、完全子会社→株式会社のみ。2条32号(株式移転):完全親会社→新設の株式会社のみ(合同会社は不可)。
  • エ: 誤り。774条の3(株式移転計画の内容)は、移転会社の株主に交付する財産として「完全親会社の株式」のほか「金銭その他の財産」も認める。対価柔軟化により金銭等の付加的交付が可能。
  • オ: 正しい方向。784条1項により略式株式交換(特別支配会社による完全子会社の総会決議省略)が認められる。特別支配会社の定義(2条15号の2)は「議決権の10分の9以上保有」(90%以上)。「90%以上」という数字の正確性が重要(3分の2等と混同しない)。

【根拠条文】

会社法 第2条第31号(株式交換の定義・完全親会社は株式会社または合同会社)

会社法 第2条第32号(株式移転の定義・完全親会社は新設の株式会社のみ)

会社法 第2条第15号の2(特別支配会社の定義・10分の9以上)

会社法 第774条の3(株式移転計画の内容・対価の柔軟化)

会社法 第783条・第795条(吸収分割・株式交換の特別決議承認)

会社法 第784条第1項(略式株式交換・特別支配会社による総会決議省略)

会社法 第804条(株式移転の承認・常に特別決議・簡易略式なし)

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第2条第31号(株式交換の定義・完全親会社は株式会社または合同会社)、会社法第2条第32号(株式移転の定義・完全親会社は株式会社のみ)、会社法第784条第1項(略式株式交換・特別支配会社の要件) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

関連論点

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