商法・会社法64商法・会社法/計算(資本金の変動)

行政書士 商法・会社法 問64:商法・会社法/計算(資本金の変動)

株式会社における資本金の減少(減資)に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 資本金の額の減少は、株主総会の普通決議によって行うことができ、特別決議は必要とされない。
  • 資本金の額を減少する場合、減少する額の全部または一部を資本準備金に組み入れることができ、これにより資本準備金を積み増すことができる。
  • 資本金の額の減少に際しては、会社の債権者は異議を述べることができ、会社は債権者異議手続(官報公告・個別催告)を経なければならない。ただし、定時株主総会において資本金の額の減少を決議し、かつ欠損の填補に充てる場合は債権者異議手続が不要とされる。正答
  • 資本金の額の減少によって株主に金銭を交付する場合(有償減資)、減少した資本金に対応する額は、直ちに株主に分配しなければならず、準備金や内部留保として保持することはできない。
  • 会社法上の「資本金の額の減少」とは、貸借対照表上の資本金の数字を減少させるだけのものであり、実際に株主への金銭の交付や株式の消却を伴わない無償減資の場合でも、債権者への影響があるため債権者異議手続が必要とされる。
正答:資本金の額の減少に際しては、会社の債権者は異議を述べることができ、会社は債権者異議手続(官報公告・個別催告)を経なければならない。ただし、定時株主総会において資本金の額の減少を決議し、かつ欠損の填補に充てる場合は債権者異議手続が不要とされる。

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資本金の減少(減資)が問われています。ウが正しい。資本金の減少には原則として債権者異議手続が必要ですが(449条1項)、「定時株主総会で欠損の填補に充てる場合は債権者異議手続が不要」という例外があります(449条1項但書)。アは誤りで、資本金の減少には原則として特別決議が必要です(447条3項・309条2項9号)。イは正しい方向で(447条1項:資本金の額を減少した場合に資本準備金への組入れが可能)。エは誤りで、減少した資本金の扱いは柔軟に決定できます(準備金組入れや内部留保も可)。オは誤りで、無償減資(株主への金銭交付なし・欠損填補目的)の場合は一定の条件で債権者異議手続が不要となります(449条1項但書)。

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資本金の減少の手続(447条・449条)447条1項:資本金の額を減少する場合は①減少する額、②減少する額の全部を準備金とする場合はその旨、③効力発生日を株主総会決議(原則:特別決議)で定めます(アの「普通決議」は誤り)。447条3項・309条2項9号:特別決議(出席議決権の3分の2以上)が原則です。イ(準備金への組入れ):減少した資本金の額の全部または一部を「資本準備金」に組み入れることができます(447条1項2号)。これは「帳簿上の資本金→準備金への振替」であり株主への支出は伴いません(イ正しい方向)。ウ(債権者異議手続の原則と例外):449条1項本文:資本金の額の減少には債権者異議手続が必要(債権者の保護)。449条1項但書:「定時株主総会の決議によって資本金の額を減少する場合(その効力発生日が当該定時株主総会の日から3か月以内)に、かつ減少する資本金の額が欠損の額(分配可能額が負の場合)を超えないとき(欠損填補目的)」は、債権者異議手続が不要とされます(ウ正しい)。エ(減少額の用途):減少した資本金の額は準備金への組入れ・剰余金への振替・株主への返還等に柔軟に使用でき、「直ちに株主への分配義務」はありません(エ誤り)。

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【理論的背景:資本金の意義と減資規制の根拠】

資本金は会社の財産的基盤を表す計算上の数値であり(法定最低資本金制度は1円まで認められている現行法では最低額の要求はない)、貸借対照表上の純資産の内訳の一つです。資本金の重要性は「配当可能利益の計算の基礎(剰余金配当規制:461条では純資産額から資本金・準備金等を控除した分配可能額が上限)」にあります。資本金を減少させると分配可能額が増加し、より多くの剰余金配当が可能になります。債権者保護の観点から、資本金の減少(特に有償減資=株主への実際の現金支出を伴う場合)は「会社の財産的基盤の縮小」をもたらすため、債権者異議手続が要求されます。ただし「欠損の填補(帳簿上のマイナスを埋めるための減資)」は実際の財産流出を伴わないため、一定の要件下で債権者保護手続を省略できるとされています(449条1項但書)。

【条文構造:447条・449条の詳細】

会社法447条1項(減資の内容決定):「株式会社は(中略)資本金の額を減少することができる。この場合においては(中略)次に掲げる事項を定めなければならない。一 減少する資本金の額 二 減少する資本金の額の全部または一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額 三 資本金の額の減少の効力を生ずる日」。447条3項:「第1項の規定による決定は、第309条第2項第9号に規定する株主総会の決議(特別決議)によらなければならない」。ただし447条3項但書:「ただし、第309条第1項に規定する決議(普通決議)によることが許される場合として法務省令で定める場合においては、同条第1項に規定する決議によることができる」(特例:欠損填補の場合に普通決議可の余地あり)。449条1項(債権者保護手続):「資本金若しくは準備金の額の減少(資本金の額を減少して準備金とする場合又は準備金の額を減少して資本金とする場合を除く。)…をする場合には、当該株式会社の債権者は、当該株式会社に対して(中略)異議を述べることができる」。449条1項但書(欠損填補の特例):「ただし、(中略)欠損の填補(資本金又は準備金の額を減少しても欠損の額を超えないこと)の場合は、この限りでない」の趣旨規定あり(詳細は条文文言を確認要)。

【試験での位置づけ:行政書士試験における減資の頻出論点】

行政書士試験での減資の典型的な問われ方は①減資の決議要件(特別決議が原則・欠損填補目的では普通決議可の特例:447条3項・但書)、②債権者異議手続(原則必要・欠損填補での定時総会決議の場合は不要:449条1項但書)、③減少した資本金の使途(準備金組入れ・剰余金化等が可)の3点です。アの「普通決議でOK(誤り:特別決議が原則)」とウの「欠損填補目的なら債権者異議手続不要(正しい)」の対比が典型的な引っかけとセットになっています。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。447条3項・309条2項9号により、資本金の額の減少は原則として特別決議が必要。普通決議では足りない(ただし欠損填補目的での定時総会決議は法務省令で定める要件下で普通決議も可能な特例がある)。
  • イ: 正しい方向。447条1項2号により、減少した資本金の額の全部または一部を「準備金」に組み入れる旨を定めることができる。これは「無償減資」(帳簿上の振替)の典型。
  • ウ: 正しい。449条1項本文(債権者異議手続の原則)と449条1項但書(欠損填補目的での定時総会決議は手続不要)の正確な内容。
  • エ: 誤り。減少した資本金の額の用途は柔軟(準備金・剰余金・株主還元等)。「直ちに株主に分配しなければならない」という義務規定はない。有償減資(株主への現金支出)は「剰余金配当規制の範囲内」で実施される。
  • オ: 誤り。無償減資(欠損填補目的の帳簿上の振替)で一定要件を満たす場合は449条1項但書により債権者異議手続が不要とされる(実際の財産流出がなく債権者への影響が限定的なため)。「無償減資でも常に債権者異議手続が必要」という記述が誤り。

【根拠条文】

会社法 第447条第1項・第3項(資本金の減少・決議内容・特別決議要件)

会社法 第449条第1項(債権者異議手続の原則・欠損填補の場合の特則)

会社法 第309条第2項第9号(資本金減少の特別決議要件)

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第447条(資本金の額の減少)、会社法第447条第3項・449条第1項(特別決議要件と債権者異議手続)、会社法第449条第1項但書(欠損填補目的での特則) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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