憲法51憲法

行政書士 憲法 問51:憲法

婚姻の自由(憲法24条)と法の下の平等(憲法14条)に関する次の記述のうち、**最高裁判所の判例の趣旨に照らして正しいもの**はどれか。

  • 最高裁判所は、民法が夫婦の一方が婚姻前の氏を婚姻後の氏として名乗ることができず必ず夫婦のいずれか一方の氏に統一しなければならない旨を規定することについて、女性の不利益が大きいことを主な理由として違憲と判断した。
  • 最高裁判所は、女性についてのみ6か月の再婚禁止期間を定めた民法の規定全体を、合理的な根拠なく女性のみに制限を課す性差別として、憲法14条および24条に反し違憲と判断した。
  • 憲法24条は「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と規定しており、婚姻に関する制度は立法府の広範な裁量に委ねられている部分があるとするのが判例の立場である。正答
  • 日本国憲法24条にいう「両性の合意」という文言から、最高裁判所は現在、同性同士の婚姻(同性婚)は憲法上当然に保障されるとして立法に対してそれを義務付けたと解釈している。
  • 婚姻の際の氏の決定については、夫婦がいずれの氏を称するかを自由に選択できるため、どちらの配偶者の側も氏の変更を強いられることはなく、夫婦同氏制度は婚姻の自由に対する制約ではないというのが判例の確定的見解である。
正答:憲法24条は「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と規定しており、婚姻に関する制度は立法府の広範な裁量に委ねられている部分があるとするのが判例の立場である。

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2015年12月16日に最高裁大法廷は、夫婦同氏(民法750条)と再婚禁止期間(旧民法733条)の2件について同日に判断を示しました。夫婦同氏制度については「合憲」(現時点では立法裁量の範囲内)とし、再婚禁止期間については「100日を超える部分(旧法の6か月のうち超過部分)は違憲」と判断しました。ウは「婚姻に関する制度は立法府の広範な裁量に委ねられている部分がある」という夫婦同氏判決の立場を正確に表現しており正答です。アは夫婦同氏制度を「違憲と判断した」という点で誤りです(最高裁は合憲と判断)。イは「再婚禁止期間の規定全体を違憲」という点で誤りです(最高裁は100日を超える部分のみ違憲)。

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2015年12月16日の最高裁大法廷判決2件を整理します。①夫婦同氏制度(最大判平27.12.16):民法750条は「夫婦はいずれか一方の氏を称する」と定めており、現実には女性が氏を変更することが多い(98%以上)という不均衡があります。最高裁は「(1)婚姻制度の在り方についての判断は立法府の合理的な裁量判断に委ねられる部分が大きい、(2)現行制度に合理的な関連性が認められる部分がある(氏の変更は当事者双方に等しく選択肢として開かれている)」として合憲と判断しました(アが「違憲」とする点が誤り)。ただし、補足意見・反対意見でも問題の深刻さが指摘されており、その後の同趣旨の最大決令和3.6.23でも合憲とされましたが社会的議論は続いています。②再婚禁止期間(最大判平27.12.16):旧民法733条は女性についてのみ6か月間の再婚禁止期間を設けていました。最高裁は、父子関係確定のために必要な期間(100日)を超える部分(約80日分)については「過剰な制約であり合理的根拠を欠く」として違憲と判断しました(イが「規定全体を違憲」としている点が誤りで、正しくは100日超過部分のみ違憲)。これを受けて民法が改正され、再婚禁止期間は廃止されました(令和4年改正・令和6年4月1日施行)。ウは、夫婦同氏判決の「立法府の合理的な裁量に委ねられる部分が大きい」という判旨を正確に反映しており正答です。

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【理論的背景】

憲法24条は、日本国憲法制定過程において GHQ の強い影響のもと設けられた条文で、明治民法の家制度(家父長権・夫婦の不平等)を否定する趣旨を持ちます。同条1項「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」という文言は、かつての親族・家制度の同意を要件とする婚姻制度を排除することを意図したものです。同条2項は「夫婦の同等の権利」を基本として婚姻・家族に関する立法を行うべきことを国会に命じており、婚姻制度の設計は一定の幅で立法府の裁量に委ねられています(ウが正答の根拠)。「両性の合意」という文言については、「両性=男女(異性)」という文理解釈から同性婚が憲法上当然には保障されないという見解が有力です。なお、同性婚を認めない現行民法・戸籍法をめぐっては下級審で判断が分かれており、札幌高裁(令和6年3月14日)は憲法24条2項のみならず24条1項・14条1項にも違反するとの違憲判断を示すなど、複数の高裁・地裁で違憲・違憲状態の判断が相次いでいます。もっとも、最高裁が同性婚について憲法上の権利としての保障や立法義務を確定的に判示した段階にはありません(2026年6月時点)。したがってエが「最高裁が同性婚は憲法上当然に保障されるとして立法を義務付けたと解釈している」とするのは誤りです。

【実務・条文構造】

夫婦同氏・再婚禁止期間の2判決の要点を比較整理します。

| 論点 | 最高裁判断 | 根拠 |

|---|---|---|

| 夫婦同氏制度(民法750条) | 合憲(最大判平27.12.16) | 婚姻制度は立法裁量・双方に等しい選択肢 |

| 再婚禁止期間(旧民法733条) | 100日超過部分が違憲(最大判平27.12.16) | 父子確定に必要な100日超は過剰・合理性なし |

再婚禁止期間については、最高裁が100日を超える部分のみ違憲と判断(全体違憲ではない)し、これを受けて平成28年民法改正で100日に短縮され、さらに令和4年(2022年)の民法等改正(嫡出推定制度の見直し)に伴い再婚禁止期間(733条)が廃止されました。この廃止規定は令和6年(2024年)4月1日に施行されています。試験の基準日(2026年4月1日時点で施行されている法令)では再婚禁止期間は廃止済みです。

【試験での位置づけ】

行政書士試験での本論点の出題ポイントは次の4つです。①夫婦同氏:最高裁は合憲(平成27年・令和3年判決)・立法裁量の問題。②再婚禁止期間:100日超過部分が違憲(平成27年判決)・その後廃止(令和4年改正・令和6年4月1日施行)。③24条の意義:「両性の合意のみ」「夫婦の同等の権利」・婚姻制度は立法裁量に委ねられる部分がある。④同性婚:現時点では最高裁は婚姻の権利として明示的保障を示していない(立法政策の問題)。試験では「夫婦同氏=違憲(誤り・合憲)」「再婚禁止期間の規定全体が違憲(誤り・100日超のみ)」という引っかけが頻出です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。夫婦同氏制度(民法750条)は最高裁(最大判平27.12.16・最大決令3.6.23)で合憲と判断されている。「違憲と判断した」は事実と逆。
  • イ: 誤り。再婚禁止期間の違憲判決(最大判平27.12.16)は「規定全体」ではなく「100日を超える部分(6か月のうち100日超の部分)」が違憲とした。「規定全体を違憲」という記述は誤り。
  • ウ: 正答。夫婦同氏判決(最大判平27.12.16)は「婚姻制度の在り方は立法府の合理的な裁量に委ねられる部分が大きい」と判示しており、24条が婚姻制度について立法府の広範な裁量を認めているというウの記述と整合する。
  • エ: 誤り。最高裁は現時点で「同性婚が憲法上保障される」とか「立法が同性婚を認める義務がある」とは判示していない。下級審では札幌高裁(令和6年3月14日)が憲法24条1項・2項および14条1項違反とするなど違憲・違憲状態の判断が相次いでいるが、最高裁の確定判断はない(2026年6月時点)。「最高裁が立法を義務付けた」という断定は誤り。
  • オ: 誤り。夫婦同氏制度では、夫か妻かのいずれかが氏を変更することが必然的に生じるため、一方の配偶者には必ず「氏の変更」が強いられる(現実には女性が98%以上)。「どちらも氏の変更を強いられない」という命題は誤りであり、これを「婚姻の自由への制約ではない」とする判断は夫婦同氏判決の多数意見でもない(婚姻意欲を損なう側面があることは認めつつ合憲と判断)。

【根拠条文】

日本国憲法 第14条第1項(法の下の平等)、第24条(婚姻は両性の合意のみ・夫婦の同等の権利)

民法 第750条(夫婦の氏)(旧)第733条(再婚禁止期間・令和4年改正で廃止、令和6年4月1日施行)

【参照判例】

夫婦同氏制度合憲判決(最大判 平成27年12月16日)、再婚禁止期間の一部違憲判決(最大判 平成27年12月16日)

【補足】

夫婦同氏は合憲(立法裁量)・再婚禁止は100日超部分が違憲(その後廃止)という結論の違いを確実に押さえること。基準日2026年4月1日では再婚禁止期間廃止後の現行法が適用される。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 日本国憲法 第14条第1項(法の下の平等)、第24条(婚姻の自由・両性の本質的平等) 参照: 夫婦同氏制度合憲判決(最大判 平成27年12月16日)、再婚禁止期間違憲判決(最大判 平成27年12月16日) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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夫婦同氏・再婚禁止期間・婚姻の自由・24条頻出度B

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