民法113民法親族

行政書士 民法 問113:民法親族

未成年後見に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 未成年後見人は、未成年者に対して親権を行う者がいない場合または親権を行う者が管理権を有しない場合に選任される。
  • 未成年後見人は、1人でなければならず、複数人の未成年後見人を選任することはできない。正答
  • 未成年後見人には法人がなることができ、複数の法人が未成年後見人となることも認められている。
  • 未成年後見人は、未成年者の財産管理権と法定代理権を持ち、身上監護に関しても代理権を行使することができる。
  • 未成年後見監督人は、未成年後見人の事務を監督するほか、未成年後見人が欠けた場合に緊急の必要があるときは遅滞なく後見事務を行うことができる。
正答:未成年後見人は、1人でなければならず、複数人の未成年後見人を選任することはできない。

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イが誤りです。旧民法842条は「未成年後見人は、一人でなければならない」と規定していましたが、2011年改正(2012年4月1日施行)でこの規定は削除され、現在は複数の未成年後見人を選任することができます(民840条2項・3項)。また、法人も未成年後見人になることができます(民840条3項括弧書)。したがって「1人でなければならない」というイは現行法上誤りです。アは正しく(民838条)、ウは正しく(法人後見・複数法人も可・民840条3項)、エは正しく(財産管理権・法定代理権・身上監護権の内容・民857条)、オは正しく(未成年後見監督人の緊急処置権・民851条2号)。

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イが誤りです。改正前の旧民法842条は「未成年後見人は、一人でなければならない」と定めていましたが、2011年(平成23年)の民法改正(2012年4月1日施行)でこの規定が削除され、未成年後見人の複数選任が認められるようになりました(民840条2項・3項)。また、法人も未成年後見人になることができます(民840条3項括弧書)。これらの改正は、複雑な財産管理と身上監護を一人の後見人で担うことの限界に対応するためのものです。「1人でなければならない」というイは現行法上誤りです。

アは正しいです。民838条1号は「未成年者に対して親権を行う者がないとき」、2号は「親権を行う者が管理権を有しないとき」に後見が開始すると規定しています。

ウは正しいです。民840条3項括弧書は法人も未成年後見人になれることを前提としており、複数の法人が後見人となることも認められています。専門的な財産管理のために法人を後見人に加えるケースが実務上あります。

エは正しいです。未成年後見人は親権者と同様の権利(財産管理権・法定代理権・民857条)を持ちます。親権の身上監護(民820条〜)についても代理権を持ちます。

オは正しいです。民851条は後見監督人の職務として、後見人の事務の監督(1号)、後見人が欠けた場合の緊急後見事務(2号)等を規定しており、未成年後見監督人にも適用されます。

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【理論的背景】

未成年後見(民838条〜875条)は、親権者がいない未成年者(孤児・親権剥奪等)のために、親権者と同様の保護機能を提供する制度です。成年後見(精神的能力の減退した成年者を保護)と異なり、未成年後見は年齢に基づく行為能力の制限が前提であり、対象者の成年到達とともに後見が終了します。2011年の民法改正は、後見事務の適正化・多様化に対応するため、①複数後見人の許容、②法人後見人の許容を明文化しました(民840条2項・3項)。改正前は旧民法842条が「未成年後見人は、一人でなければならない」と定めていましたが、改正でこの旧842条が削除され、複数後見人・法人後見人が認められるようになりました。

【条文構造】

未成年後見の核心条文を整理します。

民838条:後見の開始(①親権者がいない場合、②親権者が管理権を持たない場合)。

民839条:後見人の指定(親権者が遺言で指定可)。

民840条:家庭裁判所による未成年後見人の選任(指定がない場合)。2項で職権による追加選任、3項で「数人の未成年後見人」「法人を未成年後見人とすること」が許容される(2011年改正)。旧842条「未成年後見人は一人でなければならない」は同改正で削除。

民857条:未成年後見人の職務(親権者の子の身上に関する権利義務の準用)。

民857条の2:未成年後見人が数人ある場合の権限の行使(共同行使・分掌等)。

民851条:後見監督人の職務(①後見人の事務監督、②後見人欠如時の緊急後見、③後見人と被後見人の利益相反行為の代理、等。未成年後見監督人にも適用)。

【試験での位置づけ】

行政書士試験における未成年後見の典型論点は、①後見開始事由(民838条の2要件)、②複数後見人・法人後見人の可否(2011年改正後は両方可・民840条2項3項。旧842条「一人でなければならない」は削除)、③未成年後見人の権限(親権者に準じた財産管理権・法定代理権・身上監護権)、④未成年後見監督人の役割の4点です。特に「未成年後見人は1人のみ」という改正前の誤りパターンは頻出です。成年後見(被後見人の本人の意思による後見開始の申立てが可)との比較も整理しておきましょう。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。民838条1号(親権者なし)・2号(管理権のない親権者)の2要件。「管理権を有しない」の典型例:親権者が財産管理上の不正行為を理由に管理権のみを剥奪された場合(民835条参照)。親権喪失(民834条)とは区別される。
  • イ: 誤り(正答)。旧民法842条「未成年後見人は、一人でなければならない」は2011年改正で削除され、複数後見人の選任が可能になった(民840条2項・3項)。改正前は「後見人は1人」という大原則があったが、複雑な後見事務の現実に対応して改正された。法人後見人(民840条3項括弧書)との組み合わせ(財産管理は法人・身上監護は個人)という実務も増えている。
  • ウ: 正しい。民840条3項括弧書による法人後見人制度。社会福祉法人・NPO法人・一般社団法人等が後見人となれる。複数の法人が同時に後見人となることも許容されている。弱者保護の観点から法人後見の活用が推奨されている。
  • エ: 正しい。民857条は「未成年後見人は、第820条から第823条まで(親権者の子の身上に関する権利義務)の規定に従い、その未成年者の身上を監護し、かつ、その財産を管理し、その財産に関する法律行為についてその未成年者を代理する」と規定する。親権者と同等の財産管理・代理権・身上監護権を持つ。
  • オ: 正しい。民851条2号「後見人が欠けた場合において急迫の事情があるときは、遅滞なく後見の事務を行うこと」が監督人の職務として規定されている。後見人が死亡や辞任等で欠けた場合の空白期間を監督人がカバーする制度。

【根拠条文】

民法 第838条(後見の開始)、第840条(未成年後見人の選任・複数選任および法人後見人の許容=2項3項)、第851条(後見監督人の職務)、第857条(未成年後見人の職務)、第857条の2(数人ある場合の権限の行使)

【補足】

2011年改正で旧842条「未成年後見人は一人でなければならない」が削除され、複数後見人・法人後見人が認められた(民840条2項3項)。「未成年後見人は1人のみ」は現行法上誤り。未成年後見監督人の緊急後見事務権限(民851条2号)も頻出。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第838条(後見の開始)、第839条(未成年後見人の指定)、第840条(未成年後見人の選任・複数選任および法人後見人の許容=840条2項・3項)、第857条(未成年後見人の権限)、第857条の2(未成年後見人が数人ある場合の権限の行使)、第852条(後見監督人の職務に関する準用) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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