行政書士 民法 問67:相続人・法定相続分
Aが死亡した。Aには配偶者B、Aの子C(Cは既に死亡しており、Cの子Dが存在する)、Aの父E(Aの母は既に死亡)、Aの兄Fがいる。この場合の法定相続人と法定相続分に関する次のア〜オの記述のうち、現行民法の規定に照らして**正しいもの**はどれか。
- アB・D・E・Fの全員が相続人となり、それぞれ4分の1ずつ相続する。
- イBとEが相続人となり、Bが3分の2、Eが3分の1を相続する。
- ウBとDが相続人となり、Bが4分の3、Dが4分の1を相続する。
- エBとDが相続人となり、Bが2分の1、Dが2分の1を相続する。正答
- オBとEが相続人となり、Bが2分の1、Eが2分の1を相続する。
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法定相続の順位は、第1順位が子(子が既に死亡している場合は代襲相続人)、第2順位が直系尊属(父母・祖父母等)、第3順位が兄弟姉妹です。本問でAの子CはAより先に死亡していますが、Cの子DがCを代襲してAの相続人となります(代襲相続・民法887条2項)。配偶者Bは常に相続人となります(民法890条)。第1順位の子(Dが代襲)が存在するため、第2順位の父E・第3順位の兄Fは相続人になりません。BとDが相続人となり、子(D)がいる場合の配偶者の相続分は2分の1、子(D)の相続分も2分の1です(民法900条1号)。正答はエです。
法定相続人の確定手順を整理します。まず常に相続人となる配偶者Bを確認します。次に順位に従って子を探します。Aの子Cは死亡していますが、Cには子Dがいるため、DがCを代襲してAの相続人となります(民法887条2項:代襲相続)。第1順位(子・代襲者D)が存在するため、第2順位の父E・第3順位の兄Fは相続人になりません(民法889条1項柱書)。
相続分の計算:配偶者と子が相続人となる場合(民法900条1号)、配偶者B=2分の1、子(全員合計)=2分の1です。本問で子の相続分(2分の1)を受け取る者はD(Cを代襲)のみであり、Dが2分の1を単独で取得します。
よって「BとDが相続人となり、Bが2分の1、Dが2分の1」が正答(エ)です。ウの「Bが4分の3、Dが4分の1」は第2順位・直系尊属のみが相続人となる場合(配偶者 vs 直系尊属)の分数(3分の2・3分の1)と混同した誤りです。
【理論的背景】
法定相続制度は、被相続人の意思(遺言)がない場合に、法が定める基準で遺産を分配する仕組みです。相続人の範囲と順位は民法887条〜890条で定められており、「血族相続人の順位」と「配偶者の常時相続人性」という二軸で構成されます。代襲相続は、相続人となるべき者が相続開始前に死亡・欠格・廃除となった場合に、その者の直系卑属(子・孫)が代わりに相続権を取得する制度です(民法887条2項)。この制度は、被相続人と代襲者(孫等)との間の家族的関係と、死亡した相続人(被代襲者)の潜在的な相続分を守ることを目的とします。
【実務・条文構造】
相続人の確定に関する条文を整理します。民法887条1項:被相続人の子は相続人となる。民法887条2項:子が被相続人の死亡以前に死亡等した場合、その子の直系卑属が代襲者として相続する(代襲相続)。民法887条3項:再代襲(代襲者も死亡した場合はその子が再代襲)。民法889条1項:子がいない場合は、①直系尊属、②兄弟姉妹の順で相続人となる。民法890条:配偶者は常に相続人。民法900条:法定相続分は、①配偶者のみ→全部、②配偶者+子→各2分の1、③配偶者+直系尊属→配偶者3分の2・直系尊属3分の1、④配偶者+兄弟姉妹→配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1。民法901条:代襲者の相続分は被代襲者(本来の相続人)の相続分を承継する。
本問の計算:B(配偶者):2分の1。D(Cを代襲):Cの相続分(2分の1)をそのまま取得。E(父)・F(兄):相続人にならない。
【試験での位置づけ】
行政書士試験では、法定相続分の計算は毎年出題される最頻出論点です。引っかけパターンは主に3つあります。(1)代襲相続の有無を誤る(死亡した子の親(被代襲者)の相続分を直接尊属・兄弟姉妹に振り向ける)、(2)相続順位を誤る(子がいるのに直系尊属・兄弟姉妹を相続人にする)、(3)相続分の分数を別のケースのものと混同する(「配偶者+子」の2分の1ずつを「配偶者+直系尊属」の3分の2:3分の1と混同する等)。ウの「Bが4分の3、Dが4分の1」は「配偶者+兄弟姉妹」の場合の相続分であり、子が存在するケースとの混同です。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 誤り。第1順位の子(代襲者D含む)が存在するため、第2順位のE・第3順位のFは相続人にならない。4人全員が相続人になる場面は存在しない。
- イ: 誤り。第1順位の子の代襲者Dが存在するため、第2順位の直系尊属Eは相続人にならない。「BとEが相続人」とする前提が誤り。なお「Bが3分の2、Eが3分の1」という数字は、仮に子も代襲者もおらず配偶者と直系尊属が相続人となる場合(民法900条2号)の相続分であり、本問には適用されない(順位の取り違え+ケース別相続分の混同を狙った典型的な誤り肢)。
- ウ: 誤り。「B4分の3、D4分の1」は配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合の相続分であり、本問には適用されない。典型的な混同パターン。
- エ: 正答。民法900条1号・901条の規定通り。
- オ: 誤り。子(代襲者D)が存在するため、直系尊属Eは相続人にならない。第1順位が存在する以上、第2順位は相続権を取得しない。
【根拠条文】
民法 第887条第1項・第2項(子及びその代襲者等の相続権)、第889条第1項(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)、第890条(配偶者の相続権)、第900条第1号(子と配偶者が相続人の場合の法定相続分)、第901条(代襲相続人の相続分)
【補足】
「配偶者+子:各2分の1」「配偶者+直系尊属:3分の2・3分の1」「配偶者+兄弟姉妹:4分の3・4分の1」の3パターンの数字は必須暗記。代襲相続の発動条件(相続開始前の死亡・欠格・廃除)も確認のこと。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第887条・第889条・第890条・第900条・第901条 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。