民法73配偶者居住権

行政書士 民法 問73:配偶者居住権

配偶者居住権に関する次のア〜オの記述のうち、現行民法の規定に照らして**誤っているもの**はどれか。

  • 配偶者居住権は、被相続人が所有する建物に相続開始時点で居住していた配偶者が取得できる権利であり、遺産分割または遺言によって成立する。
  • 配偶者居住権を取得した配偶者は、居住建物を第三者に譲渡することができる。正答
  • 配偶者居住権の存続期間は、遺産分割の協議・審判または遺言で別段の定めがない場合、配偶者の終身とされる。
  • 配偶者居住権の設定を受けた配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得れば、居住建物を第三者に使用させることができる。
  • 配偶者居住権は登記することができ、登記をすることによって第三者に対抗することができる。
正答:配偶者居住権を取得した配偶者は、居住建物を第三者に譲渡することができる。

AI解説(初心者・標準・上級)

理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・判例も明記。

初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

配偶者居住権は2019年の相続法改正で新設された権利で、2020年4月1日から施行されています。配偶者居住権を取得した配偶者は、居住建物に住み続ける権利を得ますが、この権利を第三者に譲渡することはできません(民法1032条2項)。よってイが誤りです。アは正しく(民法1028条1項)、ウは正しく(民法1030条本文・終身が原則)、エは正しく(民法1032条3項・所有者の承諾あれば第三者使用可)、オは正しく(民法1031条・登記によって第三者対抗可)です。

標準試験対策の基準レベル

正答はイです。民法1032条2項は「配偶者居住権は、譲渡することができない」と明記しています。配偶者居住権は配偶者の居住を保護するための一身専属的な権利であり、第三者への譲渡は認められません。

各選択肢を確認します。ア(正):民法1028条1項が根拠。「被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた」配偶者が、遺産分割または遺言によって配偶者居住権を取得できます。イ(誤・正答):上記の通り、一身専属権であり譲渡不可。ウ(正):民法1030条本文は「配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする」と規定し、別段の定め(遺産分割協議・審判・遺言)がある場合はそれに従います。エ(正):民法1032条3項は「配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物を改築し、若しくは増築し、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない」と規定しており、所有者の承諾がある場合は第三者使用が可能です。オ(正):民法1031条は配偶者居住権の登記を規定し、登記された配偶者居住権は第三者に対抗できます。

上級誤答論破・条文/判例まで深掘り

【理論的背景】

配偶者居住権は2019年の相続法改正(2020年4月1日施行)で新設された制度です。従来、遺産分割において配偶者が居住建物の所有権を取得しようとすると、その評価額が高い場合には他の財産(預貯金等)を相続できなくなり、老後の生活費に困るという問題がありました。配偶者居住権はこの問題を解決するため、配偶者が建物の所有権ではなく「居住を続ける権利(配偶者居住権)」を取得し、その分の評価を低く抑えることで、別途預貯金等を相続できるようにする制度です。同時に、居住建物の所有権は他の相続人が取得するため、建物を巡る権利関係が「配偶者居住権(配偶者)+負担付き所有権(他の相続人)」に分割されます。

【実務・条文構造】

配偶者居住権に関する主要条文(民法1028条〜1041条)を整理します。民法1028条1項:成立要件(相続開始時に居住・遺産分割または遺言)。民法1028条1項ただし書:被相続人が遺言で配偶者に配偶者居住権を取得させない旨を定めた場合は成立しない。民法1029条:審判による取得(居住建物が共同相続人全員の共有でない場合等の特則)。民法1030条:存続期間は原則として配偶者の終身。別段の定めがある場合はその期間(終身を超えることはできない)。民法1031条:配偶者居住権の登記(登記義務・対抗力)。民法1032条:配偶者の義務(善管注意義務・用法遵守・譲渡禁止・増改築・第三者使用には所有者の承諾が必要)。民法1036条:配偶者居住権の消滅(存続期間満了・配偶者の死亡・混同・消滅請求)。

【試験での位置づけ】

配偶者居住権は2020年施行の新設制度であり、行政書士試験では近年の最重要新設制度の一つとして出題が増加しています。出題される論点は、(1)成立要件(相続開始時の居住・遺産分割または遺言)、(2)一身専属権として譲渡不可、(3)存続期間(終身が原則)、(4)第三者使用には所有者の承諾が必要、(5)登記によって第三者対抗力、です。特に「譲渡可能か否か(不可)」は制度の本質に関わり、出題頻度が高いです。また、配偶者短期居住権(民法1037条〜1041条)とセットで問われることもあります。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。民法1028条1項の要件通り。被相続人が建物を第三者と共有していた場合(持分のみ所有)は配偶者居住権を遺産分割で取得することができない点(民法1028条1項ただし書的な要件)にも注意。
  • イ: 誤り(正答)。民法1032条2項「配偶者居住権は、譲渡することができない」が明確な根拠。配偶者居住権は配偶者個人の居住保護を目的とした一身専属権であり、財産的価値を他者に移転する機能はない。遺産分割で取得した配偶者居住権の評価額(存続年数に応じた計算)は他の相続財産の計算に影響するが、権利自体を売る・贈与することはできない。
  • ウ: 正しい。民法1030条本文が根拠。「終身」とは配偶者が生きている限りという意味で、配偶者が死亡すると権利は消滅する(民法1036条準用)。別段の定めで期間を定めることも可能(ただし終身を超えることはできない)。
  • エ: 正しい。民法1032条3項が根拠。所有者の承諾なしに第三者に使用させると、居住建物の所有者は消滅請求ができる(民法1032条4項)。承諾がある場合は、例えば子や孫を建物に住まわせることができる。
  • オ: 正しい。民法1031条1項は「居住建物の所有者は、配偶者に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う」と規定し、登記義務があることと、登記によって第三者対抗力を持つことが確保される。

【根拠条文】

民法 第1028条第1項(配偶者居住権の成立)、第1030条(存続期間)、第1031条(配偶者居住権の登記)、第1032条第2項(譲渡禁止)・第3項(第三者使用には承諾が必要)

【補足】

配偶者居住権の核心:一身専属権(譲渡不可)・終身が原則・登記で対抗力・第三者使用には所有者承諾。2020年4月1日施行の新設制度として行政書士試験での出題が増加。配偶者短期居住権(民法1037条〜)との違いも確認のこと。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第1028条・第1029条・第1030条・第1031条・第1032条・第1033条・第1036条 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

関連論点

配偶者居住権頻出度A

民法の他の問題

1
制限行為能力者・未成年者
2
制限行為能力者・被保佐人・被補助人
3
制限行為能力者・取消権・追認
4
意思表示・錯誤の現行規律
5
意思表示・錯誤の重要性・動機の錯誤
6
意思表示・詐欺・強迫

全365問・科目別に解いて、行政書士に最短合格

行政法・民法・憲法を科目別に攻略。各問に根拠条文・判例とAI解説(3レベル)付き。