民法77寄与分

行政書士 民法 問77:寄与分

寄与分に関する次のア〜オの記述のうち、現行民法の規定に照らして**誤っているもの**はどれか。

  • 寄与分は、共同相続人の中に、被相続人の事業を手伝い財産の維持・増加に特別の寄与をした者がいる場合に、その者の相続分に加算される。
  • 寄与分の額は、まず共同相続人間の協議で定め、協議が調わない場合は家庭裁判所が定める。
  • 寄与分は、遺贈の額を超えることはできず、相続財産の額から遺贈の額を控除した残額を超えることができない。
  • 寄与分の主張ができるのは、被相続人の親族であれば相続人以外の者でも可能であり、相続人に限定されない。正答
  • 寄与の方法として、被相続人の財産管理のほか、療養看護によって財産の維持または増加に特別の寄与をした場合も対象となる。
正答:寄与分の主張ができるのは、被相続人の親族であれば相続人以外の者でも可能であり、相続人に限定されない。

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寄与分(民法904条の2)は、共同相続人の中に被相続人の財産の維持・増加に特別の貢献をした者がいる場合に、その者の相続分を増加させる制度です。寄与分を主張できるのは相続人に限られており、相続人以外の親族は対象になりません(エが誤り)。相続人以外の親族については、2019年の相続法改正で新設された「特別寄与料」(民法1050条)という別制度が適用されます。アは正しく(民法904条の2第1項)、イは正しく(同条2項)、ウは正しく(同条3項)、オは正しく(療養看護も寄与方法の一つ)です。

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正答はエです。民法904条の2第1項は「共同相続人の中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは…」と規定しており、寄与分を主張できるのは「共同相続人」すなわち相続人に限られています。相続人以外の親族(被相続人の子の配偶者等)は対象外です。2019年改正で特別寄与料(民法1050条)が新設されたのはこの問題への対応策です。

各選択肢を確認します。ア(正):民法904条の2第1項の規定通り。寄与分の額は法定相続分の計算に反映されます(寄与分を控除した残額を分割対象にする)。イ(正):同条2項は協議で寄与分を定め、協議が調わない場合は家庭裁判所(審判)で定めると規定します。ウ(正):同条3項は「寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない」と規定します。オ(正):民法904条の2第1項は療養看護を明示的に寄与方法として挙げています。

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【理論的背景】

寄与分制度(民法904条の2)は、1980年(昭和55年)の民法改正で創設されました。法定相続分による単純な分割では、実際に被相続人の財産形成・維持に貢献した相続人が他の相続人と同じ相続分しか得られない不公平が生じます。この不公平を是正するための制度が寄与分です。ただし、「通常の扶養義務を超えた特別な寄与」である必要があり、日常的な見舞い程度は対象になりません。相続人以外の親族への対応が不十分だったため、2019年改正で特別寄与料(民法1050条)が新設された経緯があります。寄与分と特別寄与料の主な違いは、請求権者の範囲(相続人 vs 相続人以外の親族)と手続き(遺産分割の中 vs 独立した金銭請求)にあります。

【実務・条文構造】

民法904条の2の構造を整理します。1項:寄与分の主体(共同相続人)・要件(特別の寄与による財産の維持・増加)・方法(労務提供・財産上の給付・療養看護等)。2項:寄与分の決定方法(まず協議・調わない場合は家庭裁判所の審判)。3項:寄与分の上限(相続財産から遺贈額を控除した残額を超えることはできない)。この上限規定の趣旨は、遺贈(被相続人の意思表示)を寄与分より優先させることにあります。寄与分の具体的計算:みなし相続財産=相続財産−寄与分、法定相続分による分割後に寄与者が寄与分を上乗せして取得します(具体的相続分=(みなし相続財産×法定相続分)+寄与分)。

【試験での位置づけ】

行政書士試験での寄与分の論点は、(1)主体(相続人限定)、(2)特別の寄与の意義(通常の扶養義務を超えること)、(3)上限(遺贈額控除後の残額)、(4)決定方法(協議→審判)、(5)特別寄与料(相続人以外の親族の制度)との区別、が中心です。エの「相続人以外でも可能」は、特別寄与料制度の創設に伴って出題頻度が高まっています(寄与分 vs 特別寄与料の違いを問う形式)。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。「財産の維持・増加に特別の寄与をした者」という要件が重要。「特別の」という言葉は、扶養義務者として通常期待される貢献を超えることを意味する(扶養義務の範囲内の貢献は対象外)。
  • イ: 正しい。民法904条の2第2項の規定通り。実際には家族間での協議は難しい場合が多く、家庭裁判所の審判による解決が多い。審判で考慮される要素は、寄与の方法・期間・程度等。
  • ウ: 正しい。民法904条の2第3項の規定通り。遺贈の優先性(被相続人の意思の優先)が根拠。寄与分が遺贈額を超えるほど大きいケースは想定しないという立法判断。
  • エ: 誤り(正答)。寄与分の主体は「共同相続人」に限定される(民法904条の2第1項)。相続人以外の親族(被相続人の息子の妻等)には寄与分の請求権がない。相続人以外の親族の貢献については2019年新設の特別寄与料(民法1050条)が適用される。
  • オ: 正しい。民法904条の2第1項が「療養看護」を明示的に寄与方法として列挙している。認知症の親を自宅で介護した場合等が典型例。「特別の寄与」の判断には、療養看護の程度・期間・費用節約額等が考慮される。

【根拠条文】

民法 第904条の2第1項(寄与分の主体・要件・方法)、第904条の2第2項(協議・審判)、第904条の2第3項(寄与分の上限)、第1050条(特別寄与料・参照)

【補足】

「寄与分(相続人のみ)vs 特別寄与料(相続人以外の親族)」の対比が2019年改正後の最重要論点。寄与分の上限は「遺贈額控除後の残額」であり、遺贈が優先されることを忘れないこと。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第904条の2 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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