令和4年度29ストラテジ系

ITパスポート 令和4年度 問29:法務・コンプライアンスに関する問題

マネーロンダリングの対策に関する記述として,最も適切なものはどれか。

  • a金融取引に当たり,口座開設時の取引目的や本人確認を徹底し,資金の出所が疑わしい取引かどうかを監視する。正答
  • b紙幣の印刷に当たり,コピー機では再現困難な文字や線,傾けることによって絵が浮かび上がるホログラムなどの技術を用いて,複製を困難にする。
  • c税金の徴収に当たり,外国にある子会社の利益を本国の親会社に配当されたものとみなして,本国で課税する。
  • d投資に当たり,安全性や収益性などの特徴が異なる複数の金融商品を組み合わせることによって,一つの事象によって損失が大きくなるリスクを抑える。
正答:A金融取引に当たり,口座開設時の取引目的や本人確認を徹底し,資金の出所が疑わしい取引かどうかを監視する。

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答えは a です。

マネーロンダリング(資金洗浄)とは、悪いことで得た“汚れたお金”を、銀行などを通して“きれいなお金”に見せかけること。その対策は、「あやしいお金の動きを見張る」ことです。

aは、口座を作るとき本人確認をしっかりして、あやしい取引がないか監視する話。まさに対策です。

👉 覚え方:ロンダリング=laundry(洗濯)。対策は「お金の出どころを見張る」。

ほかの選択肢:b ニセ札を作りにくくする=偽造防止/c 海外子会社の利益に課税=税金(タックスヘイブン対策)の話/d 複数の商品に分けて損を抑える=分散投資(リスク管理)。

標準試験対策の基準レベル

なぜこれが正解か

正解は a。マネーロンダリング(資金洗浄)は、犯罪で得た資金の出所を隠して正当な資金に見せかける行為。その対策の中心は、口座開設時の本人確認(KYC)と取引目的の確認、資金の出所が疑わしい取引のモニタリング・届出である。

各選択肢の解説

  • a 本人確認を徹底し疑わしい取引を監視:○ マネロン対策(AML)の典型。
  • b ホログラム等で複製を困難に:✕ 紙幣の偽造防止技術。
  • c 海外子会社の利益に本国で課税:✕ タックスヘイブン対策税制(租税回避防止)。
  • d 複数商品の組合せで損失リスクを抑える:✕ 分散投資(ポートフォリオによるリスク低減)。

覚え方・ひっかけ注意

「マネロン=汚れた資金の出所隠し」「対策=本人確認+取引監視」。bの偽造防止、cの税金、dの分散投資はどれも「お金」に関わるため紛らわしいが、テーマが違う。キーワードは「本人確認」「疑わしい取引」。

上級誤答論破・背景理論まで深掘り

理論的背景

マネーロンダリング(Money Laundering:資金洗浄)は、犯罪行為(薬物密売・詐欺・横領・脱税等)から得た不正資金を、正当な経済活動で得たかのように見せかけて「洗浄」する行為を指す。その語源は「汚れた金を洗い清める」という比喩から来ており、銀行口座の開設・不動産購入・現金多額取引・ペーパーカンパニー設立等の手法で資金追跡を困難にする。

マネーロンダリング対策(AML:Anti-Money Laundering)は国際基準としてFATF(Financial Action Task Force on Money Laundering:金融活動作業部会)が定める「40の勧告」に基づき各国が法整備している。日本では「犯罪収益移転防止法(犯収法、平成19年法律第22号)」が主要な対策法で、金融機関に以下の義務を課す。

  • 取引時確認(KYC:Know Your Customer):口座開設・一定額以上の取引時に本人確認(氏名・住所・生年月日・職業)を実施する。選択肢aの「口座開設時の取引目的・本人確認の徹底」がこれに直接対応する。
  • 疑わしい取引の届出(STR:Suspicious Transaction Report):資金の出所が疑わしい取引は当局(Financial Intelligence Unit)に報告する義務。「資金の出所が疑わしい取引かどうかを監視する」も選択肢aの記述に含まれている。
  • 取引記録の保存:顧客の取引情報を7年間保存する義務。

実務での使われ方

金融機関では大規模なAMLシステム(SASやOracle等の専用ソフトウェア)を導入して、顧客の取引パターンをAIで分析し「通常と異なるパターン(深夜の大額現金引き出し・短期間の多数取引・タックスヘイブン向け送金等)」を自動検出する。日本でも三菱UFJ・みずほ・三井住友等の大手銀行は数十億円規模のシステム投資をAMLシステムに行っている。

暗号資産(仮想通貨)は従来の金融機関を介さない取引を可能にするため、マネーロンダリングの新たな手段として国際社会が懸念を強め、FATFは2019年に暗号資産サービス事業者(VASP)にもAML義務を適用するガイダンスを公表した。

試験での位置づけ

ITパスポートの法務・コンプライアンス分野で出題。本問の4選択肢は「マネーロンダリング対策(AML)」「偽造防止技術(紙幣セキュリティ)」「タックスヘイブン対策税制(CFC税制・タコノキ規定)」「分散投資(ポートフォリオ理論)」の説明が混在しており、「マネーロンダリングの対策として正しいもの」という文脈で選択肢aを絞り込む。「犯罪収益の出所を追跡・検出する仕組み」という本質から判断する。

上位資格では、FATF40の勧告の内容、リスクベースアプローチ(RBA)でのAML対策の優先付け、フィンテック規制(暗号資産・DeFi)とAML、テロ資金供与対策(CFT)との関係まで踏み込んだ問題が出る。

選択肢の発展補足

選択肢b(紙幣のホログラム・特殊印刷技術):偽造紙幣対策の説明。日本銀行券(日本銀行法・国立印刷局)が採用するホログラム・マイクロ文字・すき入れ(ウォーターマーク)・特殊インク(傾けると色が変わるOVI:Optically Variable Ink)等の偽造防止技術。マネーロンダリング(犯罪収益の洗浄)とは全く異なる問題(紙幣の真贋判定)への対策。「コピー機では再現困難」「傾けることによって絵が浮かび上がる」という記述が偽造防止技術のキーワード。

選択肢c(外国子会社の利益を親会社に課税):タコノキ規定(CFC:Controlled Foreign Corporation規定)またはタックスヘイブン対策税制の説明。日本企業が税負担が軽い国(タックスヘイブン:ケイマン諸島・バミューダ・バヌアツ等)に実体のないペーパーカンパニーを設立して利益を留保し、日本での税負担を回避する行為への対策税制。OECDのBEPS(Base Erosion and Profit Shifting)対策プロジェクトとも関連する。マネーロンダリングとは区別される別の脱税対策。

選択肢d(複数の金融商品を組み合わせてリスク分散):分散投資・ポートフォリオ理論の説明。Harry Markowitz(1952年・ノーベル経済学賞受賞)が提唱した現代ポートフォリオ理論(MPT)に基づく投資リスク管理手法。相関の低い複数の資産(株式・債券・不動産・コモディティ等)を組み合わせることで全体リスクを低減する。「一つの事象によって損失が大きくなるリスクを抑える」という記述は正確なポートフォリオ理論の説明だが、マネーロンダリング対策とは無関係。

出典・引用について

出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和4年度29/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。

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