ITパスポート 令和8年度 問17:system_strategyに関する問題
AIを利活用する上で留意すべき事項として、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。\na AIの意図しない動作によって、人間の生命や身体などに危害を及ぼす可能性\nb AIの判断に差別的な内容が含まれる可能性\nc AIの判断にプライバシーの侵害となる内容が含まれる可能性
- aa, b
- ba, b, c正答
- ca, c
- db, c
AI解説(初心者・標準・上級)
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答えは b「a, b, c の全部」 です。
AIはとても便利ですが、使い方を間違えると人に迷惑をかけることがあります。たとえば——a 自動運転が誤作動して人にケガをさせるかも/b AIが学んだデータに偏りがあって差別的な判断をするかも/c 個人情報を勝手に使ってプライバシーを侵害するかも。どれも本当に起こりうる心配ごとなので、3つとも気をつける必要があります。
👉 覚え方:AIの注意点は「安全(命)・公平(差別)・プライバシー」の3つ全部。
だから「a, b, c 全部当てはまる」のbが正解。一部だけのa・c・dは“見落とし”があるので不適切です。
なぜこれが正解か
正解は b(a, b, c すべて)。AIの利活用では次の3点はいずれも実際に留意すべき重要事項である。
- a 安全性:AIの誤作動・想定外動作が人間の生命や身体に危害を及ぼす可能性(自動運転・医療AI等)。
- b 公平性:学習データの偏りにより、AIの判断に差別的な内容が含まれる可能性。
- c プライバシー:AIの判断や処理にプライバシー侵害となる内容が含まれる可能性。
したがって3つとも該当し、全てを挙げた選択肢bが正解。
各選択肢の解説
- a(a, b):cのプライバシーが抜けている。
- c(a, c):bの差別(公平性)が抜けている。
- d(b, c):aの安全性が抜けている。
覚え方・ひっかけ注意
この種の「全て挙げたものはどれか」問題は、1つでも妥当な項目を除外している選択肢は誤り。AI倫理の3本柱「安全・公平・プライバシー」はどれも常識的に妥当なので、迷わず“全部入り”を選ぶ。
理論的背景
AIの倫理的・社会的リスクは近年国際的な政策課題となっており、本問の3つの選択肢a・b・cはいずれも正規の「AIリスク」として国際標準・ガイドラインで認定されている。IEEE(Ethically Aligned Design)・OECD AI原則(2019年)・EU AI法(2024年施行)・日本のAI社会原則(2019年内閣府)は共通してAIの「安全性・非差別性・プライバシー保護」をコア要件として定めている。具体的なリスク事例:aの安全リスク→自動運転車の誤判断による交通事故・医療AIの誤診断・原子力制御システムへのAI適用失敗。bの差別リスク→Amazon採用AIが女性を不利に評価(2018年廃止)・刑事司法リスク評価AIのCOMPASが黒人被告を過大評価。cのプライバシーリスク→顔認識AIによる大規模監視・生成AIが学習データから個人情報を漏洩(memorization問題)。
実務での使われ方
企業のAI倫理・リスク管理の実践として「AIガバナンス」の整備が進んでいる。IBM・Google・Microsoft・富士通等の大手IT企業は「AI倫理委員会」を設置し、AI開発・導入の事前審査を義務化している。EU AI法では「リスクベースアプローチ」が採用され、AIシステムをリスクレベルによって「禁止(感情認識AI・社会的スコアリング等)」「高リスク(採用・信用審査・医療・重要インフラ等)」「限定リスク」「最小リスク」の4段階に分類し、高リスクAIには事前適合性評価・CE認証相当の規制が課される。日本でも内閣府「AI事業者ガイドライン(2024年4月版)」が発行され、AI開発者・提供者・利用者それぞれの責務が定められた。
試験での位置づけ
AI倫理・リスクはITパスポートの最新シラバスで重点テーマとして追加された。本問は「適切なもの全て」という選択肢が全部正しいパターンで、AIリスクの網羅的理解を問う。典型的な誤答は「AIはすべてのリスクを持つ必要はない」という誤解からa・b・cの一部だけを正解と思い込むパターン。重要なのは「AIリスクは単一の問題ではなく複合的に存在する」という認識で、OECD・EU・日本政府が定めたAI原則はすべてこれら複数のリスクに同時に対応することを求めている。近年は「AIハルシネーション(事実誤認の生成)」「バイアス増幅」「説明可能性の欠如(ブラックボックス問題)」という新しいリスク概念もシラバスに取り込まれつつある。
選択肢の発展補足
リスクaの安全性問題における対策として「フェイルセーフ設計(失敗しても安全な状態に移行する)」「ヒューマン・イン・ザ・ループ(最終判断を人間が行う)」「AI安全評価(Red Teaming・Adversarial Testing)」がある。自動運転ではSAE国際規格(レベル0〜5)に基づき各レベルで異なる安全要件が課される。リスクbの差別・バイアス問題では「データバイアス(学習データの不均衡)」「アルゴリズムバイアス(モデル設計の偏り)」「測定バイアス(指標設定の偏り)」という三種類のバイアスが区別され、公平性指標(Fairness Metrics:Demographic Parity・Equalized Odds等)で定量評価する手法が研究されている。リスクcのプライバシー問題では「差分プライバシー(Differential Privacy)」という数学的手法が注目されており、AppleやGoogleがユーザーデータ収集に適用している。これらの対策技術は上位資格(情報セキュリティマネジメント・応用情報)での出題対象となる。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和8年度 問17/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。