ITパスポート 令和8年度 問18:system_strategyに関する問題
コンカレントエンジニアリングを採用する目的として、最も適切なものはどれか。
- a開発期間や納期の短縮正答
- b開発製品におけるセキュリティの確保
- c開発製品の省エネルギー性能の確保
- d開発製品への最新技術の活用
AI解説(初心者・標準・上級)
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答えは a「開発期間や納期の短縮」 です。
ふつう製品づくりは「設計→試作→生産準備」と順番にバトンを渡しますが、これだと前の工程が終わるまで次が待ちぼうけです。コンカレント(同時並行)エンジニアリングは、いくつかの工程を同時に進めて待ち時間を減らす方法。料理で言えば、お米を炊きながら同時におかずも作るイメージ。だから完成(納期)が早くなります。
👉 覚え方:コンカレント=「同時並行」=待たずに進めて期間短縮。
ほかの選択肢:b セキュリティ/c 省エネ/d 最新技術——どれも“同時並行で進める”目的とは直接関係ありません。
なぜこれが正解か
正解は a。コンカレントエンジニアリングとは、製品開発において設計・試作・生産準備などの複数工程を同時並行的に進める手法。従来の直列的(前工程完了後に次工程)な進め方に比べ、工程間の待ち時間や手戻りを減らせるため、開発期間・納期の短縮が最大の目的となる。
各選択肢の解説
- b セキュリティの確保:コンカレントエンジニアリングの直接の目的ではない。
- c 省エネルギー性能の確保:製品の性能設計の話で、開発手法の目的ではない。
- d 最新技術の活用:技術選定の問題で、同時並行手法とは関係がない。
覚え方・ひっかけ注意
「コンカレント=concurrent=同時並行」と覚えれば、目的は自然に「時間短縮」と導ける。並行作業で各部門が早期から情報共有するため、後工程の問題を前倒しで発見でき、結果として手戻り削減にもつながる点も押さえる。
理論的背景
コンカレントエンジニアリング(Concurrent Engineering・CE)は1986年にIDA(Institute for Defense Analyses)がアメリカ国防総省向けレポートで概念を定式化した製品開発手法で、「設計・製造・テスト・保守等の各工程を並列的に実施し、早期に下流工程の問題を上流設計にフィードバックする統合的アプローチ」と定義される。ウォーターフォール型のシーケンシャル開発(設計→製造→テスト→量産という逐次工程)と比較した場合、CEは工程の重複実施(オーバーラップ)によって開発リードタイムを大幅に短縮できる一方、工程間の依存関係が複雑になるため強力なプロジェクト管理・PLM(Product Lifecycle Management)ツールが必要となる。Toyotaの製品開発システム(TPDS)・Boeingの787機体設計での採用が有名事例で、787では10,000人以上のエンジニアが世界各地の協力会社と並列設計を行い開発期間を大幅圧縮した。
実務での使われ方
コンカレントエンジニアリングの実施には「PDM(Product Data Management)・PLMシステム(Siemens Teamcenter・PTC Windchill・Dassault ENOVIA等)」による設計データの一元管理が不可欠で、複数チームが同一製品モデルを同時参照・更新できる環境を整備する。製造業のDXにおいてはデジタルツイン(Physical製品のVirtual replica)を活用したコンカレント検証が先進事例として注目される。また、ソフトウェア開発ではアジャイル開発のDevOpsパイプライン(CI/CD)がCEの考え方をSW開発に適用したものと解釈でき、開発・テスト・デプロイを継続的並列実行することで短期リリースサイクルを実現している。スタートアップの「スプリント」も本質的にはコンカレントエンジニアリングの思想を取り込んでいる。
試験での位置づけ
コンカレントエンジニアリングはITパスポートのストラテジ系・情報システム戦略カテゴリで出題される。本問は目的を正確に理解しているかを問う問題で、「開発期間・納期の短縮」という正解aに対して「セキュリティ確保・省エネ・最新技術活用」という無関係な目的が混入している。CEの本質は「並列化によるリードタイム短縮」であり、セキュリティ・省エネ・最新技術はCEの直接の目的ではない(副次的効果として得られる場合はあるが主目的ではない)。近年はアジャイル開発との比較問題として出題されるケースも増えており「ウォーターフォール・コンカレント・アジャイルの三者比較」という形式が予想される。基本情報・応用情報ではIPAのシステム開発プロセス標準(共通フレーム2013)とCEの関係も問われる。
選択肢の発展補足
選択肢bのセキュリティ確保はSecurity by Design(セキュリティ・バイ・デザイン)という概念と関連する。開発の初期段階からセキュリティを組み込む考え方で、CEとは目的が異なるが「早期フィードバック」という手法論は共通している。IPA「セキュア・バイ・デザイン」ガイドラインでは設計段階のセキュリティ要件定義が推奨される。選択肢cの省エネ性能確保はGreen Design・エコデザイン(RoHS指令・REACH規制等への対応)という設計アプローチで、環境負荷低減を設計段階から組み込む手法。これもCEの適用範囲として組み合わせて実施されることはあるが、CEの主目的ではない。選択肢dの最新技術活用は技術スカウティング・オープンイノベーションの話であり、開発プロセスの並列化とは別次元の話。「目的を問う問題」では「手法の本質的な特徴に直結する目的」を選ぶことが重要で、CEの場合は「並列化→リードタイム短縮」という因果関係が核心となる。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和8年度 問18/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。