ITパスポート 令和8年度 問20:system_strategyに関する問題
システム開発におけるRFPの説明として、適切なものはどれか。
- aITベンダーが、情報システム開発の必要性をユーザーに提案するために作成した提案文書
- b発注者側が、開発すべき情報システムの調達条件などをITベンダーに示すために作成した文書正答
- c発注者と受注したITベンダーが、開発するシステムの仕様を明確にするために共同で作成した設計文書
- dユーザー部門が、情報システム部門に情報システム開発の必要性と開発要件を明確にするように求めた文書
AI解説(初心者・標準・上級)
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答えは b です。
RFPは、システムを作ってほしい発注者(お客さん側)が、開発会社に向けて「こんなシステムを、この条件で作ってほしいです」とまとめて渡す“注文の希望書”です。家を建てるときに「3LDKで予算2000万、来年3月までに」と工務店へ伝える要望書のようなもの。これを見て開発会社が「では、こう作ります」と提案します。
👉 覚え方:RFP=Request For Proposal=「提案をください」と発注者がお願いする書類。
ほかの選択肢:a 開発会社からの提案文書/c 発注者と開発会社が一緒に作る設計書/d 社内の部門どうしのお願い文書——いずれも“発注者→開発会社への調達条件提示”ではありません。
なぜこれが正解か
正解は b。RFP(Request For Proposal=提案依頼書)は、発注者側がITベンダーに対し、開発したい情報システムの目的・要件・予算・納期などの調達条件を示し、提案を依頼するために作成する文書。ベンダーはこれに基づいて提案書を返す。
各選択肢の解説
- a:ベンダーが自ら開発の必要性を提案する文書=これは提案書(プロポーザル)側の説明。
- c:発注者とベンダーが共同で作る設計文書=これは要件定義書や仕様書にあたる。
- d:ユーザー部門が情報システム部門に開発を要請する文書=これはRFI(情報提供依頼書)やシステム化要求に近く、社内向けの位置づけ。
覚え方・ひっかけ注意
「RFP=発注者がベンダーへ“提案ちょうだい”」と方向(発注者→ベンダー)を覚える。混同しやすいRFI(Request For Information=情報提供依頼書)は、RFPの前段階でベンダーから一般情報を集める文書。RFI→RFP→提案書→契約、という調達の流れで整理する。
理論的背景
RFP(Request for Proposal:提案依頼書)は調達プロセスの中核ドキュメントで、発注者がITベンダーに対して「調達条件・業務要件・技術要件・評価基準・スケジュール・予算」を提示し、ベンダーから具体的な提案書・見積書を求める正式な招請文書である。RFPとRFI・RFQの関係を整理すると:RFI(Request for Information:情報提供依頼)はRFP作成前の市場調査として「どのようなソリューションが存在するか」を複数ベンダーに照会する文書。RFQ(Request for Quotation:見積依頼書)は仕様が固まった段階で「価格だけ」を問い合わせる文書。RFPはこの中間に位置し、「要件を示してソリューションと価格の両方を提案させる」という総合的な調達手段となる。IT調達における一般競争入札・企画競争入札(プロポーザル方式)ではRFPが法的根拠文書となる。
実務での使われ方
RFP作成は情報システム部門・調達部門・ユーザー部門の共同作業であり、RFPの品質がベンダー選定の公正性・導入プロジェクトの成否を大きく左右する。IPA(情報処理推進機構)は「RFP作成ガイドライン」を公開しており、記載すべき項目として「事業概要・現行業務概要・調達の目的・機能要件・非機能要件(性能・セキュリティ・可用性・保守性・移行性)・作業・規模感・評価基準・スケジュール・契約条件・機密保持要件」等が定義されている。ベンダー側はRFPに対してRFP説明会(Q&A)→提案書作成→ベンダープレゼンテーション→最終交渉というプロセスで対応し、受注したベンダーはRFPを要件定義書・契約書の基礎として活用する。クラウドサービス調達ではRFPに「セキュリティ・クラウド利用の責任分界点・データ所在地・監査対応可否」を明示的に盛り込む必要がある。
試験での位置づけ
RFPはITパスポートのシステム戦略・IT調達カテゴリで頻出。本問の識別ポイントは「誰が作成するか(発注者=ユーザー)」「誰に向けるか(ベンダー)」「目的(調達条件の提示・提案依頼)」の三要素を正確に押さえること。誤答パターンはaの「ITベンダーが作成する」という誤解(逆方向)と、dの「ユーザー部門→情報システム部門への要求文書」という混同(RFP類似の社内文書はRFIや業務要件定義書と呼ばれる)。近年は「RFPのDX対応」として「AI・クラウドを活用したシステム調達のRFP記述」や「SaaS調達でのRFPの簡略化(MSA:マスターサービスアグリーメント活用)」という実務発展形が出題に現れ始めている。
選択肢の発展補足
選択肢aのような「ベンダーからユーザーへの提案文書」はRFP(提案依頼書)への返答として作成される「提案書(Proposal)」に相当し、RFPの対応文書である。選択肢cの「発注者と受注者が共同作成する設計文書」は要件定義フェーズで作成される「要件定義書・基本設計書(仕様書)」に相当し、RFPとは調達フェーズ(RFP→契約→要件定義→設計)の順序で位置づけられる別文書。選択肢dの「ユーザー部門が情報システム部門に開発を依頼する文書」はITリクエスト(IT要求書・システム化要件定義依頼書)に相当し、社内調達の文脈で使われる。公共調達では「調達仕様書・競争参加資格確認申請書・入札説明書」という体系でRFPが組み込まれ、情報公開・ベンダーロックイン回避・競争性確保の観点から国・地方自治体のDX調達ガイドラインで詳細が定められている。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和8年度 問20/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。