労働生理59血液

衛生管理者 労働生理 問59:血液

ABO血液型および輸血に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • ABO血液型は赤血球表面の抗原(A抗原・B抗原)と血清中の抗体(抗A抗体・抗B抗体)によって決まる。A型の人はA抗原を持ち抗B抗体を持つ。B型はB抗原と抗A抗体を持つ。AB型は両抗原を持ち抗体は持たない。O型は抗原がなく抗A・抗B両方の抗体を持つ。正答
  • Rh血液型はABO血液型と同様に、日本人においてもRh陰性が約50%を占めるため、輸血時には必ずRh血液型の確認が必要である。
  • 交差適合試験(クロスマッチテスト)とは、輸血した後に患者の血液から抗体を検出する検査であり、輸血後72時間以内に行うことが義務付けられている。
  • ABO不適合輸血(例: A型の患者にB型の血液を輸血する)は、受血者の抗体が輸血された赤血球の抗原と反応して重篤な溶血反応・DIC・急性腎不全を起こし、死亡することがある。
  • 自己血輸血(手術前に自分の血液を採取・貯蔵して手術時に使用する)は、アレルギー反応が起きやすいため現在では推奨されておらず、同種輸血(他者の血液)のみが安全であるとされている。
正答:ABO血液型は赤血球表面の抗原(A抗原・B抗原)と血清中の抗体(抗A抗体・抗B抗体)によって決まる。A型の人はA抗原を持ち抗B抗体を持つ。B型はB抗原と抗A抗体を持つ。AB型は両抗原を持ち抗体は持たない。O型は抗原がなく抗A・抗B両方の抗体を持つ。

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正しいのはアです。ABO血液型の抗原・抗体の組み合わせ: A型(A抗原・抗B抗体)・B型(B抗原・抗A抗体)・AB型(A・B両抗原・抗体なし)・O型(抗原なし・抗A・抗B両抗体あり)が正確に記述されています。

各誤りの要点: イ→日本人のRh陰性は約0.5%(Rh陽性が約99.5%)。「約50%」は欧米の数値(白人の約15%・黒人の約7〜8%)と全く異なる。ウ→クロスマッチは輸血に行う適合検査であり、輸血後に行うものではない。エは正しい記述(ABO不適合輸血の重篤性)。オ→自己血輸血はアレルギー反応・感染が起きにくい安全な輸血法として推奨される。

標準試験対策の基準レベル

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): ABO式血液型の抗原・抗体の完全な組み合わせ:

- A型: 赤血球表面にA抗原・血清に抗B抗体(IgM型が主体の天然抗体)

- B型: B抗原・抗A抗体

- AB型: A・B両抗原・抗体なし(ユニバーサルレシピエント:ABO型では全型の血液を受けられる・ただし実際の輸血ではAB型が原則)

- O型: 抗原なし(H抗原のみ)・抗A・抗B両抗体(ユニバーサルドナー:O型赤血球は全型に輸血できるが現在は同型輸血が原則)

  • イ(誤): 日本人のRh血液型: Rh陽性(D抗原あり)約99.5%・Rh陰性(D抗原なし)約0.5%(約200人に1人)。欧米(特に白人)では約15〜17%がRh陰性。日本では稀なため、Rh陰性血液の確保は輸血医療の重要課題です。妊娠中のRh不適合(Rh陰性母・Rh陽性胎児)による母体の感作→Rh溶血性疾患(後の妊娠での胎児溶血)も重要。
  • ウ(誤): 交差適合試験(クロスマッチ)は輸血に行う事前検査です。目的: 供血者(ドナー)の赤血球と受血者(レシピエント)の血清を混合し、凝集(反応)が起きないか確認→適合性を確認→非反応であれば輸血可能。輸血後に行う検査ではありません。
  • エ(正): ABO不適合輸血(最重篤な輸血過誤)の機序: 受血者の抗体(IgM型)→輸血された不適合赤血球の抗原に結合→補体系を活性化→血管内溶血→ヘモグロビン血症・ヘモグロビン尿症→急性腎障害・DIC・ショック→死亡。輸血過誤(確認ミス・取り違え)が主な原因で、人為ミスの防止が最重要です(三重確認等)。
  • オ(誤): 自己血輸血(autologous blood transfusion)は自分の血液を使うため: ①アレルギー反応なし②感染症伝播なし③適合性問題なし という最も安全な輸血法として積極的に推奨されています。適応: 待機的手術(人工関節置換・脊椎手術・大腸がん手術等)。方法: 術前(3〜4週間前から採血・貯蔵)・術中(自己血回収:術野の血液を回収・洗浄・返血)・術後(ドレーン血の回収)。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

ABO血液型の遺伝学的基盤:

  • ABO遺伝子座は第9染色体上に存在
  • A対立遺伝子: αN-アセチルガラクトサミントランスフェラーゼを産生→H抗原にGalNAcを付加→A抗原
  • B対立遺伝子: αガラクトサミントランスフェラーゼを産生→H抗原にGalを付加→B抗原
  • O対立遺伝子: 機能的な酵素を産生しない(欠損型)→H抗原のまま→A・B抗原なし
  • 遺伝形式: I^A(A型)・I^B(B型)・i(O型)の組み合わせ

- I^A I^A または I^A i → A型

- I^B I^B または I^B i → B型

- I^A I^B → AB型

- ii → O型

なぜ「ない抗原に対する抗体」を持つのか(ランドシュタイナー則):

  • 生後6ヶ月以降、腸内細菌(腸内フローラ)の表面に存在するA・B様抗原への免疫応答として「natural antibody(天然抗体・IgM型)」が産生される
  • 自分が持つ抗原に対しては免疫寛容(自己抗体は作らない)
  • 自分が持たない抗原に対しては天然抗体を作る→ランドシュタイナー則

輸血医学の進歩と安全性向上:

1. 核酸増幅法(NAT)によるウイルス検査(HIV・HBV・HCV): ウインドウ期の短縮

2. 照射血液(GVHDの予防): 輸血後移植片対宿主病(pGVHD)の予防のためリンパ球をガンマ線照射で不活化

3. 白血球除去(leukoreduction): 発熱性非溶血性輸血反応・HLA感作の低減

4. 病原体不活化技術(S/D法等): FFP(新鮮凍結血漿)のウイルス不活化

血液型と臓器移植(HLA):

  • 臓器移植(腎臓・心臓・肝臓等)の適合性判定はABO血液型だけでなくHLA(ヒト白血球抗原)の一致度が重要
  • HLAは個人識別性が高く(膨大な多型)、完全一致は難しい→6抗原マッチが理想
  • 骨髄移植でのHLA適合性は最重要(骨髄バンクの配型)

【実務・条文構造】

輸血と職場・産業安全:

輸血医療事故と産業安全の教訓:

  • ABO不適合輸血(Type & Screen誤りなど): 年間複数件が日本でも報告される
  • 原因: 採血ラベルの取り違え・氏名確認不徹底・医療スタッフの疲労・時間的プレッシャー
  • 過重労働(特に夜勤)→集中力低下→確認ミス→輸血事故という経路が医療現場で問題

緊急輸血時のプロトコール:

  • 緊急時はO型Rh陰性血液(ユニバーサルドナー)を使用
  • 検査施設のないスポーツ・工事現場等での重傷事故では緊急搬送が最優先

大量輸血と産業救急:

  • 労働災害での重症外傷(切断・骨盤骨折・大血管損傷)では大量出血→大量輸血が必要
  • 大量輸血の合併症: 低体温(冷蔵血液)・低カルシウム血症(クエン酸が輸液中のCaをキレート)・血液希釈(凝固因子・血小板の希釈)
  • 止血のためのFFP(新鮮凍結血漿)・血小板濃縮液の同時使用が重要

【試験での位置づけ】

血液型の問題では「A型(A抗原・抗B抗体)・B型(B抗原・抗A抗体)・AB型(両抗原・抗体なし)・O型(抗原なし・両抗体あり)」「日本人のRh陰性は約0.5%(欧米の約15%とは全く異なる)」「クロスマッチは輸血前の適合検査(輸血後ではない)」「ABO不適合輸血は血管内溶血・DIC・腎不全・死亡のリスク」「自己血輸血は最も安全な輸血法として推奨される」が頻出です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: AB型が「ユニバーサルレシピエント」と呼ばれるのはABO型のみの観点からです。実際の臨床では他の血液型抗原(Rh・Kell・Kidd・Duffy等)も考慮し、原則同型輸血が推奨されます。また大量輸血の場合はO型赤血球製剤の使用が避けられない場合があります。
  • イ: Rh不適合妊娠(Rh陰性母・Rh陽性胎児)の対策: 感作防止のためRhIG(抗D免疫グロブリン)を妊娠28週と分娩後72時間以内に注射。これにより次の妊娠での溶血性疾患(HDN: hemolytic disease of the newborn)を予防します。日本人のRh陰性は0.5%と少ないですが、稀有なRh陰性血液の在庫管理は輸血部の重要業務です。
  • ウ: 輸血前の検査(ABO/Rh血液型・不規則抗体スクリーニング・クロスマッチ)は医療安全の基本です。電子的照合(バーコード・RFIDによる患者確認・血液製剤確認)が医療機関で導入され、手作業の取り違えリスクを大幅に減少させています。
  • エ: 輸血後鉄過剰症(secondary hemochromatosis): 頻回輸血(鎌状赤血球症・サラセミア・骨髄異形成症候群等)では鉄が蓄積し肝臓・心臓・内分泌腺への障害が生じます(ヒドロキシ尿素療法・鉄キレート療法で対処)。

【根拠】医学的事実(確立した血液学・輸血医学)。ABO血液型の各型の抗原・抗体の組み合わせ・日本人のRh陰性が約0.5%・クロスマッチが輸血前の検査・ABO不適合輸血の重篤性・自己血輸血の安全性は確立した知識。

【補足】A型:A抗原・抗B抗体。B型:B抗原・抗A抗体。AB型:両抗原・抗体なし。O型:抗原なし・両抗体あり。日本人のRh陰性は約0.5%(欧米の約15%ではない)。クロスマッチは輸血前の適合検査(輸血後ではない)。自己血輸血は最も安全(アレルギー・感染なし)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 医学的事実(確立した血液学・輸血医学)。ABO血液型の各型における抗原・抗体の組み合わせは確立した知識。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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