基本情報 平成25年度 春期 問61:ストラテジ系に関する問題
から問 80 までは, ストラテジ系の問題です。 問61 IT 投資評価を, 個別プロジェクトの計画, 実施, 完了に応じて, 事前評価, 中間評 価, 事後評価として実施する。事前評価について説明したものはどれか。
- a事前に設定した効果目標の達成状況を評価し, 必要に応じて目標を達成するため の改善策を検討する。
- b実施計画と実績との差異及び原因を詳細に分析し, 投資額や効果目標の変更が必 要かどうかを判断する。
- c投資効果の実現時期と評価に必要なデータ収集方法を事前に計画し, その時期に 合わせて評価を行う。
- d投資目的に基づいた効果目標を設定し, 実施可否判断に必要な情報を上位マネジ メントに提供する。正答
AI解説(初心者・標準・上級)
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答えは d です。
IT投資の評価は3つのタイミングで行います:
- 事前評価:始める前。「やる価値ある?お金かける?」を判断する → 選択肢d
- 中間評価:進めながら。「予定通り?軌道修正必要?」を確認 → 選択肢b
- 事後評価:終わった後。「効果は出た?反省点は?」を振り返る → 選択肢a/c
👉 覚え方:「事前=GOサインを出すための評価」。
まだ始まっていないので、「効果目標を立てて、やるかやらないかを上司に判断材料を提供」する d が正解です。
なぜこれが正解か
正解は d。事前評価はプロジェクト開始前に実施し、投資目的に基づいた効果目標を設定して、実施可否の判断材料を経営層(上位マネジメント)に提供する評価。Go/No-Go判断の根拠となる。
各選択肢の解説
- a 効果目標達成状況を評価し改善策検討 → 事後評価/中間評価(効果が出始めた後の評価)。
- b 実施計画と実績の差異・原因分析、投資額・目標の変更判断 → 中間評価(進行中の軌道修正)。
- c 投資効果の実現時期に合わせて評価実施 → 事後評価(中長期に効果が現れる場合の事後フォロー)。
- d 投資目的に基づく効果目標設定、実施可否判断のための情報提供 → 事前評価(正解)。
覚え方・ひっかけ注意
「事前=Go判断のための材料、中間=軌道修正、事後=効果検証」と3段階で整理。事前評価では ROI(投資収益率)、NPV(正味現在価値)、IRR(内部収益率)、回収期間 などの財務指標が用いられる。経済産業省「IT投資価値評価ガイドライン」が指針。
理論的背景
IT投資評価は経済産業省「IT投資価値評価ガイドライン」(2007)、「DX 推進指標」(2019)等で体系化。投資ライフサイクルに沿って 事前評価 → 中間評価 → 事後評価 の3段階で実施するのが標準。
- 事前評価:投資意思決定の根拠。効果目標設定、ROI/NPV/IRR/回収期間算出、リスク評価、戦略整合性確認
- 中間評価:プロジェクト進捗監視。EVM(PV・EV・AC、CPI・SPI)、進捗報告、軌道修正判断、必要に応じて投資額や目標の変更
- 事後評価:効果検証と次回投資への学習。BIA(Business Impact Analysis)、KPI達成度、ROI実績比較、ノウハウ蓄積
各段階で評価視点は異なる(戦略適合性/財務効果/リスク/業務改善/IT基盤等の多面評価)。
実務での使われ方
IT投資評価の代表手法:
- DCF法(Discounted Cash Flow):将来キャッシュフローの現在価値(NPV)、割引率(WACC)
- ROI(Return on Investment):投資対効果 = (効果 − 投資) / 投資
- 回収期間法(Payback Period):投資回収までの年数
- IRR(Internal Rate of Return):NPV=0となる割引率
- BSC(Balanced Scorecard):財務・顧客・業務プロセス・学習成長の4視点で多面評価
- IT-BSC:IT特化版BSC(企業貢献・利用者・業務上の優位性・将来志向)
DX投資では従来ROIに加え、戦略オプション価値(リアルオプション理論)、プラットフォーム効果、ネットワーク効果を考慮した動的評価が必要。
試験での位置づけ
FE・APストラテジ系で頻出。共通フレームの企画プロセス、システム化構想・計画、IT投資マネジメント、財務指標、BSC、SoR/SoEと関連付けて出題。応用情報・ITストラテジストではポートフォリオマネジメント、リアルオプション、複数案比較(マッキンゼー型評価マトリクス)まで踏み込む。
関連事項・発展補足
本問の選択肢設計は3段階評価の時系列順序を直接問う構造:a/cは事後、bは中間、dは事前という識別。経営層のGo/No-Go判断には、WACC(加重平均資本コスト)を用いた厳格な財務評価が必要で、ハードルレート(最低投資収益率)を上回るプロジェクトのみ承認される。ステージゲート法(Phase-Gate)では各フェーズ間にゲート審査を設け、継続/中止/方向転換を判断する。サンクコスト効果(既投資額への執着)が中間評価での冷静な判断を阻害する典型バイアスで、心理的バイアスを排除するガバナンス設計が重要。DX時代は迅速な仮説検証(リーンスタートアップ)と組み合わせ、ピボット可能な投資設計が新潮流。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成25年度 春期 問61/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。