基本情報 平成26年度 春期 問78:ストラテジ系に関する問題
部品の受払記録が表のように示される場合 先入先出法を採用したときの4 月 10 日 の払出単価は何円か。
- a100 取引日 取引内容 | 数量 (個) | 単価 (円) | 金額 (円) 4月 1日 前月繰越 2,000 100 200,000 4月 5日| 購入 3.000 130 390,000 4月10日 | 払出 3.000
- b110正答
- c115
- d118
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答えは b「110円」 です。
「先入先出法(FIFO)」は古い在庫から順に出していく計算方法(前問c3ef2ac9と同じ考え方)。
本問:
- 4/1 前月繰越 2,000個@100円(金額 200,000)
- 4/5 購入 3,000個@130円(金額 390,000)
- 4/10 払出 3,000個
古い順で消費: 前月繰越 2,000個@100円 + 4/5 仕入 1,000個@130円 = 200,000 + 130,000 = 330,000円
払出単価 = 330,000 ÷ 3,000個 = 110円/個
👉 覚え方:「古い順に消費した合計金額 ÷ 個数 = 平均払出単価」。
なぜこれが正解か
正解は b(110円)。先入先出法(FIFO)で4/10の払出3,000個を計算:
- 古い在庫から消費: 前月繰越 2,000個 @100円 = 200,000円
- 次に新しい在庫から: 4/5仕入のうち 1,000個 @130円 = 130,000円
- 払出合計金額: 200,000 + 130,000 = 330,000円
- 払出単価: 330,000 ÷ 3,000個 = 110円/個
各選択肢の解説
- a 100円:前月繰越単価のみで計算(不完全)。
- b 110円:FIFOの正答。
- c 115円:単純平均 (100+130)÷2の誤算。
- d 118円:移動平均法の結果に近い誤算。
覚え方・ひっかけ注意
「FIFO=古い在庫から順に消費/払出単価=消費金額合計÷払出個数」。本問は払出単価を聞かれているので、消費金額の合計を払出個数で割る最後の一手を忘れない。期末在庫(4/5仕入の残り2,000個@130円=260,000円)も計算可能。FIFOは期末在庫が新しい単価で評価される特徴があり、インフレ時に売上原価が小さく利益が大きく出る。
他の評価方法での結果比較:
- 移動平均: (200,000+390,000)÷(2,000+3,000)=118円
- 総平均(仮): 同様に118円
FIFOは110円で最も安価な払出単価となる(古い安い在庫を優先消費するため)。
理論的背景
棚卸資産評価方法は企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」で規定。代表的方法:
- 個別法: 個別商品ごとの実際原価。高額商品・特殊品向き
- 先入先出法(FIFO): 古い在庫から払出と仮定
- 後入先出法(LIFO): 新しい在庫から払出と仮定(現行基準では原則禁止)
- 平均原価法:
- 移動平均法: 仕入のたびに加重平均単価を再計算
- 総平均法: 期末に全期間の加重平均で計算
- 売価還元法: 売価ベースで原価を還元(小売業向き)
- 最終仕入原価法: 最後の仕入単価で全在庫を評価(簡便法)
各方法は経済的実態との一致度と計算簡便性のトレードオフ。継続性の原則により、いったん採用した方法は正当な理由なく変更不可。
実務での使われ方
インフレ局面でのFIFO vs LIFO:
- FIFO: 古い安い在庫を売上原価に算入→売上原価小、利益大、法人税大、期末棚卸高大
- LIFO(参考): 新しい高い在庫を売上原価に算入→売上原価大、利益小、法人税小、期末棚卸高小
LIFOは法人税節約効果があり米国では認められるが、日本・IFRSでは禁止(経済実態と乖離するため)。
会計と税務の関係: 法人税法では先入先出法・総平均法・移動平均法・最終仕入原価法等が認められ、届出書(棚卸資産の評価方法の届出書)で税務署に通知。届出なしの場合は最終仕入原価法が法定評価方法。
IFRS / US GAAPでも基本的にFIFO・移動平均が主流。米国はLIFOを認める唯一の主要国だが廃止議論が継続。
ERPシステム(SAP、Oracle、Microsoft Dynamics、Netsuite)では棚卸評価ロジックを標準実装。原材料・仕掛品・製品の3階層で別評価方法を採用するケースもある。
試験での位置づけ
FE/APのストラテジ系(会計・財務)で頻出。①FIFO/移動平均/総平均の計算、②インフレ/デフレ時の影響、③売上原価・期末棚卸高・売上総利益の計算、④継続性の原則、⑤会計基準と税務基準の差異、が主要論点。中小企業診断士・簿記・会計士試験でも頻出範囲。
選択肢の発展補足
低価法(lower of cost or market)はFIFO・平均法と組合せて、期末に時価が原価より下落していたら時価で評価する手法。日本基準では棚卸資産の正味売却価額が原価より下落した場合は強制的に切下げ(評価損計上)。米国基準も同様。
標準原価計算は予算管理・原価管理で使われる別概念で、実際原価との差異分析(材料費差異・労務費差異・製造間接費差異)で経営改善する。標準原価計算は管理会計領域、本問のような評価方法は財務会計領域。両者は連動するが用途が異なる。
IT業界の特殊性: ソフトウェア在庫はライセンス・SaaSサブスクリプションが主流で物理在庫概念が薄い。クラウドコンピューティングではCAPEX→OPEX転換が進行し、棚卸資産自体の重要性が低下中。ハードウェア在庫(半導体、サーバ機器)では従来のFIFO/平均法が引き続き運用される。本問のような古典計算は経営層・PM・PdMの基礎財務リテラシーとして今も必須。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成26年度 春期 問78/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。