基本情報 平成27年度 秋期 問65:ストラテジ系に関する問題
IT ベンダにおけるソリューションビジネスの推進で用いるバランススコアカードの, 学習と成長の KPI の目標例はどれか。ここで, ソリューションとは "顧客の経営課題 の達成に向けて, 情報技術と専門家によるプロフェッショナルサービスを通して支援 すること" とする。
- aサービスを提供した顧客に対して満足度調査を行い, 満足度を 5 段階評価で平均 3.5 以上とする。
- b再利用環境の整備によってソリューション事例の登録などを増やし, 顧客提案数 を前年度の 1.5 倍とする。
- c情報戦略のコンサルティングサービスに重点を置くために, 社内要員 30 名を IT のプロフェッショナルとして育成する。正答
- d情報戦略立案やシステム企画立案に対するコンサルティングの受注金額を, 全体 の 15%以上とする。
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答えは c「社内要員30名をITプロフェッショナルとして育成する」 です。
バランススコアカード(BSC)には4つの視点があり、「学習と成長」は人と組織の能力アップを測る視点。要は「社員のスキル・育成」の話。
30名を育成する=人材育成=学習と成長そのもの、と覚えればOK。
👉 覚え方:「学習と成長=人を育てる」。
ほかの選択肢:a 満足度調査=「顧客」視点/b 提案数1.5倍=「業務プロセス」視点/d 受注金額=「財務」視点。
なぜこれが正解か
正解は c。バランススコアカード(BSC)は財務/顧客/業務プロセス/学習と成長の4視点で経営を評価する。学習と成長の視点は組織能力・人材スキル・情報資本・組織風土に関する目標を扱う領域で、「社内要員30名をITプロフェッショナルとして育成」は典型的な人材育成KPIに該当する。
各選択肢の解説
- a 顧客満足度3.5以上:顧客の視点のKPI。
- b 提案数を1.5倍:業務プロセスの視点(再利用環境整備=プロセス改善)のKPI。
- c 30名を育成:正解。学習と成長の視点。
- d コンサル受注金額15%以上:財務の視点のKPI(売上構成比)。
覚え方・ひっかけ注意
「財務=お金/顧客=CS/プロセス=業務改善/学習成長=人材」で4視点を識別。BSCは4視点間が因果連鎖(戦略マップ:学習成長→プロセス改善→顧客満足→財務成果)でつながる設計思想。「育成」「研修」「スキル」「組織能力」のキーワードは学習と成長の合図。
理論的背景
バランススコアカード(BSC)は1992年にKaplan & Nortonがハーバード・ビジネス・レビューで発表した戦略経営フレームワーク。財務指標のみの近視眼経営を脱し、先行指標(leading indicator)である非財務指標を組み合わせて将来の財務成果を予測・管理する点が革新的だった。戦略マップ(Strategy Map)で4視点間の因果関係を可視化し、KPI(Key Performance Indicator)で定量管理する。
実務での使われ方
4視点の典型KPI:
- 財務:ROE・ROA・売上成長率・営業利益率
- 顧客:NPS・CS・顧客生涯価値(LTV)・解約率
- 業務プロセス:リードタイム・歩留り・サイクルタイム・新製品比率
- 学習と成長:従業員満足度・スキル習得率・離職率・研修時間
IT部門のBSCでは「学習と成長=認定資格保有者数・OSS貢献度・社内勉強会参加率」など独自KPIを設計することが多い。
試験での位置づけ
ストラテジ系経営戦略の頻出テーマ。基本情報では「KPIをどの視点に分類するか」、応用情報・ITストラテジストでは「戦略マップの因果関係妥当性」「KPI設計の妥当性」まで踏み込む。MBO(目標管理)・OKRとの対比、KGI(Key Goal Indicator)との階層関係も近年論点。
選択肢の発展補足
BSCの実装課題は「KPI過多」(全社で50個超えると形骸化)と「先行/遅行指標の混同」。財務は遅行指標、学習と成長は先行指標と理解し、KPIツリーで上位KGIから論理分解する設計が望ましい。近年はESG経営との統合でサステナビリティBSCも提唱され、社会・環境視点を追加する5〜6視点モデルが大企業で採用されつつある。IT戦略ではDX KPI(デジタル化率・データ活用率)が学習と成長視点に組み込まれるのが2020年代以降の潮流。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成27年度 秋期 問65/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。