商法・会社法35指名委員会等設置会社の機関構造

行政書士 商法・会社法 問35:指名委員会等設置会社の機関構造

指名委員会等設置会社に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 指名委員会等設置会社には、指名委員会・報酬委員会・監査委員会の3つの委員会を置かなければならず、各委員会はそれぞれ取締役3人以上で組織され、委員の過半数は社外取締役でなければならない。正答
  • 指名委員会等設置会社においては、執行役が業務執行を担当するため、取締役(委員会の委員を除く)は業務執行に関与することができない。
  • 指名委員会等設置会社においては、監査役を置くことが義務付けられているが、監査役の代わりに監査委員会が設けられるため、監査役は実質的に権限を失う。
  • 指名委員会等設置会社の取締役の任期は、定款または株主総会決議によって2年を限度に延長することが認められている。
  • 指名委員会等設置会社において、代表執行役は、取締役の中から株主総会の決議によって選定される。
正答:指名委員会等設置会社には、指名委員会・報酬委員会・監査委員会の3つの委員会を置かなければならず、各委員会はそれぞれ取締役3人以上で組織され、委員の過半数は社外取締役でなければならない。

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指名委員会等設置会社の機関構造に関する問題です。アが正しい。指名委員会等設置会社は3つの委員会(指名・報酬・監査)を必ず設置しなければならず(400条1項・2条12号)、各委員会は取締役3人以上で組織し、委員の過半数は社外取締役でなければなりません(400条1項・3項)。これはアの記述と一致します。ウは根本的に誤り:指名委員会等設置会社では監査役を置くことができません(327条4項)。監査委員会がその機能を代替します。エは誤り:指名委員会等設置会社の取締役の任期は1年以内(332条6項)。オは誤り:代表執行役は「執行役の中から」「取締役会の決議によって」選定されます(420条1項)。オは「取締役の中から株主総会の決議で」としており、選定母体(執行役ではなく取締役)も選定機関(取締役会ではなく株主総会)も誤りです。

標準試験対策の基準レベル

アが正答の根拠(400条の三委員会の構成要件)

400条の要件の確認:①指名委員会・報酬委員会・監査委員会の三委員会の必置(400条1項・2条12号で定義)。②各委員会は「取締役3人以上」で組織(400条1項)。③委員の「過半数は社外取締役」(400条3項)。アはこれらをすべて正確に述べています。

各選択肢の誤りの核心

  • イ: 指名委員会等設置会社の取締役も取締役会の構成員として業務執行の「基本方針の決定」や監督には関与します。「業務執行に一切関与できない」は誤りで、日常業務の執行(執行役への委任)という意味での業務執行から取締役が離れるという構造です。代表執行役・執行役が業務執行を担当します(402条・418条)。
  • ウ: 指名委員会等設置会社には監査役を「置くことができない」(327条4項)。監査委員会が監査役の機能を代替する仕組みです。「監査役を置くことが義務付けられている」は誤り。
  • エ: 指名委員会等設置会社の取締役の任期は「1年以内」(332条6項)。2年への延長は認められていません(取締役が1年という短期任期なのは、委員会による委員の入替えを容易にするため)。
  • オ: 誤り。代表執行役は「執行役の中から」「取締役会の決議によって」選定します(420条1項)。オは選定母体を「取締役」、選定機関を「株主総会」としており二重に誤りです。代表取締役(取締役の中から取締役会が選定・362条3項)との混同を誘う引っかけです。
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【理論的背景:指名委員会等設置会社のコーポレートガバナンス上の位置づけ】

指名委員会等設置会社(旧称:委員会設置会社・委員会等設置会社)は、2002年の商法特例法改正(現会社法でも引き継ぎ)で導入されたアメリカ型の機関設計です。従来の「取締役会+監査役」型(監査役型)と異なり、独立社外取締役が主体となる三委員会(指名・報酬・監査)が経営監督機能を担い、業務執行は執行役が担当するという「監督と執行の分離」を徹底した仕組みです。指名委員会は取締役候補の選定(404条1項)、報酬委員会は役員報酬の決定(404条3項)、監査委員会は内部監査・会計監査人との連携(404条2項)をそれぞれ担当します。社外取締役が過半数を占める委員会が経営陣の指名・報酬・監査を掌握することで、経営の透明性と株主への説明責任を高めることが制度目的です。

【実務・条文構造:指名委員会等設置会社と監査等委員会設置会社の比較】

| 項目 | 指名委員会等設置会社 | 監査等委員会設置会社(参考) |

|---|---|---|

| 委員会の数 | 三委員会(指名・報酬・監査) | 監査等委員会のみ |

| 業務執行 | 執行役(402条) | 取締役(従来型に近い) |

| 監査役 | 設置不可(327条4項) | 設置不可(327条4項) |

| 取締役任期 | 1年以内(332条6項) | 監査等委員は2年(332条4項)、その他は1年(332条3項) |

| 委員の社外取締役比率 | 各委員会の過半数(400条3項) | 監査等委員会の過半数(331条6項) |

| 代表者 | 代表執行役(420条) | 代表取締役(349条) |

【試験での位置づけ:三タイプの機関設計の頻出比較】

行政書士試験では「監査役型(取締役会+監査役)」「監査等委員会設置会社型」「指名委員会等設置会社型」の三類型の違いが問われます。最重要の比較ポイント:①監査役の有無(指名委員会等・監査等委員会設置会社では監査役なし)、②業務執行機関(指名委員会等では執行役・他は代表取締役)、③取締役任期(指名委員会等は1年・通常は2年)、④社外取締役の強制(指名委員会等は三委員会各々で過半数・監査等委員会設置会社では監査等委員の過半数)。令和元年改正で上場会社には社外取締役の設置が義務化(327条の2)されたことも押さえておく必要があります。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 400条3項の「過半数は社外取締役」という要件は、各委員会が取締役会から独立して機能することを担保するための要件。取締役会が委員の過半数を内部者で固めることを禁止しています。なお「3人以上」という下限は400条1項に規定があります。
  • ウ: 「指名委員会等設置会社には監査役を置くことができない」(327条4項)という禁止規定は重要。これは監査委員会と監査役の機能が重複するため。監査委員会(404条2項各号)は監査役の職務(387条等)をほぼ代替します。
  • エ: 1年という短期任期(332条6項)は「委員会が自由に取締役を入れ替えられる」ための制度設計。日本の上場企業で指名委員会等設置会社を採用する会社数が少ない理由の一つが、この短期任期による経営の不安定化への懸念です。
  • オ: 代表執行役は420条1項により「取締役会の決議で執行役の中から選定する」。代表取締役と異なり、代表執行役は「取締役」ではなく「執行役」の中から選定される点が重要です(取締役が代表執行役を兼任する場合は取締役でもあるが)。

【根拠条文】

会社法 第327条第4項(指名委員会等設置会社における監査役の設置禁止)

会社法 第332条第6項(指名委員会等設置会社における取締役の任期)

会社法 第400条第1項・第3項(委員会の組織・社外取締役要件)

会社法 第402条第1項(執行役の設置)

会社法 第420条第1項(代表執行役の選定)

【補足】

三委員会の「各3人以上・過半数社外取締役」の要件(400条1項・3項)と、監査役置けない(327条4項)・取締役任期1年(332条6項)のセットで覚える。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第400条(委員会の組織)・第402条(執行役)・第420条(代表執行役) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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