民法63養子縁組・普通養子

行政書士 民法 問63:養子縁組・普通養子

普通養子縁組に関する次のア〜オの記述のうち、現行民法の規定に照らして**誤っているもの**はどれか。

  • 養子縁組は届出によって効力を生じ、当事者間に合意があっても届出がなければ縁組は成立しない。
  • 養親となる者が未成年である場合、後見人がその被後見人を養子にする場合を除き、家庭裁判所の許可を要する。正答
  • 自己より年長の者を養子とすることはできないが、自己と同年齢の者を養子とすることはできる。
  • 養子は、縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得する。
  • 養子縁組は、詐欺又は強迫によって締結された場合、当事者はその取消しを裁判所に請求することができる。
正答:養親となる者が未成年である場合、後見人がその被後見人を養子にする場合を除き、家庭裁判所の許可を要する。

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本問は「誤っているもの」を選ぶ問題で、正答はイです。民法792条は「成年に達した者は、養子をすることができる」と規定し、未成年者は養親になれません。選択肢イは「養親となる者が未成年である場合、後見人の場合を除いて家庭裁判所の許可を要する」としますが、そもそも未成年者は養親になれないため、この前提自体が誤りです(許可で未成年者が養親になれるわけではありません)。なおウは正しい記述です。民法793条は「尊属又は年長者」を養子とすることを禁じますが、自己と同年齢の者は「年長者」にあたらないため養子にすることができます。

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本問の正答はイです。民法792条は「成年に達した者は、養子をすることができる」と規定しており、未成年者は原則として養親になることができません。したがって、「養親となる者が未成年である場合に家庭裁判所の許可を要する」というイの記述は前提が誤りです。未成年者はそもそも養親になれないため、許可の問題以前に縁組は不可能です。

各選択肢の正誤を確認します。ア(正しい):養子縁組は届出によって効力を生じる要式行為です(民法799条・739条準用)。ウ(正しい):民法793条は「尊属又は年長者は、これを養子とすることができない」と規定しており、「年長者」を養子とすることはできません。同年齢の者は「年長者」にあたらないため養子にできます。エ(正しい):民法809条は「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する」と規定します。オ(正しい):民法812条は養子縁組の取消事由として詐欺・強迫を規定しています。

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【理論的背景】

普通養子縁組は当事者の合意(縁組意思)と届出によって成立します。婚姻と並ぶ身分行為であり、届出は成立要件(創設的届出)です。養子縁組制度の趣旨は、血縁関係のない者の間に親子関係を法的に創設し、子の養育と親の扶養を図ることにあります。普通養子は実親との親子関係が継続する点で、特別養子(民法817条の2以下)と異なります。養親の資格要件として「成年」が要求されるのは、子を養育できる成熟した判断能力と経済力を担保するためです。

【実務・条文構造】

民法792条から796条の構造を整理します。民法792条:養親は成年者であることが要件。民法793条:尊属・年長者を養子にすることはできない(卑属かつ年少者または同年齢者に限る)。民法794条:後見人がその被後見人を養子にする場合は家庭裁判所の許可が必要(後見人が被後見人の財産を不当に処分するリスクへの対応)。民法795条:配偶者のある者が養子縁組をするには原則として配偶者と共にすることが必要(配偶者との共同縁組原則)。民法796条:配偶者のある者が養子縁組をするには配偶者の同意が必要。民法809条:縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得(実親との親子関係は継続)。民法812条:詐欺・強迫による縁組の取消しは裁判所への請求による(縁組の合意がない場合は無効)。

【試験での位置づけ】

行政書士試験では、養子縁組について「許可が必要な場合・不要な場合」を問う出題が頻出です。許可が必要なのは、後見人が被後見人を養子にするとき(民法794条)と、未成年者を養子にするとき(民法798条・配偶者の実子の場合は除く)です。ウの「年長者は養子にできない」は正しく、「同年齢は可能」という細かい点も問われます(「年長者」に同年齢は含まれない)。なお成年年齢が18歳に引き下げられたことにより、18歳・19歳の者が養子になれる場合の整理にも注意が必要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。縁組意思の合致があっても届出なしでは縁組不成立。届出受理時に効力発生(民法799条・739条準用)。
  • イ: 誤り(正答)。民法792条が「成年者」を養親の要件とするため、未成年者は養親になれない。「家庭裁判所の許可で可能になる」という構成は存在しない。許可が必要な場面は後見人による被後見人の養子縁組(民法794条)や未成年者を養子にする場合(民法798条)であり、本肢は要件の前提を誤っている。
  • ウ: 正しい。「年長者」を養子にすることは民法793条で禁止されているが、「同年齢」は年長者に含まれないため養子にできる。なお「尊属」(祖父母・父母等)も養子にできない。
  • エ: 正しい。民法809条の文言通り。実親との法律関係も継続する(普通養子の特徴)。
  • オ: 正しい。民法812条は「詐欺又は強迫によって縁組をした者は、その縁組の取消しを家庭裁判所に請求することができる」と規定する。縁組意思を欠く場合は無効となる(別論点)。

【根拠条文】

民法 第792条(養親の年齢)、第793条(尊属又は年長者を養子とすることの禁止)、第794条(後見人が被後見人を養子にする場合)、第809条(養子の身分の取得)、第812条(詐欺又は強迫による縁組の取消し)

【補足】

「未成年者は養親になれない」が大原則。許可が必要な場面(後見人→被後見人・未成年者を養子にする)と混同しないこと。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第792条・第793条・第794条・第795条・第796条・第809条・第812条 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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