行政書士 民法 問64:特別養子縁組
特別養子縁組に関する次のア〜オの記述のうち、現行民法の規定に照らして**正しいもの**はどれか。
- ア特別養子縁組は、養親となる者の請求により、家庭裁判所の審判によって成立する。正答
- イ特別養子縁組が成立しても、養子と実親との間の親族関係は継続する。
- ウ特別養子となることができる者は、原則として縁組の審判確定時に6歳未満でなければならない。
- エ特別養子縁組が成立した後は、いかなる理由があっても離縁することができない。
- オ特別養子縁組においては、養親の一方が単独で養親となることができる。
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特別養子縁組は、子の利益のため特に必要があると認めるときに、家庭裁判所の審判によって成立します(民法817条の2)。届出ではなく審判で成立する点が普通養子縁組と大きく異なります。アが正答です。イは誤りで、特別養子縁組が成立すると養子と実親との親族関係は終了します(民法817条の9)。ウは誤りで、2019年改正により原則として養子となる者は審判申立て時に15歳未満であることが要件となりました(15歳以上でも例外的に可能)。エは誤りで、養子の利益のため特に必要がある場合には離縁が認められます(民法817条の10)。
特別養子縁組の特徴を整理します。正答はアです。民法817条の2第1項は「特別養子縁組は、次条から第817条の7までに定める要件を備える場合において、養子となる者の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする」と規定し、家庭裁判所の審判によって成立します(届出不要)。
イは誤りです。民法817条の9は「養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する」と規定します。これが普通養子縁組との最大の違いであり、特別養子縁組によって養子は養親の嫡出子としての地位を得るとともに、実親との法律関係が断絶します。ウは誤りです。2019年の民法改正(令和元年)により、養子となれる者の年齢要件は原則として申立て時15歳未満に引き上げられました(従来は原則6歳未満でした)。エは誤りです。民法817条の10は、一定の要件(養父母による虐待等・養子の利益のため特に必要があるとき)のもとで家庭裁判所の審判による離縁を認めています。オは誤りで、特別養子縁組では夫婦が共同して養親となる必要があります(民法817条の3)。
【理論的背景】
特別養子縁組は、1988年(昭和63年)に創設された制度です。虐待・育児放棄・貧困等の問題がある家庭から子を引き離し、新たな家庭に完全に組み込むことで子の健全な育成を図ることを目的としています。実親との法律関係を完全に断絶させる点で、実親との関係を維持する普通養子縁組と根本的に異なります。近年、子どもの権利条約の精神を反映した「子の利益最優先」という観点から制度改革が続けられており、2019年(令和元年)改正で年齢要件が緩和されました。
【実務・条文構造】
民法817条の2から817条の11の構造を整理します。817条の2:家庭裁判所の審判によって成立(届出不要)。817条の3:養親は配偶者のある者に限り、夫婦の共同縁組が原則(例外:一方が他の一方の嫡出子の場合)。817条の4:養親は25歳以上でなければならない(夫婦の一方が25歳以上なら他方は20歳以上で足りる)。817条の5:養子となる者は原則として申立て時15歳未満(2019年改正・旧法は6歳未満)。15歳以降でも、15歳未満から審判申立てが継続していた場合などに例外的に認められる。817条の7:6か月以上の試験養育期間が必要。817条の9:実親との親族関係の終了(完全養子縁組の核心)。817条の10:一定の要件での離縁を認める(実親による申立ても一定の場合に可)。817条の11:特別養子の離縁後の法律関係。
【試験での位置づけ】
行政書士試験では、特別養子縁組の問題は「普通養子縁組との比較」という形式で問われることが多いです。比較すべきポイントは、(1)成立方法(審判 vs 届出)、(2)実親との関係(断絶 vs 継続)、(3)養親の要件(夫婦共同・25歳以上 vs 成年者)、(4)年齢要件(申立時15歳未満 vs 制限なし)、(5)離縁(例外的に可 vs 原則自由)です。2019年改正で「6歳未満」が「15歳未満」に変わった点は、旧法の数字を正答にする引っかけとして出題されうるため、注意が必要です。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 正答。民法817条の2第1項が根拠。「請求により審判で成立」という点は普通養子縁組(届出)との最大の相違点。なお、養子となる者が15歳以上の場合は本人の同意も必要。
- イ: 誤り。民法817条の9の規定により実親との親族関係は完全に終了する。相続権・扶養義務のいずれも断絶する。これが特別養子縁組の最大の特徴であり、「完全養子縁組」とも呼ばれる所以。
- ウ: 誤り。2019年改正前は原則6歳未満(例外8歳未満)だったが、改正後は原則として申立時15歳未満に引き上げられた。「6歳未満」は旧法の数字。
- エ: 誤り。民法817条の10は、養子の利益のため特に必要がある場合(養父母による虐待等)に、実父母または検察官の請求により家庭裁判所の審判で離縁できると規定する。「いかなる理由があっても離縁不可」は誤り。
- オ: 誤り。民法817条の3第1項は養親となる者が配偶者のある者に限るとし、原則として夫婦共同縁組が必要。例外は夫婦の一方が他の一方の嫡出子を特別養子とする場合のみ。
【根拠条文】
民法 第817条の2(特別養子縁組の成立)、第817条の3(養親の要件)、第817条の5(養子の年齢)、第817条の9(実父母の親族との関係の終了)、第817条の10(特別養子縁組の離縁)
【補足】
2019年改正による年齢要件の変更(6歳未満→申立時15歳未満)は頻出の引っかけ論点。「実親との関係断絶」という特別養子縁組の本質は必ず押さえること。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第817条の2・第817条の3・第817条の5・第817条の7・第817条の9・第817条の10 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。