民法70自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言

行政書士 民法 問70:自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言

遺言の方式に関する次のア〜オの記述のうち、現行民法の規定に照らして**誤っているもの**はどれか。

  • 自筆証書遺言を作成するには、遺言者がその全文・日付・氏名を自書し、これに印を押さなければならないが、財産目録については、自書によらない書面(パソコンで作成したもの等)を添付することができる。
  • 公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して読み聞かせ、遺言者及び証人が確認して各自署名押印するものである。
  • 遺言の内容を秘密にしたまま確実に遺言書の存在を証明したい場合は、秘密証書遺言を利用することができるが、この方式では自筆でない遺言書(パソコン入力)も利用可能である。
  • 自筆証書遺言保管制度を利用した場合、家庭裁判所による検認の手続きは不要となる。
  • 証人となることができない者として、未成年者・推定相続人・受遺者・これらの配偶者及び直系血族が規定されており、公証人の配偶者はこの規定に含まれない。正答
正答:証人となることができない者として、未成年者・推定相続人・受遺者・これらの配偶者及び直系血族が規定されており、公証人の配偶者はこの規定に含まれない。

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遺言の証人として立ち会うことができない者(欠格者)は民法974条に列挙されています。未成年者・推定相続人・受遺者・これらの配偶者・直系血族のほか、「公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人」も欠格者とされています(民法974条4号・5号)。よってオの「公証人の配偶者はこの規定に含まれない」は誤りです。アは正しく(民法968条2項・財産目録の添付可)、イは正しく(民法969条)、ウは正しく(秘密証書遺言は自書不要・民法970条)、エは正しく(遺言書保管法11条・検認不要)です。

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正答はオです。民法974条は遺言の証人・立会人となれない者として、1号:未成年者、2号:推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族、3号:公証人の配偶者・四親等内の親族・書記及び使用人を規定しています。したがって公証人の配偶者は証人となれず、「含まれない」とするオは誤りです。

各選択肢を確認します。ア(正):2018年(平成30年)の民法改正により、自筆証書遺言の財産目録については自書によらない書面(パソコン入力や通帳コピー等)を添付することが認められました(民法968条2項)。ただし、財産目録の各ページに署名押印が必要です。イ(正):民法969条の公正証書遺言の要件通りです。ウ(正):秘密証書遺言(民法970条)は、遺言書の内容を秘密にしつつ存在を確認する方式であり、遺言書自体はパソコン入力でも可能です(自書は不要。ただし署名は必要)。エ(正):遺言書保管法11条は、法務局に保管された自筆証書遺言について家庭裁判所の検認は不要と定めています。法務局を利用しない場合は検認が必要です(民法1004条)。

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【理論的背景】

遺言の方式は、遺言者の真意を確保し、死後の法律関係を明確にするために厳格な要式が定められています(要式行為)。方式を欠く遺言は無効です(民法960条)。普通方式として自筆証書・公正証書・秘密証書の3種があります。2018年の自筆証書遺言の方式緩和(財産目録のパソコン作成可)と2020年の自筆証書遺言書保管制度(法務局保管・検認不要)の創設は、高齢化社会における遺言利用促進策として重要な改正です。遺言書保管制度は「遺言書保管法(法務局における遺言書の保管等に関する法律)」として独立した法律に規定され、2020年7月10日から施行されています。

【実務・条文構造】

各方式の要件と特徴を整理します。民法968条(自筆証書遺言):全文・日付・氏名の自書+押印が必要。財産目録は自書不要だが各ページへの署名押印が必要(2018年改正)。法務局保管を利用すれば検認不要。民法969条(公正証書遺言):証人2人以上の立会い・口授・公証人による筆記・読み聞かせ・遺言者・証人の署名押印・公証人の署名押印。最も証拠力が高く、紛失・偽造のリスクが低い。家庭裁判所の検認不要(民法1004条2項)。民法970条(秘密証書遺言):遺言書に署名押印し封印→公証人+証人2人の前に提出→日付・申述の記載・署名押印。自書不要。しかし要件を欠くと無効になりやすく、実務ではほとんど利用されない。民法974条(証人欠格事由):未成年者(1号)、推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族(2号)、公証人の配偶者・四親等内の親族・書記・使用人(3号)。

【試験での位置づけ】

行政書士試験では遺言方式の問題は各方式の要件・違いを正確に問うものが中心です。頻出の引っかけは、(1)「自筆証書遺言は全文自書必須」→財産目録は自書不要(2018年改正)に対応できているか、(2)「遺言書保管制度を利用すれば検認不要」→保管していない場合は検認必要、(3)「公証人の配偶者は証人になれる」→なれない(民法974条3号)です。秘密証書遺言は実務でほとんど使われない一方、試験では「自書不要で誰でも代筆・タイプ可能」という特徴を確認する問題が出ます。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。2018年改正(民法968条2項)の核心。財産目録を自書からパソコン・通帳コピーにできる点は改正前との明確な違い。ただし「目録の各ページに署名押印」という要件を落とさないこと。
  • イ: 正しい。民法969条各号の要件。公正証書遺言は公証役場で作成され、原本は公証役場に保管されるため、紛失・偽造のリスクが最も低い。検認も不要。
  • ウ: 正しい。秘密証書遺言は遺言書の存在の証明が目的であり、内容の証明ではない。遺言書の作成方法(パソコン・代筆等)を問わない。ただし署名は遺言者自身が行う必要がある(押印も必要)。
  • エ: 正しい。遺言書保管法11条が根拠。法務局に保管されていない自筆証書遺言は遺言者死亡後に家庭裁判所での検認(民法1004条)が必要となる。
  • オ: 誤り(正答)。民法974条3号は公証人の配偶者・四親等内の親族・書記及び使用人を証人欠格者として明記しており、「含まれない」とする本肢は明確に誤り。公正証書遺言に関係が深い公証人の身内が証人になることを防ぐための規定。

【根拠条文】

民法 第968条第2項(財産目録の添付)、第969条(公正証書遺言)、第970条(秘密証書遺言)、第974条(証人の欠格事由)、第1004条(検認)

遺言書保管法 第11条(検認の適用除外)

【補足】

民法974条の証人欠格者の列挙(特に3号の公証人の配偶者・四親等内親族)は細部まで確認が必要。自筆証書遺言の改正(財産目録・法務局保管)は近年の最重要改正。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第968条・第970条・第971条・第973条・第974条・第975条、遺言書保管法第11条 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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