民法9代理・自己契約・双方代理・復代理

行政書士 民法 問9:代理・自己契約・双方代理・復代理

代理に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 代理人が本人の許可なく自己契約(代理人自身が当事者の一方となる行為)をした場合、当該行為は当然に無効となる。
  • 代理人が本人および相手方の双方の代理人となる双方代理が許されるのは、本人があらかじめ許可した場合のみである。
  • 任意代理人は、本人の許可を得ることなく、また、やむを得ない事由がない場合でも、復代理人を選任することができる。
  • 復代理人は本人の代理人であり、本人に対して直接代理権の範囲内で行動し、本人との間で権利義務関係が生じる。正答
  • 法定代理人は、やむを得ない事由があるときにのみ復代理人を選任することができる。
正答:復代理人は本人の代理人であり、本人に対して直接代理権の範囲内で行動し、本人との間で権利義務関係が生じる。

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エが正しいです。民法106条1項は「復代理人は、本人を代理する」と規定し、2項は「復代理人は、本人及び第三者に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負う」と定めています。つまり復代理人は本人の代理人であり、本人と直接の権利義務関係があります。アは誤りで、自己契約・双方代理は無権代理の問題として処理されます(当然無効ではない)。イは誤りで、債務の履行(債務の内容が既に確定している場合)も例外として双方代理が許されます(民107条ただし書)。ウは誤りで、任意代理人は原則として本人の許可または急迫の事情がなければ復代理人を選任できません(民104条)。オは誤りで、法定代理人は常に復代理人を選任できます(民105条・責任の範囲の問題)。

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エが正解です。民法106条1項「復代理人は、その権限の範囲内において、本人を代理する」、2項「復代理人は、本人及び第三者に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負う」から、復代理人は本人の代理人(代理人の代理人ではない)であり、本人に対して直接の権利義務を持ちます。

ア:誤りです。自己契約・双方代理は「代理権を有しない者が行った行為とみなす」(民107条)とされており、当然無効ではなく無権代理として処理されます。したがって本人の追認によって有効になりえます。

イ:誤りです。民法107条ただし書は、①債務の履行、②本人があらかじめ許可した行為については自己契約・双方代理が許されるとしています。「本人があらかじめ許可した場合のみ」は不完全であり、「債務の履行」も例外として認められます。

ウ:誤りです。任意代理人が復代理人を選任できるのは①本人の許可があるとき、または②急迫の事情(やむを得ない事由)があるときに限られます(民104条)。「本人の許可を得ることなく急迫でない場合」の選任は許されません。

オ:誤りです。法定代理人は自由に復代理人を選任することができます(民105条・条文に「いつでも」の趣旨。ただし責任は通常の注意義務+選任・監督責任)。「やむを得ない事由がある場合のみ」は任意代理人(民104条の急迫の事情)の制限を誤って法定代理人に適用したもので、誤りです。

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【理論的背景】

代理制度において、代理人が自分自身を一方の当事者とする行為(自己契約)や、対立する双方の当事者を代理する行為(双方代理)は、本人の利益を代理人自身または一方当事者の利益のために犠牲にするおそれがあります。そのため民法107条はこれを原則禁止し、例外として①債務の履行と②本人の許可がある場合を認めています。なお、「無権代理とみなす」という表現は、取消権・追認権が本人に認められることを意味し、「当然無効」とは異なります。

復代理について、任意代理人と法定代理人で選任要件が異なる理由は、任意代理が「特定の人物への信頼」を基礎とする(本人は代理人を選んだのであり、代理人が勝手に他人を選ぶことには同意していない)のに対し、法定代理は本人が代理人を選べない状況で法律が強制的に選任する制度であるため、代理人の便宜や効率性のために復代理人選任の柔軟性を認める必要があることによります。

【条文構造】

自己契約・双方代理(民107条):

  • 原則:無権代理とみなす
  • 例外①:債務の履行(例:代金の受領・登記申請の代理)
  • 例外②:本人があらかじめ許可した行為

復代理人の選任要件:

  • 任意代理人(民104条):①本人の許可、または②急迫の事情がある場合
  • 法定代理人(民105条):いつでも選任可能(選任・監督責任を負う)

復代理人の地位(民106条):

  • 本人の代理人として行動(代理人の代理人ではない)
  • 本人・第三者に対して代理人と同一の権利義務

【試験での位置づけ】

行政書士試験の代理論点では、自己契約・双方代理の「無権代理扱い」(当然無効でない)が典型的な引っかけです。また任意代理と法定代理の復代理選任要件の違い(任意代理→本人許可または急迫 vs. 法定代理→自由に選任可)も頻出比較問題です。復代理人の本人との直接的権利義務関係(民106条2項)は「復代理人は本人の代理人か・代理人の代理人か」という形で問われます。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 自己契約・双方代理は「無権代理とみなす」(民107条)=取消・追認の対象。本人が追認すれば有効。「当然無効」ではない点は民法の重要な概念的区別。
  • イ: 「債務の履行」の例として最も典型的なのは不動産売買の決済時における代金授受の代理(既に売買条件が確定しており、代理人が双方を代理しても利益相反が生じにくい場面)。
  • ウ: 任意代理人の復代理(民104条)の制限は「本人が特定の人物に対して信頼を与えた」という代理の本質から派生。急迫の事情(例:代理人が急病になった場合)には例外的に許容される。
  • エ: 正答。民106条の構造上、復代理人の行為効果は直接本人に帰属する(本人→代理人→復代理人という関係ではなく、本人←→復代理人の直接関係)。実務的には不動産取引での代理人が復代理人を使う場面などが典型。
  • オ: 法定代理人(親権者・後見人等)は本人(子・被後見人)が自ら代理人を選べない状況であるため、制度の機能上復代理人を自由に選任できる。ただし法定代理人は選任・監督上の過失について責任を負う(民105条・2020年改正で責任範囲が整理された)。

【根拠条文】

民法 第104条(任意代理人による復代理人の選任)、第105条(法定代理人による復代理人の選任)、第106条(復代理人の権限等)、第107条(自己契約及び双方代理等)

【補足】

法定代理人の復代理選任は自由(民105条)、任意代理人は許可または急迫の事情が必要(民104条)という対比が頻出。復代理人は「本人の代理人」(代理人の代理人ではない)という106条1項の規律も重要。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第107条(自己契約及び双方代理等)、第104条(任意代理人による復代理人の選任)、第105条(法定代理人による復代理人の選任)、第106条(復代理人の権限等) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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