ITパスポート 令和5年度 問24:business_strategyに関する問題
需要量が年間を通じて安定している場合において,定量発注方式に関する記述として,最も適切なものはどれか。
- a最適な発注量は,発注費用と在庫維持費用の総額が最小となる場合である。正答
- b発注回数の多寡で比較したとき,発注回数の多い方が商品を保管するスペースを広くする必要がある。
- c発注は毎週金曜日,毎月末など,決められた同じサイクルで行われる。
- d毎回需要予測に基づき発注が行われる。
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答えは a です。
「定量発注方式」は“在庫が決まった量まで減ったら、毎回いつも同じ量を注文する”やり方。注文する量(個数)は固定で、注文するタイミングは在庫が減ったときです。
このとき大事なのは「1回の注文にかかる費用」と「在庫を持っておくのにかかる費用」の合計が一番小さくなる注文量を選ぶこと。これがaの内容で、いちばん適切です。
👉 覚え方:「定“量”=量がいつも一定」。
ほかの選択肢:c「毎週金曜など決まったサイクルで発注」やd「毎回予測して発注」は、タイミングを決める“定期発注方式”の話なので×。bも当てはまりません。
なぜこれが正解か
正解は a。定量発注方式は、在庫量があらかじめ決めた発注点まで減ったら、毎回一定量(多くは経済的発注量=EOQ)を発注する方式。最適な発注量は、発注(注文)費用と在庫維持(保管)費用の合計が最小になる点で、aの記述はこれに合致する。
各選択肢の解説
- b 発注回数が多い方が保管スペースを広くする必要がある=逆。発注回数が多い=1回の発注量が少ない=在庫は少なく済むので保管スペースは小さくてよい。
- c 毎週金曜・毎月末など決まったサイクルで発注=定期発注方式の説明。
- d 毎回需要予測に基づき発注量を決める=定期発注方式の特徴。
覚え方・ひっかけ注意
「定量=量が一定(タイミングは在庫減少時)」「定期=時期が一定(量は毎回予測)」と対で覚える。c・dは定期発注方式の説明で、定量発注方式と取り違えさせる典型的なひっかけ。
理論的背景
定量発注方式(Fixed-Order Quantity System、別名:発注点方式・EOQ方式)は、在庫量が所定の水準(発注点)まで低下したときに、あらかじめ決めた一定量を発注する在庫管理方式だ。その核心は「経済的発注量(EOQ:Economic Order Quantity)」の概念で、発注量と2つのコストのトレードオフを最適化する。①発注費用(発注のたびに発生する固定コスト:事務処理費・運送費等)は発注回数に比例して増減し、発注量が多い(回数が少ない)ほど低下する。②在庫維持費用(保管費・機会費用・陳腐化リスク等)は平均在庫量に比例し、発注量が多い(在庫が多い)ほど増加する。EOQはこの2つのコストの合計が最小になる発注量で、式はEOQ=√(2×年間需要量×1回あたり発注費用÷単位あたり年間在庫維持費用)となる。これが本問選択肢aの「最適な発注量は発注費用と在庫維持費用の総額が最小となる場合」の数学的根拠だ。
実務での使われ方
定量発注方式は「需要が年間を通じて安定している」(本問の条件)・「調達リードタイムが安定している」・「単品管理が容易」という条件下で有効で、消耗品・原材料・日用品等のC品目(ABC分析で管理重要度が低い品目)に多用される。発注点(Reorder Point)は「リードタイム中の需要量+安全在庫」で設定し、在庫がこの水準に達した時点でEOQ量を発注する。一方、需要変動が大きく重要度の高いA品目には定期発注方式が使われ、毎回の発注量を需要予測に基づいて調整する。本問の選択肢c・d(決まったサイクルで発注・毎回需要予測)は定期発注方式の説明で、定量発注方式との混同が最大の引っかけポイントだ。
試験での位置づけ
ITパスポートのストラテジ系(経営管理・SCM)で在庫管理は頻出テーマで、定量発注方式・定期発注方式の違いを問う問題が定番だ。「定量=量が一定・タイミングが不定(発注点に達した時)」「定期=時期が一定・量が変動(予測に基づく)」という対比を即答できるようにすることが得点の条件だ。本問で特に注意が必要なのは選択肢b(発注回数が多い方が保管スペースを広くする)で、発注回数が多い=1回あたりの発注量が少ない=在庫が少ない=保管スペースが「小さくて良い」という逆の関係を見抜く力が問われる。関連概念としてABC分析(在庫の重要度分類)・安全在庫・リードタイム・JIT(ジャストインタイム)・MRP(資材所要量計画)とのEOQとの対比も基本情報技術者以上では問われる。
選択肢の発展補足
選択肢b(発注回数が多い方が保管スペースが広く必要):これは完全に逆の説明だ。発注回数が多い=こまめに少量発注する=常に在庫を少なく保つ=倉庫・保管スペースが小さくて済む。1回に大量発注すると在庫が積み上がり保管スペースが必要になる——この逆の関係が発注費用と在庫維持費用のトレードオフを作り出している。「回数が多いほどスペースが必要」という誤った直感に引っかかる設問だ。選択肢c(毎週金曜・毎月末など決まったサイクルで発注):定期発注方式の説明で、発注タイミングを固定し発注量を毎回調整する。曜日や月末という「時期」が一定なため、定期(periodic)発注と呼ばれる。定量発注との最大の違いは「発注のトリガーが時間か在庫量か」だ。選択肢d(毎回需要予測に基づき発注量を決める):これも定期発注方式の特徴で、在庫を所定の水準(最大在庫量)まで補充するために毎回の発注量を計算する。需要変動が大きい品目では定量発注方式だと過剰在庫や在庫切れが発生しやすいため、需要予測と連動させる定期発注方式が適している。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和5年度 問24/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。