危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問19:物質の三態・状態変化
一定量の気体の状態変化に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア温度が一定のとき、気体の体積は圧力に比例する。
- イ圧力が一定のとき、一定量の気体の体積は絶対温度に比例する(温度が上がると体積は増える)。正答
- ウ体積が一定のとき、気体の圧力は絶対温度に反比例する。
- エ気体の体積は、圧力にも温度にも影響されず常に一定である。
- オ温度が一定のとき、気体の体積と圧力の積は温度に比例して増加する。
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正しいのはイです。圧力が一定なら、気体は温まると膨らみます(体積は絶対温度に比例)。
- ア(誤): 温度一定では体積は圧力に反比例(押すと縮む)。比例ではない。
- イ(正): 圧力一定で体積は絶対温度に比例(温めると膨らむ)。
- ウ(誤): 体積一定では圧力は絶対温度に比例(温めると圧力が上がる)。反比例ではない。
- エ(誤): 気体の体積は圧力・温度で変わる。
- オ(誤): 温度一定ではPVは一定(温度に比例して増えるは誤り)。
「圧力一定→温めると膨らむ(比例)」が要点です。
気体の法則:
一定量の気体について、圧力P・体積V・絶対温度T(K=℃+273)の関係は次のとおりです。
- ボイルの法則(温度一定): PV=一定 → 体積は圧力に反比例(圧力を2倍にすると体積は1/2)(ア=誤)。
- シャルルの法則(圧力一定): V/T=一定 → 体積は絶対温度に比例(温度が上がると体積は増える)(イ=正)。
- ボイル・シャルルの法則: PV/T=一定 → 上記を統合。
- 体積一定(参考): P/T=一定 → 圧力は絶対温度に比例(温度が上がると圧力が上がる)(ウ=誤:反比例は誤り)。
気体の体積・圧力は温度や圧力で変化します(エ=誤)。温度一定ではPVが一定なので、PVが温度に比例して増えるという記述も誤りです(オ=誤)。
引っかけパターン:
- 比例と反比例の取り違え(ア・ウ)
- 温度を℃のまま使う(必ず絶対温度Kで考える)
「温度一定=反比例(ボイル)/圧力一定=比例(シャルル)/温度は絶対温度」を固定します。
【理論的背景】
気体の分子は空間を自由に飛び回り、容器の壁にぶつかって圧力を生みます。温度が上がると分子の運動が激しくなり、(1)圧力一定なら体積が増え(膨らんで壁との衝突頻度を保つ=シャルルの法則)、(2)体積一定なら圧力が増えます(衝突が激しくなる)。圧力を上げると、(3)温度一定なら体積が縮みます(押し込められる=ボイルの法則)。これらは「分子運動の激しさ=温度」「壁への衝突=圧力」というイメージで一貫して理解できます。
【実務・条文構造(法則の整理)】
一定量の気体について、状態量の関係は次の3式にまとまります(温度は絶対温度T〔K〕=℃+273)。
- ボイルの法則(T一定): P₁V₁=P₂V₂(PV=一定)。
- シャルルの法則(P一定): V₁/T₁=V₂/T₂(V/T=一定)。
- ボイル・シャルルの法則: P₁V₁/T₁=P₂V₂/T₂(PV/T=一定)。
ここで重要なのは、温度を必ず絶対温度(K)で扱うことです。摂氏(℃)のまま比例計算すると誤ります。例えば0℃(273K)から273℃(546K)へ上げると絶対温度は2倍になり、圧力一定なら体積も2倍になります。℃で「0℃→273℃で温度が無限倍」などと考えると破綻するため、絶対温度への換算が前提です。
【危険物との接続】
気体の法則は、危険物の取扱いで次のように効いてきます。
- タンク内圧の変動: 密閉タンク内の蒸気は、気温上昇(温度上昇)で圧力が上がります(体積一定→P/T一定)。これがタンク変形・噴出の原因となるため、通気管・安全装置で圧力を逃がし、満タンにせず空間容積を残します。
- 液の熱膨張: 液体も温度で膨張するため(別論点)、空間容積で吸収します。
- 蒸気の拡散: 温度が上がると蒸気の体積が増え、可燃性蒸気が広がりやすくなります。
このように、気体の法則は「温度が上がると圧力・体積が増える」という形で、タンクの安全設計(通気管・空間容積)の理論的裏づけになっています。
【試験での位置づけ】
気体の法則は、(1)温度一定=反比例(ボイル)、(2)圧力一定=比例(シャルル)、(3)温度は絶対温度、の3点が問われます。誤答は比例と反比例の取り違えで作られるため、「押すと縮む=反比例」「温めると膨らむ=比例」という直感像で固定すると確実です。乙四では複雑な計算より、どの量がどの量に比例/反比例するかの定性的理解が中心です。本問のように記述の正誤を問う形が多いので、3つの法則の「何が一定で、何が比例/反比例か」を整理しておきます。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 温度一定では体積は圧力に反比例(ボイル)。比例ではない。
- イ(正): 圧力一定で体積は絶対温度に比例(シャルル)。温めると膨らむ。
- ウ(誤): 体積一定では圧力は絶対温度に比例。反比例ではない。
- エ(誤): 気体の体積は圧力・温度で変化する。
- オ(誤): 温度一定ではPVは一定。温度に比例して増えるは誤り。
【根拠】ボイルの法則・シャルルの法則・ボイル=シャルルの法則(確立した物理学)。
【補足】温度一定=反比例(ボイル)/圧力一定=比例(シャルル)/PV/T=一定。温度は絶対温度K。タンク内圧上昇の理論的根拠。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: ボイルの法則(温度一定で体積は圧力に反比例:PV=一定)、シャルルの法則(圧力一定で体積は絶対温度に比例:V/T=一定)、ボイル・シャルルの法則(PV/T=一定)。確立した物理学。温度は絶対温度(K=℃+273)で扱う。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。