危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問30:熱量・比熱・熱膨張・熱移動
質量が同じで比熱の異なる2つの液体A・Bがある。Aの比熱は2.0J/(g・K)、Bの比熱は1.0J/(g・K)である。同じ熱量を同じ質量のA・Bにそれぞれ加えたとき、温度上昇についての記述として**正しいもの**はどれか。
- アBの方が温度上昇が大きい。正答
- イAの方が温度上昇が大きい。
- ウAとBの温度上昇は等しい。
- エ比熱は温度上昇に関係しないので比較できない。
- オBは比熱が小さいので、熱を加えても温度は上がらない。
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正しいのはアです。比熱が小さいほど温まりやすいので、Bの方が温度上昇が大きくなります。
Q=mcΔt を変形すると Δt=Q/(mc)。同じ熱量Q・同じ質量mなら、Δtは比熱cに反比例します。
- A(c=2.0): 温まりにくい(Δt小)。
- B(c=1.0): 温まりやすい(Δt大)。
たとえば同じ熱量を加えると、Bの温度上昇はAの2倍になります。「比熱が小さい=少しの熱で温度が上がりやすい」を押さえます。水は比熱が大きく温まりにくい代表例です。
比熱と温度上昇の関係:
熱量の式 Q=mcΔt を温度上昇について解くと、
Δt = Q /(m × c)
同じ熱量Q・同じ質量mのとき、温度上昇Δtは比熱cに反比例します。
本問:
- A(c=2.0J/(g・K)): Δt_A = Q/(m×2.0)
- B(c=1.0J/(g・K)): Δt_B = Q/(m×1.0)
- 比をとると Δt_B / Δt_A = 2.0/1.0 = 2
つまりBの温度上昇はAの2倍で、Bの方が温度上昇が大きい(ア=正)。
- ア(正): Bは比熱が小さく温まりやすい。温度上昇が大きい。
- イ(誤): Aは比熱が大きく温まりにくい。温度上昇は小さい。
- ウ(誤): 比熱が違うので温度上昇は等しくない。
- エ(誤): 比熱はΔtに直接関係する(反比例)。
- オ(誤): 比熱が小さくても熱を加えれば温度は上がる(むしろ上がりやすい)。
引っかけパターン: 「比熱が大きいほど温まりやすい」と逆に覚える。正しくは「比熱が小さいほど温まりやすい(少しの熱で温度が上がる)」。
【理論的背景】
比熱(比熱容量)は、物質1gの温度を1K上げるのに必要な熱量です。比熱が大きい物質は「1gを1K上げるのに多くの熱が要る」=温まりにくく冷めにくい、比熱が小さい物質は「少しの熱で温度が変わる」=温まりやすく冷めやすい、という性質を持ちます。水の比熱は約4.2J/(g・K)と大きく、油類や金属は比熱が小さいため、同じ熱を加えると油類・金属の方が温度が大きく上がります。
【関係式の整理】
熱量の基本式 Q=mcΔt から、目的に応じて式を変形できます。
- 必要な熱量を求める: Q=mcΔt
- 温度上昇を求める: Δt=Q/(mc)
- 比熱を求める: c=Q/(mΔt)
本問は「同じQ・同じm」で温度上昇を比べるので、Δtはcに反比例。c_A:c_B=2:1なら、Δt_A:Δt_B=1:2となり、Bの温度上昇がAの2倍です。
【危険物との接続】
比熱の大小は危険物の取扱いに直結します。
- 温まりやすさ: 比熱の小さい油類は、外気温の上昇や少量の入熱でも液温が上がりやすく、引火点に達しやすい。夏季のタンク・ドラム缶の温度管理が重要になる理由の一つです。
- 冷却消火の原理: 水は比熱が大きく、多くの熱を奪える(蒸発熱も大きい)ため、冷却消火に適します。同じ量の水でも油より多くの熱を吸収できることが、水を冷却剤に使う根拠です(ただし第4類への棒状注水は液面拡大の危険があり原則不適)。
【試験での計算ポイント】
1. 式は Q=mcΔt の一つだけ。求めたい量に応じて変形する。
2. 「同じ熱量・同じ質量」で温度を比べるなら、Δtは比熱に反比例(比熱小→温度上昇大)。
3. 「比熱が大きい=温まりにくい」を方向で覚える(水=温まりにくい代表)。
本問は数値計算をしなくても「比熱が小さいBの方が温まりやすい」と分かれば即答できます。比をとる練習をしておくと、質量や熱量を変えた類題にも対応できます。
【各選択肢の発展補足】
- ア(正): Bは比熱が小さく温まりやすい(Δtが2倍)。
- イ(誤): Aは比熱が大きく温まりにくい。
- ウ(誤): 比熱が違うのでΔtは等しくない。
- エ(誤): 比熱はΔtに反比例で直接関係する。
- オ(誤): 比熱が小さくても加熱すれば温度は上がる。
【根拠】熱量の基本式 Q=mcΔt(確立した物理学)。
【補足】Δt=Q/(mc)。同じQ・同じmなら温度上昇は比熱に反比例(比熱小→温まりやすい)。水は比熱大で温まりにくく冷却消火に適する。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 熱量の基本式 Q=m・c・Δt(確立した物理学)。同じ熱量Q・同じ質量mのとき、温度上昇Δt=Q/(mc)は比熱cに反比例する。比熱が小さいBの方がΔtが大きい(温まりやすい)。比熱が大きいAは温まりにくい。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。