危険物乙四 危険物に関する法令 問132:運搬・移送
移動タンク貯蔵所から危険物の充てんまたは取り出しを行う際の静電気防止措置に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア液体の危険物を移動タンク貯蔵所から容器に注入するなど、可燃性蒸気を発生する液体危険物を移送する場合は、移動タンク貯蔵所を接地(アース)しなければならない。正答
- イ移動タンク貯蔵所の接地(アース)は任意であり、静電気防止措置は取扱者の判断に委ねられている。
- ウ静電気による火花放電のリスクは、液体危険物の流速が遅いほど高まるため、送液速度はできるだけ遅くする必要はない。
- エ移動タンク貯蔵所の接地(アース)は、雨天の場合のみ義務が免除される。
- オ移動タンク貯蔵所から危険物を充てんする際の静電気対策として、タンクを高所に設置し、自重落下させることが唯一の安全な方法である。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠も明記。
正しいのはアです。可燃性蒸気を発生する液体危険物(第4類等)を移動タンク貯蔵所で移送する場合、移動タンク貯蔵所を接地(アース)しなければなりません。
- ア(正): 可燃性蒸気を発生する液体危険物の移送時は接地義務(危政令第30条の2等)。
- イ(誤): 接地は義務(任意ではない)。
- ウ(誤): 静電気は流速が速いほど発生しやすい(流速制限・速度を遅くすることが対策)。
- エ(誤): 雨天での接地義務免除という規定はない。
- オ(誤): 接地・ボンディング・流速制限等の組合せが静電気対策であり、「自重落下が唯一の方法」は誤り。
「可燃性蒸気を発生する液体危険物の移送時は接地が義務」を押さえます。
移動タンク貯蔵所の接地義務と静電気防止(危政令第30条の2等):
- ア(正): 可燃性蒸気を発生する液体危険物(主に第4類引火性液体)を移送するときは、移動タンク貯蔵所を接地しなければならない(危政令第30条の2等)。これは流動する液体と管壁・タンク壁との摩擦で静電気が発生し、火花放電が引火源となるリスクを排除するための義務的措置。
- イ(誤): 接地は法令上の義務であり任意ではない。危政令第30条の2等に根拠がある。取扱者の判断に委ねると安全が担保されないため、義務とされている。
- ウ(誤): 静電気は液体の流速が速いほど発生しやすい(流速が速いと電荷の分離・蓄積が大きくなる)。「流速が遅いほど高まる」は誤り。流速制限(低速送液)が静電気防止対策の一つ。
- エ(誤): 雨天の場合のみ接地義務が免除されるという規定はない。雨天(湿度が高い状態)では接地の効果が高まる側面はあるが、それは義務免除の根拠にはならない。
- オ(誤): 静電気対策は「接地(アース)」「ボンディング(電気的接続)」「流速制限」「導電性ホースの使用」等の組合せで行われる。「自重落下が唯一の方法」は誤り。
引っかけパターント: 「接地は任意」(イ)、「流速が遅いと静電気リスクが高まる」(ウ)が定番誤り。「静電気は流速が速いほど発生しやすい(遅くする対策)・接地は義務」を固定します。
【理論的背景】
石油類(第4類引火性液体)は電気の不良導体(絶縁体に近い性質)であるため、流動・ろ過・注入時に液体と管壁との摩擦によって電荷が分離・蓄積しやすく、静電気が発生します。導体であれば蓄積した電荷がすぐに逃げますが、石油類は電荷が逃げにくいため蓄積し、放電(火花)が生じます。この火花放電が引火性蒸気の点火源となり、火災・爆発の引き金となります。
静電気発生量は流速が速いほど大きくなるため(流速が速いと単位時間当たりの電荷分離量が増加)、低速送液(流速制限)が対策の一つとなります。また接地(アース)によってタンク・ホース等に蓄積した電荷を地面に逃がすことで放電火花を防ぎます。
【実務・条文構造】
移動タンク貯蔵所の接地義務(危政令第30条の2等):
- 可燃性蒸気を発生する液体危険物(第4類引火性液体等)を移送するとき、移動タンク貯蔵所を接地(アース)しなければならない。
- 対象となる危険物: 主に第4類引火性液体(可燃性蒸気を発生する液体危険物全般)。
静電気防止の組合せ対策:
1. 接地(アース): タンク・容器・ホース等を金属ワイヤで接地線に接続し、蓄積電荷を地面に逃がす。
2. ボンディング: 充てん先の容器と移動タンク貯蔵所を金属線で電気的に接続し、電位差をなくす。
3. 流速制限: 送液速度を制限(低速化)することで電荷蓄積量を減らす。
4. 導電性ホースの使用: 電気を導通させるホースを使用し、静電気が蓄積しないようにする。
5. 加湿・湿度管理: 湿度が高いと大気中の水分が電荷を逃がしやすくするが(補助的効果)、接地の代替にはならない。
流速と静電気の関係(重要):
- 液体の流速が速いほど → 電荷分離量が大きく → 静電気が多く蓄積。
- 対策: 流速を遅くする(送液速度制限)。
- 「流速が遅いほど静電気リスクが高まる」(ウの記述)は逆で誤り。
【試験での位置づけ】
移動タンク貯蔵所の接地義務と静電気は法令・性質(物理化学)の両面で頻出です。(1)可燃性蒸気を発生する液体危険物の移送時は接地義務(危政令第30条の2等)、(2)静電気は流速が速いほど発生しやすい(流速制限が対策)、(3)接地は義務(任意ではない)、(4)接地・ボンディング・流速制限・導電性ホースが静電気防止対策、が核心です。引っかけは「接地は任意」(イ)、「流速が遅いほどリスク高」(ウ)です。法令科目と物理化学(静電気論点)が交差するため、両面で整理します。
【各選択肢の発展補足】
- ア(正): 可燃性蒸気を発生する液体危険物の移送時は接地義務(危政令第30条の2等)。
- イ(誤): 接地は法令上の義務。任意ではない。
- ウ(誤): 静電気は流速が速いほど発生しやすい(「遅いほど高まる」は逆で誤り)。流速を遅くすることが対策。
- エ(誤): 雨天での接地免除規定はない。接地は天候に関係なく義務。
- オ(誤): 接地・ボンディング・流速制限等の組合せが対策。自重落下が唯一の安全な方法という誤りの断定。
【根拠法令】危険物の規制に関する政令 第30条の2(移送の基準・接地義務)。
【補足】可燃性蒸気を発生する液体危険物の移送時は接地義務(義務・任意ではない)。静電気は流速速いほど発生しやすい(流速制限が対策)。接地・ボンディング・流速制限・導電性ホースが静電気防止対策。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 可燃性蒸気を発生する液体危険物の移送・取扱時の接地(アース)義務(危政令第30条の2・第27条系)、静電気は流速が速いほど発生しやすい(流速制限が対策)を確認。「接地は任意」「流速が遅いほどリスク高」は誤肢で正答ア一意・誤りなし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 危険物の規制に関する政令 第30条の2第2項(可燃性蒸気を発生する液体危険物を移送する場合の接地義務)。可燃性蒸気を発生する液体危険物を移送するときは、移動タンク貯蔵所を接地しなければならない(危政令第30条の2等)。静電気は流速が速いほど発生しやすい(流速を遅くすることが対策)。雨天での接地免除規定はない。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。