第3章 主な医薬品とその作用104主な医薬品とその作用(漢方製剤)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問104:主な医薬品とその作用(漢方製剤)

一般用漢方製剤・生薬製剤と他の医薬品との相互作用に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 漢方製剤は生薬を原料とした天然由来の製品であるため、化学合成された西洋薬との相互作用は生じず、処方薬を服用中の人でも安全に併用できる。
  • カンゾウ(甘草)を含む漢方製剤は、グリチルリチン酸を含む一般用医薬品(かぜ薬・外用薬等)と重複して使用しても、カンゾウは生薬であってグリチルリチン酸とは別の成分であるため総摂取量は合算されず、偽アルドステロン症のリスクが高まることはない。
  • マオウ(麻黄)を含む漢方製剤(葛根湯・小青竜湯等)を、交感神経刺激成分(アドレナリン作動薬)を含む市販のかぜ薬と同時に服用しても、成分の重複による相互作用は生じない。
  • 受診中の患者が担当医に相談なく漢方製剤を使用することは、医師の処方薬と漢方薬が同一成分(例:カンゾウ)を含む場合に過剰摂取となるリスクがあるが、この問題は登録販売者の確認範囲外である。
  • ダイオウ(大黄)を含む漢方製剤と、センナ・センノシドを含む市販の瀉下薬を同時に使用すると、刺激性瀉下成分の作用が重複して激しい下痢・腹痛が生じるおそれがある。正答
正答:ダイオウ(大黄)を含む漢方製剤と、センナ・センノシドを含む市販の瀉下薬を同時に使用すると、刺激性瀉下成分の作用が重複して激しい下痢・腹痛が生じるおそれがある。

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正答はオです。

ダイオウ(大黄)を含む漢方製剤(防風通聖散・麻子仁丸・大黄甘草湯等)とセンナ・センノシドを含む市販の瀉下薬を同時に使用すると、いずれもアントラキノン系の刺激性瀉下成分を含むため、作用が重複して激しい下痢・腹痛・脱水を引き起こすおそれがあります。

ゴロ:「ダイオウとセンナは同じ仲間(アントラキノン系)。ダブルで飲むと下痢MAX」

誤りのポイント:アの「漢方は西洋薬と相互作用しない」は大きな誤りです。漢方薬でも必ず相互作用があります。

標準試験対策の基準レベル

漢方製剤に多い成分の相互作用リスク早見表:

| 成分 | 含む主な漢方 | 重複・相互作用のリスク |

|---|---|---|

| カンゾウ(甘草)/グリチルリチン酸 | 葛根湯・小青竜湯・防風通聖散等 多数 | 複数製品重複→偽アルドステロン症(GL 40mg超) |

| マオウ(麻黄)/エフェドリン | 葛根湯・麻黄湯・小青竜湯等 | 交感神経刺激成分含む薬との重複→頻脈・高血圧 |

| ダイオウ(大黄)/アントラキノン | 防風通聖散・麻子仁丸・大黄甘草湯等 | センナ・ビサコジルとの重複→激しい下痢 |

| カッコン(葛根)/ | 葛根湯等 | 単独では問題少ないが製品重複に注意 |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 漢方製剤は生薬成分を含んでいますが、それらは薬効を持つ化学物質です。西洋薬(処方薬・OTC)との相互作用は確実に生じます。例えば、カンゾウ含有漢方薬と利尿薬の組み合わせは低カリウム血症を増悪させるリスクがあります。「相互作用は生じない」という記述は誤りです。
  • イ(誤): カンゾウ(甘草)の主要な薬効成分はグリチルリチン酸であり、カンゾウ含有漢方製剤とグリチルリチン酸含有のかぜ薬・外用薬等を重複して使用すると、グリチルリチン酸の総摂取量は実質的に合算されて増加します。その結果、偽アルドステロン症(低カリウム血症・浮腫・血圧上昇)のリスクが高まります。「別の成分なので合算されずリスクは高まらない」という記述は誤りです(重複によるリスク増大が、登録販売者が確認すべき代表的な相互作用です)。
  • ウ(誤): マオウ含有漢方(葛根湯・小青竜湯等)はエフェドリン・シュードエフェドリン(交感神経刺激成分)を含みます。これとかぜ薬中のメチルエフェドリン等のアドレナリン作動薬が重複すると、交感神経刺激が増強されて頻脈・血圧上昇・不眠・尿閉等の副作用が増強されます。「相互作用は生じない」という記述は誤りです。
  • エ(誤): 漢方薬を含む一般用医薬品の販売に際して、「処方医薬品との重複・相互作用を確認する」ことは登録販売者の重要な業務です。「登録販売者の確認範囲外」という記述は誤りです。販売時に受診中かどうかを確認し、疑義があれば医師・薬剤師への相談を勧めることが求められます。
  • オ(正): ダイオウはセンノシドABやアロインなどのアントラキノン配糖体を含み、大腸で腸内細菌によりレインアンソロンに変換されて大腸粘膜を刺激します。センナ・センノシドも同じアントラキノン系刺激性瀉下成分です。両者を同時使用すると作用が加算的に重複して、激しい下痢・腹痛・脱水・電解質異常を引き起こすおそれがあります。これは正しい記述です。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【漢方・生薬製剤の相互作用の全体像と登録販売者の実務対応】

「漢方薬は安全・副作用がない」という誤解の危険性:

一般消費者の多くが「漢方=天然由来=安全」と誤解していますが、漢方薬・生薬製剤に含まれる成分は薬理活性を持つ化学物質であり:

  • 過剰摂取による副作用(偽アルドステロン症・下痢・動悸等)
  • 他の医薬品との相互作用(薬効増強・副作用増大)
  • 禁忌となる基礎疾患や体質(「しばり」に反した使用)

が存在します。登録販売者は消費者のこの誤解を正す責任があります。

カンゾウ・グリチルリチン酸の重複問題(実務で最も頻繁):

カンゾウを含む主な漢方製剤(例示):

  • かぜ薬系:葛根湯・麻黄湯・小青竜湯・柴胡桂枝湯
  • 胃腸薬系:六君子湯・安中散・人参湯(理中丸)・芍薬甘草湯
  • 女性向け:当帰芍薬散・加味逍遙散
  • その他多数(実は漢方処方の7割以上にカンゾウが含まれるとも言われる)

グリチルリチン酸(GL)含有の一般用医薬品:

  • かぜ薬・のど薬(のどの炎症緩和目的)
  • 胃腸薬(胃粘膜保護目的)
  • 外用薬(抗炎症目的・経皮吸収も一定量あり)
  • 漢方製剤(上記)

重複の典型ケース:かぜをひいた患者が「葛根湯(カンゾウ含有)」と「市販のかぜ薬(GL含有)」を同時服用→GLが大幅超過→偽アルドステロン症発症。

偽アルドステロン症の詳細:(ch3_84に詳述)

初期症状:浮腫・体重増加・血圧上昇・筋肉の脱力感・低カリウム性の筋けいれん。

診断:血清カリウム低下・血清アルドステロン正常(偽物のアルドステロン作用なので本物のアルドステロンは上がらない)。

マオウ・アドレナリン作動成分の重複問題:

マオウ(麻黄:Ephedra sinica)の主要アルカロイド:

  • エフェドリン(約40〜90%):主要アドレナリン作動成分
  • プソイドエフェドリン(約10〜40%)
  • メチルエフェドリン(微量)
  • ノルエフェドリン(微量)

重複が問題になる組み合わせ:

  • マオウ含有漢方 + メチルエフェドリン含有かぜ薬(気管支拡張目的)
  • マオウ含有漢方 + エフェドリン類含有鼻炎薬(鼻粘膜充血除去目的)
  • マオウ含有漢方 + プソイドエフェドリン含有製品

重複による症状:頻脈・動悸・高血圧・不眠・尿閉・口渇・発汗過多(いずれも交感神経過刺激症状)。

高血圧・心臓病・甲状腺機能亢進症・前立腺肥大の患者では特に危険度が高まります。

ダイオウ系とセンナ系の重複問題:

ダイオウ(大黄:Rheum palmatum等)含有漢方製剤(主なもの):

  • 防風通聖散(肥満改善)
  • 大黄甘草湯・麻子仁丸(便秘漢方)
  • 桃核承気湯・大承気湯・小承気湯
  • 乙字湯(痔疾用)

センナ・センノシドとダイオウは同じアントラキノン系刺激性瀉下成分であり、大腸での活性化と刺激作用は同一メカニズムです。重複使用による問題:

  • 激しい下痢・腹痛・腸痙攣
  • 大量水様便による脱水
  • 電解質異常(低カリウム・低ナトリウム)
  • 腸管への慢性刺激(長期重複使用の場合)

登録販売者の実務対応フロー:

購入者が漢方製剤の購入を希望する際:

1. 現在使用中の医薬品を確認:処方薬・OTC問わず全成分を把握しようとする姿勢

2. 重複リスクの確認

- カンゾウ含有?(GL量確認)

- マオウ含有?(アドレナリン作動薬との重複)

- ダイオウ含有?(他の瀉下薬との重複)

3. 基礎疾患の確認:高血圧・心臓病・腎臓病・緑内障・前立腺肥大等

4. 受診中であれば主治医への相談を推奨:特に複数科受診中・多剤服用中の場合

5. 長期使用の場合:8週間目安で症状改善を確認し、改善なければ受診勧奨

漢方薬は「証に合った使い方」が重要であり、証に合わない使用では効果がなく副作用だけが生じる場合があります。登録販売者は「どの漢方薬がこの人に合うか」を安易に判断せず、疑わしい場合は漢方専門医・薬剤師への紹介を躊躇しないことが品質ある医薬品販売の実践です。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 旧・選択肢イ(「カンゾウ重複でGL総量増加→偽アルドステロン症リスク」)は手引き準拠で正しい記述であり、正答オ(正しいもの)と二重正答になっていた。一意性確保のため、選択肢イを「カンゾウとグリチルリチン酸は別成分で合算されずリスクは高まらない」という明確な誤り(カンゾウの主成分はグリチルリチン酸で重複すれば合算されリスク増)に改変し、standard解説も整合修正した。カンゾウ・GL重複の正しい知識はstandard早見表・advanced解説に保持。正答は変更なし(オ)。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第10節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

漢方・生薬製剤の相互作用=医療用医薬品との重複・カンゾウ等の注意頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

章別に解いて、登録販売者に合格

全5章のオリジナル問題。各問に出典(厚労省手引き)とAI解説(3レベル)付き・閲覧無料。