第3章 主な医薬品とその作用124主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問124:主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)

大柴胡湯(だいさいことう)・通導散(つうどうさん)・三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 大柴胡湯はサンシシ(山梔子)を含む処方であり、長期服用で腸間膜静脈硬化症を引き起こす可能性がある。
  • 三黄瀉心湯はオウレン・オウゴン・ダイオウを含む処方であり、比較的体力がある人の便秘・高血圧の随伴症状に用いられる。正答
  • 通導散はカンゾウを含まない処方であり、体力虚弱な人の月経不順・打撲に適する。
  • 大柴胡湯はダイオウを含まない処方であり、体力虚弱で胃腸が弱く疲れやすい人の体質改善に用いられる。
  • 大柴胡湯・通導散・三黄瀉心湯はすべて体力虚弱な人(虚証)向けの処方である。
正答:三黄瀉心湯はオウレン・オウゴン・ダイオウを含む処方であり、比較的体力がある人の便秘・高血圧の随伴症状に用いられる。

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正答はイです。

三黄瀉心湯はオウレン(黄連)・オウゴン(黄芩)・ダイオウ(大黄)の3つの「黄(おう)」がつく生薬からなる処方です(「三黄」の名の由来)。体力がある実証の人の便秘・高血圧・のぼせ・不眠・鼻出血に使われます。

誤りの選択肢のポイントです。

  • ア:大柴胡湯はサンシシを含みません。大柴胡湯にはサイコ・ダイオウ等が含まれます。腸間膜静脈硬化症はサンシシ含有処方(茵蔯蒿湯・黄連解毒湯等)の長期服用で生じます。
  • ウ:通導散は実証(体力充実)向けの処方であり、「体力虚弱向け」は誤り。また通導散はカンゾウを含むため「カンゾウを含まない」という記述も誤り(ウは二重に誤り)。
  • エ:大柴胡湯はダイオウを含む実証(体力充実)向けの処方であり、肥満・胆石症・高血圧に用いる。「ダイオウを含まない」「体力虚弱向け」はともに誤り。
  • オ:3処方はいずれも実証(体力充実)向けです。

語呂:「三黄瀉心湯は三つの黄(オウレン・オウゴン・ダイオウ)で実証の便秘とのぼせ」

標準試験対策の基準レベル

大柴胡湯・通導散・三黄瀉心湯:実証の瀉下系処方比較

| 項目 | 大柴胡湯 | 通導散 | 三黄瀉心湯 |

|---|---|---|---|

| 体力(証) | 実証(充実) | 実証(充実) | 比較的体力あり |

| 主な適応 | 肥満・便秘・高コレステロール・胆石・高血圧 | 便秘・月経不順・打撲・瘀血 | 便秘・高血圧随伴症状・鼻出血・のぼせ・不眠 |

| ダイオウ含有 | あり | あり | あり |

| サンシシ含有 | なし | なし | なし |

| オウレン含有 | なし | なし | あり |

| カンゾウ含有 | なし(標準処方) | あり | なし |

| 処方名の由来 | 柴胡(サイコ)を主薬とし小柴胡湯より強い処方 | 通=通す・導=導く(便・瘀血)、散=散剤 | 三つの黄薬(オウレン・オウゴン・ダイオウ) |

大柴胡湯のサンシシ非含有は試験頻出の落とし穴:

腸間膜静脈硬化症(ちょうかんまくじょうみゃくこうかしょう)はサンシシ(山梔子・クチナシの果実)を含む処方の長期服用で生じる。大柴胡湯は混同されやすいがサンシシを含まない

サンシシを含む主な処方:茵蔯蒿湯・黄連解毒湯・温清飲・加味逍遙散等(「サンシシ=腸間膜静脈硬化症リスク」は横断知識として重要)。

各選択肢の正誤:

  • ア(誤):大柴胡湯にサンシシは含まれない。腸間膜静脈硬化症はサンシシ含有処方の問題。
  • イ(正):三黄瀉心湯はオウレン・オウゴン・ダイオウの3生薬。実証向けの便秘・高血圧に用いる処方として正しい。
  • ウ(誤):通導散は実証向けであり「虚弱向け」は誤り。さらに通導散はカンゾウを含むため「カンゾウを含まない」も誤り(二重に誤り)。
  • エ(誤):大柴胡湯はダイオウを含む実証向けの処方。「ダイオウを含まない」「体力虚弱で胃腸が弱い人向け」はともに事実と逆で誤り。
  • オ(誤):3処方はいずれも実証(体力充実)向けで虚証向けではない。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【三黄瀉心湯の「三黄」の薬理:苦寒清熱の精鋭処方】

三黄瀉心湯は最もシンプルな3生薬処方の一つ。それぞれの生薬が異なる「熱証」に対応する:

| 生薬 | 性質 | 主な薬理作用 |

|---|---|---|

| オウレン(黄連・Coptis japonica根茎) | 大苦大寒 | ベルベリンによる強力な抗菌・抗炎症。胃腸の熱を冷やし精神安定。腸内での細菌抑制による便秘改善の一因 |

| オウゴン(黄芩・Scutellaria baicalensis根) | 苦寒 | バイカリンによる抗炎症・抗アレルギー。肝・胆・肺の熱を冷やす |

| ダイオウ(大黄・Rheum palmatum根茎) | 苦寒 | センノシドA・Bによる刺激性瀉下。大腸蠕動亢進→便秘解消。また活血・清熱の作用も |

三黄瀉心湯の主な適応が「便秘・高血圧随伴症状(のぼせ・頭痛)・鼻出血・不眠」である理由:「実証(体力充実)で熱が上に溜まっている(熱が上逆する)」病態に対し、3つの苦寒薬で熱を下ろし、ダイオウで便通を整えることで熱の出口を確保する。高血圧ののぼせ・頭痛は「熱の上逆」と理解され、大腸から熱(と便)を排出することで緩和される。

大柴胡湯の生薬組成と「少陽・陽明合病」への対応:

大柴胡湯は小柴胡湯(サイコ処方)にダイオウ・シャクヤクを加えた「大きな柴胡湯」。「少陽(半表半裏)と陽明(裏・実熱)の両方に熱が及んでいる」病態(少陽陽明合病)に対応する。

| 生薬 | 役割 |

|---|---|

| サイコ(柴胡) | 少陽の疏解。肝・胆の気滞・熱を解消 |

| ハンゲ(半夏) | 降逆(胃・胸の熱・気逆を下す) |

| オウゴン(黄芩) | 清熱・消炎 |

| シャクヤク(芍薬) | 鎮痙・鎮痛。腹痛・筋緊張 |

| キジツ(枳実) | 理気・破気。胸腹部のつかえ・膨満を除く |

| ダイオウ(大黄) | 陽明の瀉下。便秘解消・熱の排出 |

| ショウキョウ(生姜)・タイソウ(大棗) | 調和・胃腸保護 |

大柴胡湯の標準的な構成は8生薬(サイコ・ハンゲ・オウゴン・シャクヤク・キジツ・タイソウ・ショウキョウ・ダイオウ)で、カンゾウを含まない点が小柴胡湯との違いの一つ(小柴胡湯はカンゾウを含む)。なお、ダイオウを除いた処方は別名「大柴胡湯去大黄」として区別される。

大柴胡湯の主な適応:肥満(脂肪蓄積=「食積・痰濁」)・胆石症(胆汁の流れが悪い)・高コレステロール・高血圧・便秘。体力充実した「実証」の中高年男性に典型的な適応パターン。

サンシシ含有と腸間膜静脈硬化症:大柴胡湯が含まない理由の臨床的意義:

腸間膜静脈硬化症(MVC):サンシシ(クチナシ果実のゲニポシド代謝産物)の長期蓄積による腸管静脈の石灰化・線維化。

  • 症状:腹痛・下痢・便秘・血便(大腸の壁が硬化)
  • 確定診断:CT(腸間膜静脈の石灰化像)・内視鏡(暗紫色の粘膜変化)
  • 治療:サンシシ含有漢方の中止(軽症は可逆性)

大柴胡湯はサイコ・ダイオウ・オウゴン等を含むが、サンシシを含まない。よって大柴胡湯長期服用者にMVCリスクはない。一方、黄連解毒湯(サンシシ・オウレン・オウゴン・オウバク)や茵蔯蒿湯(インチン・サンシシ・ダイオウ)は長期服用でMVCリスクがある。この区別は試験頻出。

通導散の「駆瘀血・通下」の作用と婦人科適応:

通導散は「通(通じさせる)・導(導く)」の名が示す通り、便・瘀血(血の滞り)の両方を通す処方。

主成分:ダイオウ(瀉下・活血)・トウキ(補血・活血)・コウカ(紅花)・ソボク(蘇木)(活血化瘀)・キジツ・コウボク・チンピ(理気)・モクツウ(利水)・ボウショウ(軟堅・瀉下補助)・カンゾウ(調和)。

通導散はカンゾウを含むため、他のカンゾウ含有漢方薬との重複で偽アルドステロン症(低カリウム血症・浮腫・血圧上昇)のリスクがある点に注意する。また「実証の月経不順・月経痛・打撲後の瘀血」という婦人科・外傷系の適応が大柴胡湯・三黄瀉心湯と異なる。ダイオウ・ボウショウ・コウカを含むため妊婦には流早産の危険があり禁忌。

3処方すべてに共通:実証向け・妊婦禁忌(ダイオウ含有)

大柴胡湯・通導散・三黄瀉心湯はすべてダイオウを含む実証向け処方であり、妊婦へは流早産リスクのため禁忌(または使用不可)。登録販売者は妊婦または妊娠の可能性がある人への販売時に必ず確認が必要。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): ①大柴胡湯=ダイオウ含有が標準(ツムラ大柴胡湯=サイコ/ハンゲ/オウゴン/シャクヤク/キジツ/タイソウ/ショウキョウ/ダイオウの8生薬、カンゾウ非含有)。ダイオウを除いたものは別処方「大柴胡湯去大黄」。②通導散=カンゾウ含有が正(ツムラ/コタロー通導散はトウキ/ダイオウ/ボウショウ/キジツ/コウボク/チンピ/モクツウ/コウカ/ソボク/カンゾウ)。旧版の「通導散はカンゾウを含まない」は事実誤認のため全箇所修正済。③二重正答(イ・エ)を解消:選択肢エを「大柴胡湯はダイオウを含まない/体力虚弱向け」の誤りに改変し正答をイに一意化。出典:ツムラ大柴胡湯/通導散 医療用添付文書。 -->

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第15節

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

便秘・腹満の漢方・大柴胡湯/通導散/三黄瀉心湯の証頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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