第3章 主な医薬品とその作用126主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問126:主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)

茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 茵蔯蒿湯は体力虚弱な人の黄疸・口渇に用いられ、カンゾウを含む処方である。
  • 茵蔯蒿湯に含まれるサンシシ(山梔子)は、長期服用によって腸間膜静脈硬化症を引き起こすリスクがある。正答
  • 茵蔯蒿湯にはマオウが含まれており、高血圧・心疾患の患者には使用を避けるべきである。
  • 茵蔯蒿湯はダイオウを含まない処方であり、便秘傾向の患者には効果がない。
  • 茵蔯蒿湯の「茵蔯」はケイヒ(桂皮)の別名であり、肝臓・胆嚢の機能を改善する処方である。
正答:茵蔯蒿湯に含まれるサンシシ(山梔子)は、長期服用によって腸間膜静脈硬化症を引き起こすリスクがある。

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正答はイです。

茵蔯蒿湯はサンシシ(山梔子)を含む処方です。サンシシを長期服用すると腸間膜静脈硬化症(腸の血管が硬化する副作用)を引き起こすリスクがあります。この副作用は手引きの重篤副作用として重要です。

誤りの選択肢のポイントです。

  • ア:茵蔯蒿湯は体力「中等度以上」の人向けです。カンゾウも含みません。
  • ウ:茵蔯蒿湯にマオウは含まれません。
  • エ:茵蔯蒿湯はダイオウを含む処方です(インチンコウ+サンシシ+ダイオウの3生薬)。
  • オ:「茵蔯」はインチンコウ(蒿)という植物(キク科カワラヨモギ)を指します。ケイヒとは別の生薬です。

語呂:「茵蔯蒿湯はインチン+サンシシ+ダイオウ。サンシシで腸間膜静脈硬化症に注意」

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茵蔯蒿湯の特徴まとめ:

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 体力(証) | 中等度以上(実証〜中間) |

| 主な適応 | 口渇・便秘・じんましん・黄疸・肝機能障害 |

| 3生薬の構成 | インチンコウ(茵蔯蒿)・サンシシ(山梔子)・ダイオウ(大黄) |

| カンゾウ含有 | なし |

| マオウ含有 | なし |

| ダイオウ含有 | あり |

| サンシシ含有 | あり(腸間膜静脈硬化症リスク・重要) |

| 重篤副作用 | 腸間膜静脈硬化症(サンシシ長期服用)、肝機能障害 |

茵蔯蒿湯の3生薬の役割:

  • インチンコウ(茵蔯蒿):キク科カワラヨモギの全草。利胆(胆汁分泌促進)・清熱利湿。黄疸・肝機能改善の中心生薬
  • サンシシ(山梔子):アカネ科クチナシの果実。清熱瀉火(熱を冷ます)・解毒。利胆作用あり。腸間膜静脈硬化症リスク(長期服用)
  • ダイオウ(大黄):タデ科の根茎。瀉下(便通を整え熱毒を排出)・清熱。妊婦禁忌

サンシシと腸間膜静脈硬化症(重要副作用):

サンシシに含まれるゲニポシド→腸内細菌でゲニピン(genipin)に変換→腸管静脈壁に蓄積・石灰化→腸管の血行障害・炎症。症状は腹痛・下痢・便秘・血便。長期(5年以上が目安)服用で発現リスクが高まる。

サンシシを含む主な処方:茵蔯蒿湯・黄連解毒湯・温清飲・加味逍遙散・辛夷清肺湯等。

各選択肢の正誤:

  • ア(誤):茵蔯蒿湯は「中等度以上」向けで、カンゾウは含まない。
  • イ(正):サンシシ含有→長期服用での腸間膜静脈硬化症リスクは正しい重要知識。
  • ウ(誤):マオウは含まれない。
  • エ(誤):茵蔯蒿湯はダイオウを含む処方(3生薬の1つ)。
  • オ(誤):「茵蔯」はインチンコウ(カワラヨモギ)を指す。ケイヒとは全く異なる生薬。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【茵蔯蒿湯のインチンコウ(カワラヨモギ)の薬理と利胆作用】

インチンコウ(Artemisia capillaris全草または根茎)に含まれる主要成分:

  • スコパロン(スコポレチン):利胆作用(胆汁分泌促進・胆汁流出促進)。肝臓での胆汁産生を増加させ、胆道を拡張して胆汁の流出を助ける
  • カピリン:抗菌・抗真菌作用(皮膚のじんましん・感染予防に関連)
  • クロロゲン酸:抗酸化・抗炎症・肝保護

利胆作用の意義:黄疸は胆汁が正常に流れず(胆汁鬱滞)ビリルビンが血中に増加した状態。インチンコウの利胆作用が胆汁の流れを回復させることで黄疸を改善する機序。

サンシシ(山梔子)の腸間膜静脈硬化症の詳細メカニズム:

1. ゲニポシド(Geniposide)→腸内細菌のβ-グルコシダーゼ→ゲニピン(Genipin)に加水分解

2. ゲニピンは反応性が高く(アルデヒド基・エポキシド構造)→タンパク質のアミノ基と共有結合→青〜黒色の重合体(ゲニピン-タンパク結合体)を形成

3. 腸管の静脈壁(平滑筋・内膜)にゲニピン-タンパク結合体が蓄積・沈着

4. 長期間(5年以上目安)の蓄積→静脈壁の線維化・石灰化→腸管静脈の閉塞・硬化

5. 腸管への血流障害→腸の虚血・浮腫・炎症→腹痛・下痢・血便

確認指標:CTでの腸間膜静脈石灰化像・内視鏡での暗紫色粘膜変化(「暗紫色」は色素沈着によるもの)。軽症では処方中止により改善するが重症では外科的対応が必要な場合もある。

腸間膜静脈硬化症リスクのあるサンシシ含有処方(横断知識として重要):

| 処方 | サンシシ含有 | 主な適応 |

|---|---|---|

| 茵蔯蒿湯 | あり | 黄疸・口渇・じんましん |

| 黄連解毒湯 | あり | 熱症状(のぼせ・不眠・出血傾向) |

| 温清飲 | あり | 皮膚乾燥・月経不順・更年期 |

| 加味逍遙散 | あり | 更年期・精神不安・月経不順 |

| 辛夷清肺湯 | あり | 慢性鼻炎・副鼻腔炎 |

| 大柴胡湯 | なし | 肥満・便秘・高血圧 |

「のぼせ・熱症状」系の処方にサンシシが多く含まれる傾向がある(サンシシの「清熱瀉火」の性質)。登録販売者はこれらの処方を購入する顧客に対し、長期服用の際は医師・薬剤師への相談を促す必要がある。

茵蔯蒿湯のダイオウと利用法:

茵蔯蒿湯はダイオウを含む3生薬処方(インチンコウ・サンシシ・ダイオウ)の中で、ダイオウは「熱毒・老廃物を腸から排出する」役割。黄疸・肝機能障害の患者に便秘傾向があることが多く(腸肝循環でビリルビンが再吸収される)、ダイオウで便通を整えることでビリルビン排泄を促進する補助的役割もある。

妊婦への使用はダイオウによる流早産リスクで禁忌。サンシシ含有のため長期服用でのMVCリスクも踏まえ、適宜受診勧奨が必要。

インチンコウ(カワラヨモギ)と日本の薬草文化:

カワラヨモギは日本各地の川原・荒れ地に自生するキク科植物。日本薬局方に収載され、インチンコウとして生薬原料として使用される。中国・日本で古来から肝臓病・黄疸の民間薬として使われてきた歴史があり、現代の肝炎・胆嚢炎・じんましんへの応用まで続く処方。

登録販売者として「茵蔯蒿湯を購入する顧客が腹痛・血便を訴えている場合」はMVCの可能性を念頭に置き、受診勧奨が必要な状況の一例として把握しておく。

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第15節

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

黄疸・肝胆の漢方・茵蔯蒿湯の証頻出度B

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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