第3章 主な医薬品とその作用13主な医薬品とその作用(眼科用薬)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問13:主な医薬品とその作用(眼科用薬)

点眼薬(目薬)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • ナファゾリン塩酸塩は充血除去成分(血管収縮成分)として点眼薬に配合されているが、長期連続使用すると反跳性充血(使用中止後に充血がかえって悪化する)が起こることがある。
  • コンドロイチン硫酸ナトリウムは角膜の保護・保湿を目的として点眼薬に配合される成分であり、ソフトコンタクトレンズを装着したまま点眼することは一般的に避けることが推奨されている。
  • ソフトコンタクトレンズを装着したまま使用できる点眼薬かどうかは、添付文書で必ず確認する必要があるが、人工涙液(生理食塩水・カルボキシメチルセルロース等のみの製剤)であれば全てコンタクトを外さなくても使用できる。正答
  • 抗菌点眼薬(スルファメトキサゾール等)は細菌性結膜炎に有効であるが、ウイルス性結膜炎(アデノウイルス等)には無効であり、症状が改善しない場合は眼科受診が必要である。
  • 点眼薬の使用量は通常1回1〜2滴であり、多量に点眼しても眼に保持できる量(容積)が限られているため、過剰な滴下は眼からあふれるか鼻涙管を通じて全身吸収されることがある。
正答:ソフトコンタクトレンズを装着したまま使用できる点眼薬かどうかは、添付文書で必ず確認する必要があるが、人工涙液(生理食塩水・カルボキシメチルセルロース等のみの製剤)であれば全てコンタクトを外さなくても使用できる。

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正答はウ(誤っているもの)です。

「人工涙液ならコンタクトを外さなくても全て使用できる」は誤りです。人工涙液でも含まれる防腐剤(塩化ベンザルコニウム等)がソフトコンタクトレンズに吸着・蓄積してレンズを変質させたり、眼刺激の原因となる場合があります。ソフトコンタクトを装着したまま使用できるかどうかは、成分によらず添付文書で個別に確認することが基本です。

ア・イ・エ・オはいずれも正しい記述です。点眼薬では充血除去成分の長期使用による反跳性充血、コンタクトとの相性確認、ウイルス性結膜炎への無効性、過量点眼の全身吸収が重要な注意事項です。

標準試験対策の基準レベル

点眼薬の主な成分カテゴリと特性:

| 成分カテゴリ | 代表成分 | 作用 | コンタクト |

|---|---|---|---|

| 充血除去 | ナファゾリン・テトラヒドロゾリン | α受容体→血管収縮 | 多くは装着中使用不可 |

| 抗ヒスタミン | クロルフェニラミン | H1遮断→アレルギー症状緩和 | 多くは装着中使用不可 |

| 角膜保護・潤滑 | コンドロイチン・ヒアルロン酸Na | 保湿・涙液補充 | 製品による(要確認) |

| 抗菌 | スルファメトキサゾール | 細菌の葉酸合成阻害 | 通常は外して使用 |

| 収れん | 硫酸亜鉛 | タンパク変性→炎症緩和 | 多くは装着中使用不可 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): ナファゾリン塩酸塩はα2受容体刺激(一部α1も)による血管収縮で充血を除去します。しかし連続使用で受容体の感受性が下がり(ダウンレギュレーション)、使用中止後に血管が拡張して反跳性充血(リバウンド)が生じます。充血除去点眼薬は短期使用(数日以内)が原則です。
  • イ(正): コンドロイチン硫酸ナトリウムは軟骨・角膜の主要成分であるムコ多糖で、涙液の代わりに角膜表面を保護します。多くの点眼薬はソフトコンタクトレンズ装着中の使用を「避けること」または「外してから使用」と添付文書に記載されています(防腐剤の吸着が理由のことが多い)。
  • ウ(誤・正答): 人工涙液であっても、防腐剤として塩化ベンザルコニウム(BAK)が配合されている場合はソフトコンタクトレンズに吸着・蓄積し、コンタクトレンズの変質・眼刺激の原因となります。防腐剤フリーの人工涙液であればコンタクト装着中使用可能な製品もありますが、「人工涙液なら全て装着中OK」は誤りです。必ず添付文書で確認することが求められます。
  • エ(正): スルファメトキサゾール点眼はサルファ剤(葉酸合成阻害)で細菌に有効ですが、アデノウイルスによるウイルス性結膜炎(いわゆる「はやり目」・流行性角結膜炎)には無効です。ウイルス性結膜炎は感染力が非常に強く、接触感染で広がります。改善しない・悪化する場合は眼科受診が必須です。
  • オ(正): 眼の結膜嚢に保持できる液量は約25〜30μL(1滴は約50μL)です。1滴点眼しても約半分はあふれ、残りは鼻涙管を通じて鼻咽腔→消化管→全身循環に入ります。例えば緑内障治療薬の点眼薬では全身吸収されたβブロッカーで徐脈・気管支攣縮が生じた例があります。点眼後に目頭(鼻涙管開口部)を軽く押さえると全身吸収を減らせます。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【塩化ベンザルコニウム(BAK)のソフトコンタクトへの吸着機序と代替防腐剤】

塩化ベンザルコニウム(BAK)は第四級アンモニウム塩の陽イオン性界面活性剤で、点眼薬の防腐剤として最も広く使用されています。BAKの殺菌機序:

  • 細菌細胞膜の陰性リン脂質と結合→膜透過性亢進→細菌死滅

問題点:

  • ソフトコンタクトレンズ(特にハイドロゲル素材)は陰性電荷を持つポリマーで構成→BAK(陽性)が強く吸着・蓄積
  • 吸着したBAKが眼に持続的に放出→角膜上皮毒性・ドライアイ悪化
  • 長期使用でレンズの変色・変質・光学特性変化

代替防腐剤(コンタクト適合性高い):

  • ポリクオタニウム-1(Polyquad): 高分子量でコンタクトへの吸着少ない
  • ポリヘキサニド(PHMB): コンタクトへの影響少ない
  • 亜塩素酸ナトリウム系(Purite等): 眼内で分解→毒性低い
  • 防腐剤フリー(単回使用タイプ): 最も安全

コンタクト使用者への実務対応: 市販点眼薬を選ぶ際に「防腐剤フリー」「コンタクト装着中使用可」の記載があるか確認を促す。

【充血の原因診断と適切な対応の重要性】

充血は複数の疾患・状態の症状です:

| 原因 | 特徴 | 対応 |

|---|---|---|

| 単純性眼疲労・ドライアイ | 軽度・夕方悪化 | 人工涙液・休息 |

| アレルギー性結膜炎 | 両眼・かゆみ強い・季節性 | 抗ヒスタミン点眼・内服 |

| 細菌性結膜炎 | 目やに(黄色・膿性)・片眼から | 抗菌点眼薬 |

| ウイルス性結膜炎(流行性) | 目やに(水様性)・非常に感染力強い | 受診勧奨・感染対策 |

| 急性閉塞隅角緑内障 | 突然の充血・霧視・眼痛・頭痛・嘔吐 | 緊急受診(失明リスク) |

| ぶどう膜炎 | 充血・霧視・眼痛・光過敏 | 受診勧奨 |

登録販売者は「充血だけ改善すればいい」という顧客の要求に安易に充血除去点眼薬を勧めず、目やに・眼痛・視力低下・頭痛等の随伴症状を確認することが重要です。特に「急性閉塞隅角緑内障」は充血・頭痛・嘔吐が重なり、かぜと間違えられて充血除去薬や頭痛薬が投与されると治療が遅れ、短時間で失明するリスクがあります。

【点眼薬の全身吸収と重要な相互作用・副作用】

点眼薬の全身吸収は薬剤の種類によっては臨床的に重要な副作用を生じさせます:

1. βブロッカー点眼薬(チモロール等・緑内障治療): 全身吸収で気管支攣縮(喘息患者)・徐脈・血圧低下。喘息患者への禁忌(OTCではないが知識として重要)。

2. 充血除去点眼薬(ナファゾリン等のα作動薬): 全身吸収で血圧上昇・頻脈。乳幼児では少量でも中毒(苦情事例あり)→乳幼児への使用注意。

3. スコポラミン点眼(散瞳薬): 抗コリン作用→全身吸収で口渇・頻脈・尿閉。

4. スルファメトキサゾール点眼(抗菌): スルフォンアミドアレルギーがある人(スルフォンアミド系抗菌薬や一部利尿薬・糖尿病薬でアレルギーの報告がある人)は注意。

点眼後の鼻涙管圧迫(鼻の付け根を約2分間軽く押さえる)で全身吸収を約40〜60%減らせます。この手技を適切に説明することも登録販売者の役割です。

【ウイルス性結膜炎の感染管理と登録販売者の役割】

流行性角結膜炎(EKC)はアデノウイルス8・19・37型等が原因で、非常に感染力が強い眼の感染症です。潜伏期5〜12日・感染力は2〜3週間続きます。

感染経路: 手→眼(接触感染)。タオル・点眼薬瓶の共用でも感染。

登録販売者が「目やにが多い・人と会った・流行りの目の病気かも」という購入者に対して:

1. 抗菌点眼薬を勧める前に「ウイルス性では無効」であることを説明

2. 眼科受診を強く推奨(検査で確定診断→適切な感染対策指導)

3. 感染拡大防止(手洗い・タオル共用禁止・集団感染の場)を伝える

4. 充血除去点眼薬も症状を一時的に緩和するだけで原因治療にはならないことを説明

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第12節

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 正答ウ「人工涙液なら全てコンタクト装着中使用可」は誤り=防腐剤(塩化ベンザルコニウム等)がソフトレンズに吸着するため成分によらず添付文書で個別確認が必要、一意に誤りで正答ウ確定。ア=ナファゾリン長期使用で反跳性充血で正、イ=コンドロイチン硫酸Na保護成分でレンズ装着中は避けるで正、エ=スルファメトキサゾール(サルファ剤)はウイルス性結膜炎に無効で正、オ=点眼1〜2滴で過剰分は鼻涙管から全身吸収で正。令和8年4月手引きのコンドロイチン硫酸ナトリウム(別称コンドロイチン硫酸エステルナトリウム併記)改訂とも整合。健康被害リスクなし。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第12節「眼科用薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

点眼薬の成分・コンタクト使用時の注意頻出度B

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

章別に解いて、登録販売者に合格

全5章のオリジナル問題。各問に出典(厚労省手引き)とAI解説(3レベル)付き・閲覧無料。