第3章 主な医薬品とその作用148主な医薬品とその作用(成分群の横断・配合目的)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問148:主な医薬品とその作用(成分群の横断・配合目的)

複数の医薬品を同時に使用する際の配合成分の重複摂取・相加作用に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • かぜ薬と鎮痛薬(解熱鎮痛薬)を同時に使用した場合、両方にイブプロフェン等のNSAIDs成分が含まれていると重複摂取となり、胃腸障害・腎機能障害等の副作用リスクが増大する。
  • かぜ薬と催眠鎮静薬を同時に使用した場合、両方に抗ヒスタミン成分(ジフェンヒドラミン等)が含まれていると中枢抑制作用が相加的に増強され、過度の眠気や翌日への持ち越しが生じる可能性がある。
  • 鼻炎薬と咳止め薬を同時に服用した場合、どちらも別々の有効成分しか含まないため、同一成分の重複摂取が問題になることはない。正答
  • グリチルリチン酸(カンゾウ由来)を含む漢方薬と、グリチルリチン酸を含む解熱鎮痛薬・胃腸薬を同時に使用した場合、グリチルリチン酸の過剰摂取となり偽アルドステロン症のリスクがある。
  • 総合感冒薬(かぜ薬)は多くの有効成分を配合した製剤であるため、症状に合わせて別の薬(鎮痛薬・咳止め・鼻炎薬等)を追加服用する際は、重複成分がないかを確認する必要がある。
正答:鼻炎薬と咳止め薬を同時に服用した場合、どちらも別々の有効成分しか含まないため、同一成分の重複摂取が問題になることはない。

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正答(誤っているもの)はウです。

鼻炎薬と咳止め薬には同一の抗ヒスタミン成分(クロルフェニラミン等)が両方に入っていることがよくあります。「別々の有効成分しか含まない」という記述は誤りです(ウが誤り)。

配合成分の重複が起きやすい組み合わせを覚えましょう。

| 重複が起きやすい組み合わせ | 重複しやすい成分 | リスク |

|---|---|---|

| かぜ薬+鎮痛薬 | NSAIDs(イブプロフェン等) | 胃腸障害・腎障害の増悪 |

| かぜ薬+催眠薬 | 抗ヒスタミン成分 | 過度の眠気・中枢抑制 |

| 鼻炎薬+咳止め薬 | 抗ヒスタミン成分 | 眠気・口渇・排尿困難増悪 |

| 漢方薬+胃腸薬 | グリチルリチン酸(カンゾウ) | 偽アルドステロン症 |

| かぜ薬+鼻炎薬 | 抗ヒスタミン+アドレナリン作動成分 | 複合的な副作用増強 |

標準試験対策の基準レベル

配合成分の重複摂取リスクの横断整理:

市販の一般用医薬品は「複数の症状をまとめて対処できる」ように多成分が配合されていることが多く、複数の製品を同時に使用すると同一成分の重複が生じやすいのが特徴です。

重複が生じやすい主要成分とその重複リスク:

| 成分 | 含まれやすい製品 | 重複時のリスク |

|---|---|---|

| NSAIDs(イブプロフェン・ロキソプロフェン等) | かぜ薬・解熱鎮痛薬・生理痛薬 | 胃腸出血・腎機能障害・肝機能障害リスク増大 |

| アセトアミノフェン | かぜ薬・解熱鎮痛薬・一部の頭痛薬 | 1日最大用量を超えると肝障害リスク(一般用は製品ごとに用法用量が異なる。医療用では1日総量1,500mgを超す高用量長期投与で重篤な肝障害の警告) |

| 第1世代抗ヒスタミン(クロルフェニラミン・ジフェンヒドラミン等) | かぜ薬・鼻炎薬・咳止め・催眠補助薬・乗り物酔い薬 | 眠気の増強・口渇・排尿困難・緑内障患者に悪影響 |

| グリチルリチン酸(カンゾウ) | 漢方薬・一部の解熱鎮痛薬・胃腸薬・トローチ | 偽アルドステロン症(低カリウム血症・むくみ・血圧上昇) |

| カフェイン | かぜ薬・頭痛薬・眠気覚まし・栄養ドリンク | 過剰摂取→不眠・動悸・胃腸障害・カフェイン依存 |

| エフェドリン(マオウ含有) | 漢方薬(葛根湯等)・一部のかぜ薬・鼻炎薬 | 心臓病・高血圧患者での副作用増大 |

各選択肢の解説:

  • ア(正しい): かぜ薬と鎮痛薬にNSAIDsが重複すると1日総量が増加し、胃腸障害(潰瘍・出血)・腎機能障害のリスクが増大します。かぜ薬にも解熱鎮痛成分が配合されているため、「かぜ薬を飲んでいるので痛み止めも」という購入者への確認が必要です。
  • イ(正しい): かぜ薬には鼻汁・くしゃみ抑制のための抗ヒスタミン成分が配合されていることが多く、催眠補助薬(ジフェンヒドラミン主体)との重複は中枢抑制が相加的に増強されます。運転・機械操作のリスクも増大します。
  • ウ(誤り): 鼻炎薬にはクロルフェニラミンマレイン酸塩などの抗ヒスタミン成分が配合されていることが多く、咳止め薬にも抗ヒスタミン成分(咳の反射抑制・痰の粘度低下目的)が含まれる製品があります。したがって「別々の有効成分しか含まない」は誤りです。
  • エ(正しい): グリチルリチン酸含有製品の重複摂取による偽アルドステロン症は手引きに明記された重要注意事項です(ch3_144参照)。漢方薬+西洋薬の重複で生じることがある典型的な問題です。
  • オ(正しい): 総合感冒薬は解熱鎮痛成分・抗ヒスタミン成分・気管支拡張成分・去痰成分・カフェインなどを複合配合しているため、追加で他の薬を服用する際は重複チェックが不可欠です。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【配合成分重複の薬理学的背景と登録販売者の実務対応】

「相加作用」「相乗作用」「拮抗作用」の定義:

| 相互作用の種類 | 定義 | 例 |

|---|---|---|

| 相加作用(additive effect) | 2薬の効果が単純に足し合わされる | NSAIDs2種の胃腸障害・抗ヒスタミン2種の眠気 |

| 相乗作用(synergistic effect) | 2薬の組み合わせで期待値以上の効果が出る | 鎮静薬+アルコールの中枢抑制 |

| 拮抗作用(antagonistic effect) | 2薬が互いの効果を打ち消す | 交感神経刺激薬+β遮断薬 |

| PK的相互作用 | 吸収・分布・代謝・排泄の段階で影響 | CYP阻害・誘導(OTCでは少ないが注意) |

配合成分の重複は主に薬力学的な相加作用によるリスクを生じます。

NSAIDs重複の詳細なリスク機序:

内服NSAIDsを重複摂取すると:

1. 胃腸障害の相加: COX-1阻害による胃粘膜PGの産生抑制が増大→胃粘膜防御機能のさらなる低下→潰瘍・出血リスクが非線形的に増大(2倍以上になりうる)

2. 腎機能への影響: 腎臓の血流維持にはPGI₂(プロスタサイクリン)が重要。NSAIDs重複による過剰なCOX阻害で腎血流低下→腎前性腎不全

3. 出血傾向の増加: COX-1阻害による血小板TXA₂産生抑制→血小板凝集能低下→出血リスク増大

アセトアミノフェンの1日上限と肝毒性:

アセトアミノフェンはNSAIDsとは機序が異なり(CNS中枢性の解熱鎮痛作用)、胃腸障害は少ないですが、1日総量の過剰摂取では重篤な肝障害のリスクがあります。

  • 用量は製品(一般用医薬品では各製品の用法用量)に従う。医療用の参考値では1回300〜1000mg・投与間隔4〜6時間以上で1日上限4,000mg(解熱鎮痛)だが、1日総量1,500mgを超す高用量を長期投与する場合は重篤な肝障害発現のおそれが警告されている。一般用では製品ごとに上限が定められているため用法用量を厳守し、複数製品の重複で総量が過剰にならないようにする
  • 肝毒性の機序: アセトアミノフェン(APAP)→CYP2E1・CYP3A4による代謝→NAPQI(N-アセチル-p-ベンゾキノンイミン、肝毒性代謝物)→グルタチオンで不活化(通常量では十分)→大量摂取時はグルタチオン枯渇→NAPQIが肝細胞に蓄積→肝細胞壊死

重複リスクが高い場面:

  • かぜ薬(アセトアミノフェン配合)+解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)
  • かぜ薬+市販の頭痛薬(アセトアミノフェン)
  • 飲酒(エタノールがCYP2E1を誘導しNAPQI産生増大)との組み合わせ

抗ヒスタミン成分重複の問題:

第1世代抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン等)はBBBを通過して中枢性の鎮静(眠気)を引き起こします。複数の製品で重複すると:

  • 眠気の相加:自動車運転・機械操作の危険が増大
  • 抗コリン作用の相加:口渇・排尿困難・眼圧上昇(緑内障患者に特に危険)
  • 中枢抑制の相加:アルコールとの相乗で過度の鎮静

カフェイン重複の問題:

カフェインは多くのかぜ薬・頭痛薬に眠気防止・鎮痛補助目的で配合されています(1製剤50〜100mg程度)。栄養ドリンク・コーヒー等との重複で:

  • 不眠・動悸・手震え・頻尿
  • 過剰摂取では胃腸障害・血圧上昇

登録販売者の実務対応フロー(重複確認):

```

購入者が複数の医薬品を同時購入または「既に飲んでいる薬がある」と相談した場合

1. 既服用の医薬品の名称・成分を確認する(可能なら製品を見せてもらう)

2. 今回購入したい医薬品の主要配合成分を確認する

3. 重複が疑われる成分を特定する(NSAIDs・抗ヒスタミン・アセトアミノフェン・グリチルリチン酸・カフェイン等)

4. 重複がある場合は以下の対応:

- 症状別の専用薬(単成分)への変更を提案

- どちらかを選択し、もう一方を避けるよう説明

- 重複を続ける場合は医師・薬剤師への相談を勧める

5. 添付文書の「してはいけないこと」「相談すること」を確認

```

総合感冒薬の多成分配合と重複のリスク(現場での実例):

総合感冒薬(かぜ薬)の一般的な配合成分:

  • 解熱鎮痛成分(アセトアミノフェン・イブプロフェン等)
  • 抗ヒスタミン成分(クロルフェニラミン等)
  • 気管支拡張成分(dl-メチルエフェドリン等)
  • 去痰成分(グアイフェネシン等)
  • 鎮咳成分(デキストロメトルファン等)
  • カフェイン

これを服用しながら「頭痛がひどい」と解熱鎮痛薬を追加する事例では、NSAIDs・アセトアミノフェン・カフェインが重複する可能性があります。「かぜ薬を飲んでいます」という情報が重複確認の出発点です。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 医薬品の相互作用・複数の医薬品の同時使用に関する注意 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

配合成分の相互作用(同一成分の重複摂取・相加作用頻出度B

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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