第3章 主な医薬品とその作用86主な医薬品とその作用(まれな重篤副作用・横断テーマ)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問86:主な医薬品とその作用(まれな重篤副作用・横断テーマ)

医薬品による肝機能障害に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 医薬品による肝機能障害の症状として、皮膚・白目の黄染(黄疸)・全身倦怠感・食欲不振・発熱・発疹・かゆみなどが現れることがある。
  • 一般用医薬品による肝機能障害の多くは、患者自身が症状を自覚しにくい無症状の段階から進行することがあり、定期的な医師受診や血液検査(肝機能検査)で早期に発見することが望ましい。
  • 医薬品性肝機能障害はアセトアミノフェン・漢方薬(小柴胡湯・柴胡桂枝湯等)・解熱鎮痛薬(NSAIDs)など多くの成分が原因となりうるため、「肝臓病の人は使用前に相談すること」が共通注意となっている成分が多い。
  • 黄疸は肝臓でのビリルビンの処理能力が低下して血中にビリルビンが蓄積することで生じるが、一般用医薬品による肝機能障害は重篤化しないため、黄疸が現れても医師の受診を急ぐ必要はない。正答
  • 医薬品を使用中に黄疸・倦怠感・食欲不振が現れた場合は、自己判断で継続使用せず使用を中止して速やかに医師の診察を受けることが必要である。
正答:黄疸は肝臓でのビリルビンの処理能力が低下して血中にビリルビンが蓄積することで生じるが、一般用医薬品による肝機能障害は重篤化しないため、黄疸が現れても医師の受診を急ぐ必要はない。

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正答はエ(誤っているもの)です。

「黄疸が現れても医師受診を急ぐ必要はない」は明確に誤りです。黄疸は肝機能障害がすでに進行している段階のサインであり、現れた場合は直ちに医師の受診が必要です。一般用医薬品でも重篤な肝機能障害(劇症肝炎・肝不全)を引き起こす可能性があります。

肝機能障害の症状を暗記:

  • 皮膚・白目が黄色い(黄疸)
  • 全身倦怠感・食欲不振
  • 発熱・発疹・かゆみ

原因成分の例:アセトアミノフェン・NSAIDs・小柴胡湯等漢方薬

ゴロ:「黄色く(黄疸)だるい(倦怠)肝臓からSOSのサイン→即受診

標準試験対策の基準レベル

医薬品性肝機能障害の概要:

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 症状(初期) | 倦怠感・食欲不振・発熱・発疹・かゆみ |

| 症状(進行) | 黄疸(皮膚・眼球結膜の黄染)・上腹部不快感・褐色尿(ビリルビン尿) |

| 症状(重症) | 劇症肝炎(肝不全・意識障害・凝固異常・腹水) |

| 無症状期 | 症状なしで肝酵素(AST・ALT・γGTP)が上昇する時期がある |

| 黄疸の機序 | 肝臓でのビリルビン代謝障害→血中ビリルビン蓄積→皮膚・粘膜・眼球への沈着 |

原因となりうる主な一般用医薬品の成分・カテゴリ:

| 成分・カテゴリ | 特記事項 |

|---|---|

| アセトアミノフェン | 過剰摂取・飲酒との組み合わせで肝毒性増大 |

| NSAIDs(イブプロフェン・アスピリン等) | アレルギー性の肝障害が生じることある |

| 小柴胡湯 | 間質性肺炎と同様に報告多数 |

| 柴胡桂枝湯・柴苓湯等(柴胡含有) | 小柴胡湯に準じた注意 |

| 抗菌成分(内服) | 一部の抗菌成分(ニトロフラントイン系等) |

| その他の漢方薬 | 複数成分の組み合わせによる肝毒性 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): 医薬品性肝機能障害の症状として黄疸・倦怠感・食欲不振・発熱・発疹・かゆみが現れることがあります。これらは手引きに記載される重篤副作用の警告症状であり、正確な記述です。
  • イ(正): 肝機能障害は無症状で進行することがあります(沈黙の臓器とも言われる)。症状が出る前段階で血液検査(AST・ALT・γGTP等の肝機能マーカー)で発見できることがあります。特に長期服用者での定期検査の重要性について正確な記述です。
  • ウ(正): アセトアミノフェン・漢方薬(小柴胡湯等)・NSAIDs(イブプロフェン等)は肝機能障害の原因となりうる成分であり、「肝臓病のある人・肝機能が低下している人は使用前に医師・薬剤師に相談すること」が共通注意として記載される場合が多いです。正確な記述です。
  • エ(誤・正答): 黄疸は肝臓のビリルビン代謝能が著しく低下した段階の症状であり、肝機能障害がすでに進行していることを示します。一般用医薬品でも重篤な肝機能障害(劇症肝炎・肝不全)を引き起こすことがあり、黄疸が現れた場合は「直ちに使用を中止し速やかに医師の診察を受けること」が必要です。「受診を急ぐ必要はない」は誤りで危険な記述です。
  • オ(正): 医薬品使用中に黄疸・倦怠感・食欲不振が現れた場合の対応として正確な記述です。自己判断での継続使用は重篤化リスクを高めます。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【医薬品性肝機能障害の病態分類と臨床的重要性】

薬物性肝障害(DILI: Drug-Induced Liver Injury)の分類:

| 分類 | 機序 | 特徴 | 予測可能性 |

|---|---|---|---|

| 肝細胞障害型(cytotoxic) | 薬剤/代謝産物による肝細胞直接毒性 | AST・ALT著明上昇。アセトアミノフェン過剰摂取の典型 | 用量依存的→予測可能 |

| 胆汁うっ滞型(cholestatic) | 肝内胆汁排泄障害 | ALP・γGTP上昇・黄疸・かゆみ。一部の漢方・NSAIDs | アレルギー性→予測困難 |

| 混合型 | 肝細胞障害+胆汁うっ滞 | 上記両方の特徴 | 様々 |

| 免疫アレルギー性 | 薬剤/代謝産物への免疫応答(T細胞・抗体) | 発熱・発疹・好酸球増多を伴う | 非用量依存・予測困難 |

アセトアミノフェン過剰摂取による肝毒性(特に重要):

1. アセトアミノフェンは通常用量ではグルクロン酸抱合・硫酸抱合で無毒化されます。

2. 過剰摂取時(または慢性飲酒での酵素誘導時):CYP2E1を介してNAPQI(N-アセチル-p-ベンゾキノンイミン)という反応性代謝産物が大量生成されます。

3. グルタチオン(GSH)が枯渇するとNAPQIが肝細胞タンパクと共有結合→肝細胞壊死

4. 過剰摂取から12〜72時間後に劇症肝炎のリスクが最大化します。

このため:

  • アセトアミノフェン含有製品の複数製品への重複(かぜ薬+鎮痛薬+総合感冒薬)で過剰摂取リスクがあります。
  • 飲酒習慣者では少量でも肝毒性が増大するため注意が必要です。
  • 肝臓病の人はグルタチオン産生能が低下しているためリスクが高まります。

黄疸の機序(ビリルビン代謝経路の障害):

ビリルビン代謝の正常な流れ:

1. 老廃赤血球(脾臓)→ヘモグロビン→ビリルビン(非抱合型)

2. 肝臓:非抱合型ビリルビン→グルクロン酸転移酵素で抱合型(水溶性)→胆汁中に排泄

3. 腸管→ウロビリノーゲン→一部が再吸収→尿中排泄

肝機能障害時の黄疸の成因:

  • 肝細胞障害型:ビリルビンの取り込み・抱合・排泄の全ステップが障害→非抱合・抱合両型が血中に蓄積
  • 胆汁うっ滞型:胆汁中への抱合型ビリルビン排泄が障害→血中に逆流

臨床的な黄疸の所見:

  • 皮膚・眼球結膜の黄染(血中ビリルビン2〜3mg/dL超で肉眼的に確認)
  • 褐色尿(抱合型ビリルビンが尿中に排泄)
  • 灰白色便(胆汁が腸管に届かない→便の着色がない)

劇症肝炎(最重症型)の危険性:

薬物性肝障害が劇症化すると:

  • 肝不全(合成機能低下):凝固因子低下→出血傾向
  • 肝性脳症:アンモニア等の神経毒素蓄積→意識障害・羽ばたき振戦
  • 腎不全(肝腎症候群)
  • 死亡率が高く、肝移植が必要となる場合があります。

登録販売者の実務対応(早期発見と適切な指導):

1. 販売前の問診

- 肝臓病(肝炎・肝硬変・脂肪肝等)の既往の確認

- 飲酒習慣(特にアセトアミノフェン含有薬)

- 他の肝毒性薬(処方薬・OTC薬)との重複確認

2. アセトアミノフェン重複摂取への注意

- かぜ薬・鎮痛薬・眠気防止薬等にアセトアミノフェンが含まれることを確認

- 複数製品の同時服用で過剰摂取になることを指導

3. 初期症状が出た場合の対応

- 倦怠感・食欲不振・かゆみ→「肝機能障害の初期症状の可能性があります。使用を中止して医師を受診してください」

- 黄疸(白目の黄染・皮膚の黄色化)→即時中止・緊急受診を促す

4. 長期服用者へのフォロー

- 漢方薬を長期服用している高齢者への定期的な医師受診の促し

- 「倦怠感が続く・食欲が落ちている・白目が黄色い」という症状があれば即報告するよう指導

医薬品による肝機能障害は早期発見・早期中止で回復が期待できる副作用であり、登録販売者の販売現場での問診・指導が早期発見の重要な機会となります。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 主な医薬品の副作用(肝機能障害) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

まれな重篤副作用③・肝機能障害(黄疸・倦怠感・原因成分の横断頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

章別に解いて、登録販売者に合格

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